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華陽ニュース

紙の市況(2025.10)詳細 10月10日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.段ボール原紙・印刷用紙価格 横ばい見通しとの報道

 9月27日付の日本経済新聞紙上にて、主要な産業資材12品目の国内取引価格の10~12月見通しが発表されました。「段ボール原紙」「印刷用紙」は7~9月実績、10~12月見通しともに横ばいとの判定。段ボール原紙は製紙各社により10月からの値上げが発表されていますが、飲料や食品といった梱包物の荷動きが鈍く、交渉が長期化すれば10~12月期の取引価格は横ばいとなりそうだとの見方を記事では示しています。
 

2.王子グループ ブランドデザインを一新

 王子ホールディングスは10月1日、ブランドデザインを一新し、新たなグローバルブランドマークとタグラインの運用を開始すると発表しました。

企業グループとして成長し地球のサステナビリティに貢献するため、事業ポートフォリオのさらなる転換を急務として取り組む変革の意思を、全てのステークホルダーの皆様に明確に発信し、変革を着実に遂行するため

と、今回の変更の背景を説明しています。
 同社グループの新しいタグラインは「サステナビリティへの貢献」を端的に表現する「Dedicated to Sustainability」で、新しいブランドデザインの導入を通じて

・王子グループのブランドイメージの浸透
・グループ全体の一体感の醸成

を図り、世界中の多様な事業領域において、グループ一丸となって挑戦を加速し、皆さまの課題解決に貢献できるよう、さらなる努力を重ねていくと表明しています。
 

3.日本製紙 3工場の紹介動画を公開

 日本製紙は10月2日、石巻工場、岩沼工場、勿来工場の紹介動画を更新し、公式YouTubeチャンネルとウェブサイト動画ギャラリーページに掲載したと発表しました。同社が工場の動画をWEB公開するのは初めての試みで、抄紙設備や工程を分かりやすく解説しているとのこと。同社事業を知って頂くきっかけとして是非動画をご覧頂きたいと同社は呼び掛けています。
 

【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.王子HDのエコパッケージ試作品が展示

 王子ホールディングスは10月1日、同社が開発したサステナブルパッケージの試作品が2025年8月に開催された「東京おもちゃショー2025」のタカラトミーブースで展示されたと発表しました。「エコ素材で作った プラレールECOセレクションセット」の試作パッケージとして、ビニール袋や輪ゴムを使わなくても部品が固定されずれない構造や、ビニール袋で保護しなくても塗装がこすれない仕組みなど、随所にちりばめられた工夫によって従来使用していたプラスチック素材を使用しない構造設計が高く評価されたとのこと。このパッケージを制作
するにあたり同社は、商品保護や収納性といったパッケージ本来の機能を維持するため素材の選定から設計手法まで一から見直しを行い、素材のみならず、デザインも含んだ総合的なパッケージングソリューションを提供することで環境負荷の低減を目指したとしており、今後もサステナブルな未来へ貢献するため素材・技術の開発と提供を推進していくとしています。

2.王子HD共同開発の液体用紙製小袋が採用

 王子ホールディングスは10月3日、同社と大成ラミックグループが共同開発した液体食品向け紙製小袋がキューピーのドレッシング包材に採用され、9月20日より日本航空の一部の国際線機内食で順次提供を開始したと発表しました。王子HDの製紙技術、大成ラミックのラミネート技術や充填機製造による包装技術を活かし、紙素材を主成分としながら酸素や水蒸気に対する高いバリア性を確保した、サステナビリティと機能性を両立した新たな包材を開発したとのこと。今回の紙製包材の導入により、従来の大成ラミックのプラスチック製パッケージと比較して、1袋当たりプラスチック使用量を44%削減、二酸化炭素排出量は25%削減となると、同社はその環境優位性を明らかにしています。
 
 
【その他の市況/状況】

1.家庭紙8月店頭価格が横ばい

 9月30日付の日本経済新聞紙上にて、家庭紙の8月の店頭価格が前月比横ばいとなったと報じられています。東京紙商家庭紙同業会のまとめによるもので、主要商品すべてで前月比横ばいとなるのは2か月ぶりだと記事では伝えられています。
 

2.ENEOS 高硫黄C重油7~9月期下落

 10月4日付の日本経済新聞紙上にて、ENEOSと大口需要家が7~9月期の高硫黄C重油価格交渉を決着したと報じられています。4~6月期比1%下落となったとのこと。原油価格の下落などを反映したもので、引き下げは2四半期連続となると記事では伝えられています。
 

