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ニューノーマルにこの一品49 J‐クレジットの登録
【ニューノーマルにこの一品】
「ニューノーマル」という言葉は新型コロナウイルス下での生活や仕事の新しい様式を表す言葉として使われていますが、近年、私たちの生活や考え方に影響を与え、変えてきたものには、海洋汚染の深刻化による脱プラの動きや、SDGs、ESG、ダイバーシティ等、さまざまなものがあります。
その、様々なもので形作られる「ニューノーマル」に、紙で貢献できる製品とは、の観点からの取組みをご紹介いたします。
49 J‐クレジットの登録
「うちでやってる温室効果ガス削減活動もJ‐クレジットに登録できるのかな・・・」
そんな方のために、J-クレジットの公式サイトでは登録の手順がより詳しく紹介されています。
弊社がもし登録するなら・・・の観点で流れや疑問に思った点などをまとめてみました。
認証・発行までの手続き | J-クレジットの認証・発行までには「プロジェクトの登録」「モニタリングの実施」の2つのステップが存在。 |
プロジェクトの登録 | プロジェクトの概要、適用する方法論、実施前後の状況(温暖化ガスの排出量の変化など)、データ管理の体制など詳しい情報を記入した「プロジェクト計画書」 を作成して審査機関に提出し、プロジェクトの妥当性の事前確認が行われたら、 「プロジェクト計画書」に合わせ、 「プロジェクト登録申請書」、 プロジェクトを実施するにあたり人間や自然になるべく影響を与えないよう留意し関係法令を守りますよ、という「プロジェクト登録に係る誓約書」 を作成して提出、J‐クレジット制度認証委員会の審議の結果、プロジェクトが登録されるまでのステップ。 |
モニタリング | 登録したプロジェクトの計画書を基に排出削減量あるいは吸収量を計測・算定して「モニタリング報告書」を作成、審査機関に提出して検証してもらい、事前確認で了承されたら「モニタリング報告書」に合わせて「認証申請書」を作成・提出し、J‐クレジット制度認証委員会の認証を受け、クレジットが発行されるまでのステップ。 |
方法論 | 温室効果ガスの削減技術ごとに、適用範囲、排出削減・吸収量の算定方法やモニタリング方法を規定したもの。例えば、効率の良い印刷機を導入して電力使用量を削減し排出削減活動を実施します、という場合は、方法論ナンバーEN‐S‐030 Ver3.0「印刷機の導入」という方法論の適用条件や算定方法などに従う必要がある。 2024年12月20日現在で72種類の方法論が規定されているが、該当するものがなければ新規の方法論の登録が可能な場合もある。 |
追加性 | J‐クレジット制度に登録してクレジット収益を得なければプロジェクトの実施や継続が費用的に困難である、という状況を同制度では「追加性」と呼んで、登録・認証の重要な検討項目のひとつとしている。具体的には、プロジェクトのための設備投資費用を設備によるコスト削減分で割ったもの=設備投資費用の回収に3年以上かかる場合や、そもそもコストが削減されず回収が不可能である場合などを「追加性がある」とし、登録の要件のひとつを満たしているとする。 |
プロジェクトの形態 | 基本的に1つの工場・事業所における削減活動を1つのプロジェクトとして登録する「通常型」、 複数の削減活動を取りまとめて1つのプロジェクトとして登録する「プログラム型」の2つがある。 個人や中小企業など、個別で登録するのが事実上難しい小規模な削減活動の場合は、1つの運営管理者(例えば、地域に太陽光発電の電力を供給する電力会社や、農家の活動を取りまとめる農協などを想定)が取りまとめて登録する「プログラム型」で登録されることが想定されている。 |
審査費用の方法論別推移 | 審査機関にて「プロジェクト計画の妥当性確認」と「モニタリングの検証」を行う際の審査費用の平均や振れ幅を方法論別(どんなプロジェクトで削減を行うか)でサイトに掲載している。2021年度~2023年度の審査費用支援申請案件の平均によれば、一番低い「再エネ」の「通常型」(1工場・事業所単位で太陽光発電設備を導入するような場合)で2審査合わせて約86万円、一番高い「森林」の「通常型」(森林経営や植林などで温室効果ガス吸収を行うような場合)で約220万円だったとのこと。中小企業や自治体などで条件を満たしているプロジェクトに関しては審査費用を支援する仕組みがある。 |
手続きやコストなど課題も多そうなJ‐クレジットですが、国が認証するクレジットとしての信頼性や環境対応をアピールできるなどのメリットと合わせて今後も検討がされていきそうです。
※文章中、敬称略