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紙の市況(2025.1)詳細 1月31日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.日本製紙連合会 2025年紙・板紙内需見通しを発表

 日本製紙連合会は1月20日、2024年の紙・板紙内需実績見込みと2025年の紙・板紙内需見通しを発表しました。2024年の国内出荷は紙・板紙計で前年比2.8%減、グラフィック用紙が同8.0%減、パッケージング用紙が同0.7%減で、国内出荷と輸入を合算した内需の実績見込みでは紙・板紙計が2019年比16.8%減、グラフィック用紙同33%減、パッケージング用紙同7.4%減の見込みとなっています。
 2025年については、紙を取り巻く要因として

プラス要因 ・賃上げやインバウンド増加による景気の緩やかな回復基調
・大阪・関西万博や参議院選挙、国勢調査などのイベント
・食品、工業製品、ECの拡大によるパッケージング用紙の堅調
・防災意識の高まりなどによる衛生用紙の備蓄
マイナス要因 ・人口減少
・少子高齢化
・人手不足
・景気下振れリスク
・デジタル化
・軽量化、コンパクト化、省包装化

等を挙げており、2025年の紙・板紙計の内需見通しを2024年比2.4%減、2019年比18.7%減と予想しています。
 

2.特種東海 サイトで製品情報シートをダウンロードできる仕組み

 特種東海製紙は1月27日、製品の基本成分や取り扱いが簡潔に記された製品情報シート(AIS)をダウンロードできる仕組みを構築し、2025年2月1日より掲載を開始すると発表しました。同社サイト「特種のタネ」から製品情報シートを得たい商品のページに飛んで「関連情報」項目の「製品情報シート」ボタン(※2025年1月29日の段階ではまだボタンは設置されていません)をクリック、「製品情報シート請求フォーム」に必要情報を入力して送信すると「送信完了ページ」へ移動して製品情報シートをダウンロードできるボタンが現れる仕組みで、お客様が同社製品を安心して使用できるような情報を記載しているとしています。
 ただ、安全データシート(SDS)が必要な場合についてはこちらの仕組みではダウンロードできないとのことで、購入取引先に問い合わせてほしいと呼びかけています。

【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.レンゴー副社長 段ボール製品の値上げは浸透との見解

 1月17日付の日本経済新聞紙上にて、レンゴー副社長の段ボール製品に関するインタビューが掲載されています。2024年春に表明した段ボール製品単独の(原紙とセットではない)値上げについてはほぼ受け入れられたとの認識で、2025年の内需は若干のマイナスと見通し、各社の原紙供給能力が需要を上回り、環境対応や老朽設備の更新などを迫られるなか、各社で設備の整理の話が出てくるかもしれないとの見解を示しています。
 

2.レンゴー 「JPMインストアマーケティングショー&アワード2024」で10点の作品が受賞

 レンゴーは1月27日、一般社団法人日本プロモーショナル・マーケティング協会(JPM)主催の「JPMインストアマーケティングショー&アワード2024」において、同社が関わった10点の作品が受賞したと発表しました。同アワードは日本で最大のPOP広告のコンテストで、コンセプトの独創性、デザイン・加工技術の優良さ、材料選定・製造コストの適切さ、流通・使用への配慮、マーケティング効果などの審査基準で優れたPOPお広告や店頭什器が顕彰されるものとのこと。同社は海外製木製重機を紙製で再現した工夫などで審査員特別賞・食品部門金賞を得た「リンドールWOW什器」など、10部門で受賞したと発表し、今後もクリエイティブなデザインや提案によりお客様の商品開発、販売促進、イメージアップに貢献していくとしています。
 

3.『紙エールデザインウインドウ』アジアスター賞を受賞

 日本紙パルプ商事は1月22日、株式会社イムラと共同で出品した『紙エールデザインウインドウ』がアジアスターコンテスト2024のエコパッケージ部門でアジアスター賞を受賞したと発表しました。同コンテストはアジア各国の優れたパッケージを世界に紹介することを目的としたコンテストで、各国の国内コンテストで入賞した選りすぐりのパッケージ作品が、革新性、機能性・利便性、グラフィックアピール、適正性・効率性の審査基準で審査され表彰されるものとのこと。紙自体に特殊な加工を施すことで窓部分を透明にし、通常の製品で必要とされる他素材との貼り合わせによる透明化が不要な『紙エールデザインウインドウ』について、同社はプラスチックフィルムパッケージからの置き換えによる脱プラスチックへの貢献をアピールしています。
 
【その他の市況/状況】

1.王子HD 大人用紙おむつの生産拠点を再編

 王子ホールディングスは1月21日、同社グループの王子ネピアが手掛ける大人用紙おむつの生産体制を再構築すると発表しました。2026年1月をもって王子ネピア・富士宮工場を閉鎖し、生産工場を福島工場・名古屋工場の2拠点に集約するとのこと。1月22日付の日本経済新聞ではその狙いを、生産効率と収益性の改善と説明しています。
 

2.12月の家庭紙店頭価格が横ばい

 1月25日付の日本経済新聞紙上にて、2024年12月の家庭紙の店頭価格が全品目で前月比横ばいとなったと報じられています。東京紙商家庭紙同業会の調べによるもので、全品目が前月比横ばいとなるのは6か月連続とのこと。12月は年末の需要期ですが、その時期特有の安売りは一部商品に限られたとの見方を記事では伝えています。
 