【ESG、SDGs等関連】

1.王子HD 東大主導のCGC‐Nature on the Balance Sheet協賛事業に参加

 王子ホールディングスは9月26日、自然資本価値に関する国際ルールメイキングに日本の声を反映させることを目的に始動した東京大学と国内企業のプロジェクト『CGC‐Nature on the Balance Sheet協賛事業』に参加したと発表しました。森林、土壌、水、大気、生物資源等の自然の構成要素を『自然資本』と呼んで経済価値として捉える『自然資本会計』を制度化することで劣化する自然環境の回復を目指す議論が活発化するなか、プロジェクトを主導する東京大学グローバル・コモンズ・センターは海外の機関と連携し、自然資本の価値が経済の意思決定に組み込まれ、企業の財務諸表に反映されるためのロードマップの策定に先駆的に取り組んでいるとのこと。同プロジェクトはそのロードマップ策定を含む国際ルールメイキングの過程において日本企業の積極的な参画と意見の反映を推進するもので、同社は100年以上植林によるサステナブルな森林経営を実践してきた企業として、同社独自の取り組みに加え、このコンソーシアムによって、日本目線での国際ルールメイキングへの働きかけを行い、保有山林からの価値創出を目指していくとしています。
 

2.レンゴー EcoVadisのサステナビリティ評価でブロンズメダル獲得

 レンゴーは9月26日、国際的なサステナビリティ評価機関であるEcoVadis社の評価でブロンズメダルを獲得したと発表しました。公式サイトの発表によると、EcoVadis社は主にバイヤー企業向けに、サプライヤー企業のCSR方針や施策、業績の評価サービスを提供している企業で、ブロンズメダルは評価対象企業のうち総合スコアが上位35%以内の企業に授与されるものであるとのこと。レンゴーは今後も企業活動を通じて社会課題の解決に貢献し、持続可能な社会の実現に向けて、サステナビリティ活動を一層強化していくとしています。
 

【印刷、製品、その他関連】

1.日本紙パルプ商事 和紙糸を使ったアパレル製品を開発

 日本紙パルプ商事は9月29日、展示会の案内に伴って、和紙糸を使った「和紙糸生地」をモリトアパレル株式会社と共同で開発したと発表しました。計画的に成木を伐採することで二酸化炭素吸収量を高い水準で維持するよう管理された森林の、計画的に伐採された木を原料として生産された極薄の和紙から加工した糸で「和紙糸生地」を開発し、Tシャツなどのアパレル製品を製作したとのこと。10月1~3日に開催された「サステナブルファッションEXPO秋」のモリトアパレルのブースではこの「和紙糸生地」のアパレル製品が展示されたほか、モリトグループ企業の株式会社マテックスが開発した「ASUKAMI🄬(アスカミ、衣料品生産時に発生する端切れなどを混抄した紙)」も展示され、紙の新しい楽しみ方やスタイルが提案されたとのことです。
 

2.中パのCNF 腕時計のバンドに採用

 中越パルプ工業は10月1日、同社のセルロースナノファイバー「ナノフォレスト」がカシオ計算機のアウトドアウォッチ「PRO TREK(プロトレック)」のデュラソフトバンドに採用されたと発表しました。「ナノフォレスト」シリーズのなかで樹脂・ゴムに分散しやすい粉末状CNF「nanoforest‐PDP」をゴム素材に練り込み腕時計のバンド用にカスタマイズ、フィット感を重視しながら強度アップを実現させたとのこと。同社は再生可能資源由来のCNFの実用化を推進し、気候変動への対応や資源循環の推進、脱炭素社会の実現といったグローバル課題の解決に向けた取り組みを今後も進めていくとしています。
 

3.SCREEN デジタル印刷機実演の拠点を開設

 SCREENグラフィックソリューションズとSCREEN GP ジャパンは10月6日、東京・門前中町事業所内に「インクジェットイノベーションセンター東京」を開設したと発表しました。従来の情報発信拠点をリニューアル、SCREENグラフィックソリューションズが開発・製造するデジタルインクジェット印刷機「Truepressシリーズ」の実機の展示やデモンストレーションを行うとのこと。同拠点は「インクジェットイノベーションセンター京都」を皮切りに北米、欧州拠点に続く4か所目の拠点で、7日付の日本経済新聞の記事によれば、様々な紙質やインクで試し刷りができるとされています。
 

※文中敬称略
※文章は2025年10月8日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。