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紙の市況(2025.1)詳細 1月20日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.日本製紙連合会会長 新年年頭所感を発表

 日本製紙連合会は1月6日、会長の野沢徹氏の2025年新年年頭所感を公式サイトに掲載しました。2025年の社会情勢について

・大阪・関西万博を控え、景気は穏やかな持ち直し基調が維持されるとの見方が一般的
・米国トランプ次期大統領の関税引き上げ等の政策運営、中国経済の行方、長引くロシア・ウクライナ戦争、中東情勢等の地政学リスクが懸念材料

と指摘し、2025年の紙・板紙需要に関して

・グラフィック用紙を中心に厳しい状況が続く
・内需主導の景気回復やインバウンド需要の影響に期待

と分析しています。
 日本製紙連合会の活動としては

・2026年度の排出量取引制度本格稼働に向けた枠組みづくりが進むなか、製紙業界が政府方針に則り2030年度38%削減の目標を掲げ、順調に削減を実行していることを前提として、無理のない制度設計となるよう関係機関に要望しているところ

とし

・紙・板紙の素材としての重要性、再生可能なバイオマス原料を利活用するという他の産業にない環境優位性等を十分に生かした事業展開・情報発信をすること
・製紙産業は資源循環型経済を先進的に実現してきた産業であり、それらの取り組みをさらに深化させた生産活動を継続していくことがSDGsの提唱する持続可能な社会に貢献していくことになること、セルロースナノファイバーの用途開発等をはじめとしたバイオリファイナリー製品の開発といったイノベーションの取り組みを志向している産業であることなどを発信し、広く多くの方に製紙産業の真の姿を理解して頂くこと

が重要であるとして、「再生と変化」のイメージを持つ「巳」年に、事業を取り巻く大きな環境変化に柔軟に対応し、産業として新たな再生への歩みを進める1年となることを祈念するとしています。
 
【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.レンゴー 東京藝術大学「芸術未来研究所」に段ボール製品を提供

 レンゴーは1月10日、東京藝術大学の「芸術未来研究所」に強化段ボールによるスツールと展示棚を製作して提供したと発表しました。芸術未来研究所は様々な学外組織との連携を推進・強化し、社会の多領域におけるアートの新たな価値や役割を創造していく場として2023年4月に創設されたものであるとのこと。同社グループの段ボール製家具や店舗什器等の企画・製作経験を活かし、新たな用途開発にも挑戦していくと表明しています。
 

2.レンゴー 高さ可変包装機の開発を発表

 レンゴーは1月15日、通販、拠点間物流向けに自動包装機「J‐RexS(ジェイレックス)」を開発したと発表しました。「J‐RexS」の特徴を同社は、

・商品のサイズに合わせて段ボールケースの底面積を設定し、商品の高さに合わせて切断、封緘する日本製自動包装機
・刃物を使わない世界初の段ボール切断加工技術を採用
・包装資材の使用量を最小化でき、積載効率を向上させ、輸送コストを抑えることが可能

と説明しています。
 実機の見学が可能とのことで、同社は担当窓口への問い合わせを呼び掛けています。
 
【その他の市況/状況】

1.11月末古紙在庫が減少

 1月11日付の日本経済新聞紙上にて、2024年11月末の古紙在庫が前月末比で減少したと報じられています。関東製紙原料直納商工組合のまとめによるもので、段ボール古紙は10月末比で10.5%の減少となったとのこと。在庫率も需給均衡の目安を若干下回っていると記事では伝えられています。

  

2.ENEOS 高硫黄C重油を値下げ

 1月15日付の日本経済新聞紙上にて、ENEOSと大口需要家が2024年10~12月期の高硫黄C重油の価格を7~9月期比12%下落で決着したと報じられています。交渉の参考時期の原油価格の下落と外国為替相場の円高進行を映したものとのことで、引き下げは2四半期連続になると記事では伝えています。
 

3.王子HD 最先端半導体向け材料に参入の報道

 1月15日付の日本経済新聞紙上にて、王子ホールディングスが木質成分を原料とする「バイオマスレジスト」を開発し、2030年代に年間売上高100億円を目指す構想であると報じられています。レジストは半導体製作に不可欠な材料のひとつで、王子HDは同社の開発した「バイオマスレジスト」が2ナノ世代以降の最先端半導体で必要な微細な回路形成に求められる性能を満たしていると既に確認されていること、有機フッ素化合物を使用しておらず従来のレジストより環境負荷が少ないことを利点として2028年の事業化を目指す計画であると記事は伝えています。同社は半導体分野以外にも新事業の育成を進めており、紙の需要が減るなか、蓄積した技術や既存設備を活かして「バイオケミカル会社」への脱皮を急ぐ心算であると記事は結論付けています。
 
【ESG、SDGs等関連】

1.日本製紙 「ねむろバードランドフェスティバル2025」に協賛

 日本製紙は1月10日、1月24日から2月9日にかけて北海道根室市で開催される「ねむろバードランドフェスティバル2025」に協賛すると発表しました。同フェスティバルは野鳥や自然学習林の観察会、ねむろの野鳥のイラストコンテスト、バードウォッチングを楽しめるガイド付きのバスツアーなどを含むイベントで、日本製紙は北海道東部の社有林で日本野鳥の会と共同で取り組むシマフクロウの保護活動など、同社の生物多様性にかかわる取り組みを展示する予定であるとのこと。同社の協賛は今年で14回目となるとのことで、近くに来た際はぜひ立ち寄ってほしいと同社は呼び掛けています。
 

【印刷、製品、その他関連】

1.KADAKAWA デジタル印刷で年9,000作品創出目指すと報道

 1月15・16日付の日本経済新聞紙上にてKADOKAWAの出版作品数拡大構想が報じられています。ソニーグループから7日付で受けた追加出資500億円のうち200億円を新規のコンテンツIP(知的財産)の創出や取得に使い、2027年度に出版で9,000作品の創出を目指す計画であるとのこと。同社の「多品種小ロット」戦略には米HPの世界に数台しかないデジタル印刷機が多大な貢献をしているとのことで、デジタルでの品質維持が難しいコミックの印刷には「液体トナー」の技術を導入、印刷に使う紙も7種類にまとめ、在庫の回転率の向上、返品の減少、絶版を減らすなどのコスト削減につながる工夫を重ねて100部単位での製造を実現して、数を売って辺りを探る戦略をとっていると記事では伝えられています。
 
※文中敬称略
※文章は2025年1月16日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。