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華陽ニュース

紙の市況(2022.4)詳細 4月20日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.日本製紙 溶解パルプ製品を値上げ

 日本製紙は4月7日、溶解パルプ製品の価格修正を発表しました。

対象品種 溶解パルプ全製品(レーヨン繊維、セロハンなどの原料)
値上げ幅 現行価格より10%以上
石炭・チップ等、原燃料費の上昇分を反映させるサーチャージ方式として
時期 2022年5月1日出荷分より

 高騰する石炭はじめ原燃料価格の影響を自助努力で吸収するのは困難として、同社は顧客に理解を求めています。


2.大王製紙 異なる運送事業者間での中継輸送の実証実験実施

 大王製紙は4月12日、伊藤忠ロジスティクスなど3社の荷主企業、アートバンライン等4社の運送事業者と協力し、異なる運送事業者間での中継輸送の可能性に関する実証実験を実施したと発表しました。公式サイトの発表によると、

内容 商品を積載する荷台(コンテナ)部分を着脱できる車両を使用し、異なる運送事業者間で中継輸送を行うことで、長距離輸送の効率化やトラックドライバーの長時間労働の負荷軽減が可能かを検証。
一部運行では輸送業務と荷役作業の分離も行い、荷物の積み降ろしなどを荷主企業が行うことで負担軽減につながるか、運送業務と荷役作業の分離のために必要な検討項目は何かなどを確認。
工夫 荷主企業も運送事業者も複数の、異なる事業者を組み合わせた実証実験であるため、荷主と運送事業者のマッチングが必要。ドライバーが間違ったコンテナを運ばないよう、QRコードを用いた「幹線中継輸送運行管理システム」を使用。
参加企業 荷主企業:大王製紙、伊藤忠ロジスティクス、三井倉庫ロジスティクス、デンソーテン
輸送事業者:アートバンライン、遠州トラック、フジトランスポート、優輪商事

 トラック輸送ではドライバー不足が深刻化しており、輸送の効率化と労働負担の軽減が大きな社会課題になっているとして、今回の実証実験がドライバーの負担軽減や長時間労働の改善につながると同時に、走行距離や待機時間のアイドリングの削減などで二酸化炭素排出量の抑制効果も期待できると、同社はこの実証の意義を説明しています。


【板紙 国内の紙の市況/状況】

1.白板紙卸価格上昇の報道

 4月14日付の日本経済新聞紙上にて、白板紙の卸値が4年ぶりに上昇したと報じられています。上昇幅は6~8%と記事では説明しており、

・石炭、重油、薬品などの原燃料価格の高騰、温暖化ガス排出削減など環境対策費用増などで製紙各社のコストが増加。
・雑誌や新聞等の発行部数減で、原料となる古紙の供給が減少。
・コロナ禍を背景に、レトルト食品やテークアウト用容器の需要増、食品や菓子の購入増、イベント向け土産復活などのへの期待から、白板紙を使う日用品の容器・包装需要が堅調。
・脱プラスチックの流れから、これまでプラスチックを使用していた各種容器・包装を白板紙に置き換える動きも出始めている。

等を背景に、安定調達のため、印刷会社などが製紙各社の打ち出した値上げを受け入れたと記事では分析しています。
 今回の値上げはロシアによるウクライナ侵攻以前の原燃料高騰に基づくもので、製紙各社はウクライナ危機後さらに急騰した原燃料価格を反映した追加値上げを検討しているとの声も報じられていますが、今回の値上げが需要に影響する可能性もあり、追加値上げについては慎重に対応したいとの印刷会社の声も記事では伝えられています。


【その他の市況/状況】

1.3月家庭紙価格 前月比で横ばい

 4月13日付の日本経済新聞紙上にて、家庭紙の3月の店頭価格が前月比横ばいとなったと報じられています。東京紙商家庭紙同業会のまとめによるもので、トイレットペーパー(再生・パルプ製)、ティッシュペーパーとも横ばいの水準だったとのこと。
 製紙各社の値上げ発表で前倒しの発注が増え、店頭への反映に時間がかかっていると、記事では横ばいの要因を説明しており、4月以降叙情に値上げが浸透しつつあるとの家庭紙卸の声を紹介しています。


2.北米産パルプ価格が上昇

 4月16日付の日本経済新聞紙上にて、北米産パルプの日本向け価格が3か月連続で上昇したと報じられています。3月積み価格は2月積み価格に比べ9%上昇し、昨年6月以来の高値圏となったとのこと。

・昨秋の豪雨や洪水などによるカナダの物流の混乱が解消されていない
・欧州最大手UPMキュンメネのストライキが継続し、外販パルプの供給が縮小

といった状況が継続しており、4月積み価格も上昇しそうと記事では分析しています。


3.カセイソーダ価格が上昇

 4月9日付の日本経済新聞紙上にて、カセイソーダの国内大口価格が4年ぶりに上昇したと報じられています。東ソーなどソーダメーカーが打ち出した値上げを製紙など大口需要家が受け入れたとのことで、3月から2割上昇し、2018年2月以来の最高値を更新したと記事では伝えられています。

・燃料価格の急騰により電力費が大幅に上昇。製造に大量の電力を必要とするカセイソーダの製造コストも上昇。
・物流費の高止まり。
・古くなった製造設備の修繕更新費用の増加。
・中国で電力不足からカセイソーダの供給が大幅に減った一方、東南アジアでアルミナ精製などのために需要が増加。海外のカセイソーダの相場急騰が国内価格にも影響。
・国内で排水処理、段ボール、紙おむつ、リチウムイオン電池、半導体向けなど、カセイソーダを必要とする生産活動が持ち直し。

等と、記事では要因を説明しています。
 原料である工業塩の先高観や、原油などエネルギー相場の上昇等、カセイソーダのコストを上昇させる状況は続いており、追加値上げを検討する必要があるとのメーカーの声も記事では伝えられています。


【印刷・製品関連】

1.凸版 タイのパッケージメーカーを買収

 凸版印刷は4月15日、タイで軟包装の製造・販売を行うMajend Makca社の株式を取得し、2022年5月までに子会社化すると発表しました。

Majend
Makca社
2002年創業。各種食品、消費財、メディカル向けの軟包装を製造・販売。
買収の目的
期待される成果
タイは食品・消費財などのグローバルブランド企業の欧米/ASEAN向け主要生産地。凸版印刷は今回の買収により、タイにおける欧米/ASEAN向け製品用軟包装の現地生産が可能に。
Majend Makca社で凸版のサステナブル包材を生産することにより、同グループのサステナブル包材のグローバル供給体制を確立するとともに、両社の技術、ノウハウ、原材料調達を共有し、生産性の向上、安定的な材料調達体制の構築、価格競争力の強化等を期待。

 4月8日にはキャノンが食品などの包装向け産業印刷機を手掛ける英国企業を買収したことも明らかになっており、世界のパッケージ分野に目を向ける動きが報じられています。


※文中敬称略
※文章は2022年4月18日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。