KAYO NEWS
華陽ニュース
不定期配信 マウスちゃんとメモリ主任のIT1年生63
情報の重要性が増す昨今、弊社では情報セキュリティについて、その意義や情報を共有する取り組みを続けています。
担当チームが社内向けにまとめた資料などを基に、軽い読み物を不定期でお届けできればと思いますので、ご笑覧頂ければ幸いでございます。
ある夕方。いつもより疲れた表情で帰ってきたイーさんに、マウスちゃんが声を掛けます。
「お帰りなさい、イーさん。あれ?いつもより疲れてますか?」
食べます?と差し出されたお菓子を受け取りながら、イーさんが溜息をつきます。
「クレーム処理ですか?」
「正解。お客様から念を押されてたのに、納期に間に合わなくて。」
「ああ、例の。」
代替策を講じて誠実に謝ったためか、最後には許して頂けたものの、そこに行き着くまでさんざんお説教されたのだとか。
「でも、あれ、イーさんが悪いわけじゃないですよね?仕入にも購買先にもメールと電話で何度も確認して、確約をもらってたのに、結局、購買先がミスしたんじゃなかったでしたっけ?」
「その辺りはお客様には関係ないことだからなあ。購買先の管理も含めて当社に任せて頂いている仕事なんだから、何かあったらそれはうちのミスになるんだよ。」
「理屈は分かりますけど、やるせない・・・サプライチェーン攻撃と同じですね。」
「サプライチェーン攻撃?」
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「大流行したときがあったじゃないですか。部品会社のシステムが攻撃されて、部品の供給が止まったせいで完成品の出荷も止まっちゃったり。」
「病院にサービスを提供していた会社のシステム経由で侵入されて、カルテシステムが運用できなくなった例もあったよね。」
「そう、それです。供給網のどこかが攻撃されることで製品やサービスの全体に被害が及ぶから、サプライチェーン攻撃。今の例で言うと、内部システムにはちゃんと対策をしていたにもかかわらず供給者経由で被害に遭った完成品メーカーや病院が、完成品を受け取れないお客様や患者さんにとっては対策が不十分だったってことになるわけですから、イーさんと立場は同じだなって。」
「確か、そういう事例をきっかけに、サプライチェーン全体でサイバー対策することが必要だって、世間に周知されたんだったよね。」
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「そう言えば、経済産業省が何か対策をするって話だったような・・・」
「『サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度』のことですね、多分。まだ案ですけど、2026年度末の制度開始を目指してるって話ですよ。」
「そもそも、発注される側の企業が、発注する側の企業の求めるセキュリティ基準を満たす対策をするだけのことじゃないの?」
「発注する側を発注者、発注される側を受注者、とすると、発注者の求める基準を全部クリアするには受注者の金銭的・人的資本が足りないってこともあるし、複数の発注者がそれぞれの独自基準で対応を受注者に求めたら、受注者はどの基準で対応すればよいか混乱するでしょう?だから公的に基準を★3と★4の2パターン、将来的には★5を加えた3パターンに決めて、それを元に発注者と受注者が交渉する、っていう制度なんですって。」
「発注者が求めるセキュリティ対策を受注者が無理なく実施して、サプライチェーン全体の安全性を高めようっていう制度なんだね。」
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「受注者が中小企業の場合、より無理なくセキュリティ対策を導入するために、『サイバーセキュリティお助け隊サービス』を拡充するって話ですよ。」
「『サイバーセキュリティお助け隊サービス』って?」
「サイバー攻撃への対処として不可欠な『異常の監視』『問題が発生したときの駆け付け』『万一のための保険』などをひとつのパッケージにして提供してくれる民間事業者を国が認定するサービスです。安価で提供、っていう条件が付いてるので、中小企業でも導入が比較的容易な設計になってるんですって。」
「そのお助け隊が★の取得のための支援をしてくれるってわけだね。」
「まあ、まだ案なので、そういう想定をしているっていう段階なんですけどね。でも、何をやればよいかがはっきりして、今何ができてないかをお助け隊が見てくれて、できるようにするためにどんなツールを入れたら良いかとかどんなことを決めて実施すれば良いかをアドバイスしてくれる、っていう風になれば、基準がバラバラで全部自力でやらなきゃいけない状態よりは随分ハードルが下がりそうですよね。」
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マウスちゃんとの雑談で少し気が晴れたように見えていたイーさんですが、何かを思いついてまたがっくりと肩を落とします。
「マウスさん、その話だと、僕の場合とはひとつだけ大きく違う点があるよ。」
「何ですか?」
「その制度はどちらかというと発注者が大企業、受注者が中小企業の場合を想定してるよね。でも・・・」
「・・・なるほど」
そう言えば、その点が、今回イーさんがひとりでお客様のところに謝りに行った所以でもあるのでした。
「僕もお助け隊が欲しい・・・」
呟いて椅子に沈み込むイーさんに、そっとお菓子の箱を差し出すくらいしかお助けできないのが歯がゆいマウスちゃんなのでした。