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華陽ニュース

不定期配信 江戸ネタ 25

今年の大河ドラマ「べらぼう」の舞台、江戸。文化の担い手が特権階級から町民へと広がり、政治に与える経済の影響が拡大するこの時代には、様々な文化や風習が新しく生まれ、現代へとつながっているものもあります。
江戸時代の出版や紙、風習や様々な出来事などについて、小ネタをご紹介致します。

25 「何羨録(かせんろく)」

 夜中に出掛けて早朝まで仮眠とか、冬の磯で波しぶきを浴びながらとか。魚釣りとは過酷な趣味だな、と思うのですが、釣りが趣味として盛んになったのは江戸時代からだそうです。武士の間で始まった趣味としての釣りには修練の意味もあったそうで、生類憐み政策の一環として趣味としての釣りが禁止された時代にも、理由をつけて釣りを楽しんで牢屋送りになったり島流しになったりした人がいたとか。解禁となった後は人気の趣味のひとつとして町民の間でも釣りが楽しまれ、歌川広重の門下である歌川広景の「江戸名所道戯尽」などにその様子が描かれています。
 その釣りの日本最古の指南書として知られているのが『何羨録』です。津軽采女という人が1723年に著したとされるもので、江戸湾でのキス釣りの釣り場、釣り具、餌、気象などの注意点について記されています。出版はされなかったようで、現代に残されているのは写本が6部のみですが、様々な釣り針の形が絵付きで紹介されていたり、序文に「釣徒の楽しみは一に釣糸の外なり。利名は軽く一に釣艇の内なり(釣り人の楽しみは釣果ではない。利益や名声は釣り船の上では意味がない。:華陽紙業意訳)」と書かれていたりと、釣りがお好きな人なら楽しめるポイントが多い1冊なのかもしれません。