【ESG、SDGs等関連】

1.日本製紙 石巻工場の燃料転換が政府の支援事業に採択

 日本製紙は1月21日、同社石巻工場の燃料転換が、GX移行債を活用した政府による支援事業「排出削減が困難な産業におけるエネルギー・製造プロセス転換支援事業(事業Ⅱ(化学・紙パルプ・セメント等))」に採択されたと発表しました。同社が掲げる「バイオリファイナリー構想」などに基づく戦略を着実に実行していくことが前提とのことで、同社は今後社内決済プロセスを経て補助金交付の手続きを進めていくとしています。
 同社は化学パルプから新たなバイオマス素材を生み出すという「バイオリファイナリー構想」のもと、現在供給している溶解パルプ、機能性セルロース、コンクリート用混和剤、トルラ酵母などに加え、バイオエタノール、セルロースナノファイバー、バイオコンポジットなどの新しいバイオマス素材の開発・事業化を進めており、今回得る補助金で石巻工場の石炭ボイラーを停機して高効率な黒液回収ボイラーを設置することで燃料転換を進め、石巻工場のGHG排出量を大幅に削減、石巻工場をライフサイクルGHG排出量の少ないグリーン製品の製造拠点とするとともにバイオリファイナリー事業の拡大を目指すとしています。
 

2.日本製紙 紙コップリサイクルを井口グループと共同で開始

 日本製紙は1月23日、株式会社井口、株式会社サンティアと共同で2025年1月より使用済み紙コップのリサイクルを開始したと発表しました。井口、サンティアの両社は長野県内で3施設のホテル・旅館を運営していますが、脱衣所で提供している冷水サービスの紙コップが使用後廃棄されていたことが課題だったとのことで、今回、3施設で紙コップを分別・回収、日本紙通商が破砕・洗浄・梱包し、日本製紙で古紙として再利用する仕組みを構築したとのこと。紙コップは紙とプラスチックとの貼り合わせであることや衛生などの観点から古紙再生促進センターが定める分類ではリサイクル禁忌品とされており、使用後は焼却されるのが一般的ですが、同社はプラスチックと紙をそれぞれの素材に分離し再生紙繊維を取り出す再資源化を実現しており、今後は紙コップから取り出した紙繊維でエコバッグやトイレットペーパーなどを再生して3施設で還元利用してもらうことも検討し、資源循環の推進と二酸化炭素排出量の削減につなげることを目指すとしています。

【印刷、製品、その他関連】

1.紙製人工芝を屋外に敷設

 KPPグループは1月16日、同社グループ会社の王子ファイバー株式会社が企画・製造する紙製人工芝が神奈川県葉山町の南郷上ノ山公園内のインクルーシブ広場に敷設されたと発表しました。同社の紙製人工芝が屋外に敷設されるのは実用化以来初めてとのことで、屋外で使用する際の耐久性などを検証するトライアル敷設も兼ねているとのこと。既存のプラスチック製人工芝はマイクロプラスチックの海洋流出の一因と考えられることからその代替として紙製人工芝の普及を図っているとのことで、同社はこの敷設でシーズンごとの状態確認と使用環境による変化などを調べて改良につなげていく予定であるとしています。
 

2.大日本印刷「こんなところに書店があったら」を体験できる企画展

 大日本印刷は1月24日、企画展「助太刀書店~もしこんなところに書店があったら~」を2025年1月31日~3月28日、同社が運営する「DNPプラザ」で開催すると発表しました。

・オフィスや住まいのなかに書店があったら、を体験できる、生活シーンに合わせたミニ書店の展示
・学研が提供する、子供の成長に応じた興味や思考の変化の目安を年齢ごとにまとめた「学びマップ」と「DNP子ども読書活動支援キット」をコラボした、子どもが自然と本に触れたくなる仕掛けを施した本棚
・書籍と一緒に組み立て式の書棚が届き、すぐに書店が開業できる「ポータブル書店」のコンセプト什器の展示
・「DNP書店開業サービス」実例第一弾、札幌市の「定山渓第一寶亭留翠山亭」の「風呂屋書店」をバーチャル空間に再現
・作家とコラボしたトークイベントなど
・アンケートに答えた人への数量限定、企画展限定の栞プレゼント

が開催される予定とのことで、同社は今後も『本のある場づくり』を推進し、出版業界の一層の活性化、文化の醸成などにつなげていくとしています。
 

3.毎日新聞 北海道の一部で配送休止

 1月24日付の日本経済新聞紙上にて、毎日新聞が3月末で北海道の道東・道北地域での新聞の配送を休止すると報じられています。用紙代や輸送費などのコストの高騰によるものとされており、旭川市とその周辺の一部地域では配送が継続されると伝えられています。
 

4.日本製紙連合会 ラブレターイベントを開催

 日本製紙連合会は1月15日、「ラブレターイベント2025 バレンタインデーは、手紙を書こう。」を大阪と横浜で開催すると発表しました。同イベントは「手紙を書く」という体験を通じて、デジタルにはない、紙に書いて気持ちを伝えることの良さや効果を理解してもらうことを目的として開催されるもので、2011年の開始以来昨年までは封書での応募によるコンテスト形式でしたが、今回からイベント中心の実施となるとのこと。イベントはグランフロント大阪での開催が2月1日、2日、横浜ランドマークプラザでの開催が2月8~11日の4日間とのことで、イベント会場で書かれたラブレターをエリア内に展示、コンテストではなく抽選で景品がもらえ、投函されたラブレターは思いが成就するよう後日神社で祈祷されるとされており、同会は参加を呼び掛けています。
 
 
※文中敬称略
※文章は2025年1月29日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。