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華陽ニュース
不定期配信 江戸ネタ 36
今年の大河ドラマ「べらぼう」の舞台、江戸。文化の担い手が特権階級から町民へと広がり、政治に与える経済の影響が拡大するこの時代には、様々な文化や風習が新しく生まれ、現代へとつながっているものもあります。
江戸時代の出版や紙、風習や様々な出来事などについて、小ネタをご紹介致します。
36 「新吉原規定証文」
環境配慮や適正な取引、働く人の安全や健康を守るため、等の目的から様々な業界で独自の「自主規制」「自主基準」「自主行動計画」といったものを定めていることがありますが、吉原にもその自主基準があり、それが「新吉原規定証文」という文書でした。最初に制定されたのが1795年(寛政7年)、その後、1845年(弘化2年)、1853年(嘉永6年)に改訂が試みられたものが残っており、それぞれ「寛政規定」「弘化規定」「嘉永規定」と呼ばれています。「寛政規定」には「この頃仲間の風儀が良くないため、役所から言われたので」と作成理由が記されているそうなので、完全に自主的なものか、と考えると疑問が残るところかもしれませんが、客の身元確認や不審者が出た場合の対処、遊女の衣類や髪飾り、身揚げする場合の決め事、大河ドラマの第1話にも登場したお客の腰の物の取り扱いなど、吉原の遊女屋が守るべきルールを81の項目について取り決めた規定の写本などが現在に残されています。