登場人物御紹介
「まあ、良いじゃない。どっちも同じ意味だし、ある意味、どっちも間違ってるとも言える。」「?」「学校で使われる紙って、紙の用語で言うと、中質紙か更紙でしょ?大きい分類でいうなら中級印刷用紙とか下級印刷用紙。」「なるほど。あ、でも僕、仕事ではあんまり、中質とか更とか使ったこと無いです。」「上質紙に比べると、確かに出番は少ないかな?でも、上質紙より良いとこもあるんだけどね。」
「分類上は非塗工印刷用紙の一種ですよね?」「そう。表にすると・・・」
「晒化学パルプの量が減るのに応じて、白色度もどんどん下がっていくって感じですね。」「ものすごく大雑把にいうと、木材って、セルロースっていう繊維同士をリグニンっていう接着剤がくっつけてることで、木になってるんだよね。で、紙を作るのに必要なのはセルロース。これはもともと白い。一方のリグニンには色が付いている。」「白い紙を作るためには、リグニンを取り除いてしまえば良い?」「そういうこと。それを薬品でやっているのが、晒化学パルプ。」
「ちなみにリグニンは太陽光で退色するから、機械パルプが多く含まれた紙は退色もしやすい。」「じゃあ、全部の紙を化学パルプで作っちゃえば良いんじゃないですか?」「機械パルプを使う利点もあるからね。それが 、上質紙じゃなく、中質紙以下を使う利点にもなるの。中質紙や更紙の良いところは・・・」
「こういう特性を生かすとなると、どんなものに向いてると思う?」「本文用紙ですよね。あとチラシ。」「そういうこと。書籍、教科書、雑誌、マンガ本、電話帳用紙とかね。そして、こういう、学校や官庁で使う簡易印刷機の用紙にも多用されてるってわけ」
「主な銘柄はこんな感じ」
「一つのメーカーにいくつもの銘柄があるのは、グレードが違うからですか?」「それと、米坪が低いのに不透明度が高い商品とか、より嵩高とか、それぞれ特徴があるから、詳しくは紙屋さんに問い合わせてみてね。」
「それにしても先輩、わらでも何でもないのに、『わら半紙』って言うのは何故ですか?」「明治時代には本当に、稲のわらが原料だったらしいよ。でも、わらが採れるのって、お米の収穫が終わった秋だけでしょ?1年分の原料を在庫しておかなきゃいけないし、技術が進んで他のパルプの方が安価になったりして、だんだん使われなくなって、今では言葉だけが残ってるって経緯みたい。」
「そう言えば、マンガ雑誌って、ページによって色がピンクだったり、みどりだったり色々でしょ?あれ、季節によって売れる色が違うから、とか、ちゃんとした理由もあるんだけどね。・・・・・・・って理由もあるんだって。」 「そんな単純な話なんですか?」 「らしいよ。ほかにも、同じ色の中でも、また、別の裏話があるんだけど、それはまた今度ね?」 「それは良いけど、先輩、『ざらばんし』って何ですか?」 「・・・それは忘れていいから。」 「『わらばんし』が正しいんですよね。じゃあ、『ざらばんし』ってもしかして・・・」 「うるさいよ、自分。自分だって、『B紙』とか『くろにえ』とか『じぇじぇ』とか言っちゃう国の人のくせに。」 「『じぇじぇ』は違います、先輩。それに、『くろにえ』や『じぇじぇ』のどこが悪いんですか?205万人の岐阜県民と131万人の岩手県民の皆様に謝って下さい!」 プリントを前にぎゃあぎゃあと自分の故郷を擁護しあう、のんきで平和な昼休みなのでした。
2019-02-08
【紙のソムリエ】シートくんとロール先輩の紙修行 83 新入社員様基礎編23古紙・再生紙
2019-02-20
新製品情報(2019.2)
紙の規格変更・廃判情報(2019.2)
バックナンバー
学校からの案内プリントをにこにこ読んでるシートくん、そのうちはたと気づきます。「そう言えば、僕、仕事ではこの紙使ったこと無い・・・」
登場人物御紹介
シートくん
ロール先輩
ブック部長
パレットちゃん
「まあ、良いじゃない。どっちも同じ意味だし、ある意味、どっちも間違ってるとも言える。」「?」「学校で使われる紙って、紙の用語で言うと、中質紙か更紙でしょ?大きい分類でいうなら中級印刷用紙とか下級印刷用紙。」「なるほど。あ、でも僕、仕事ではあんまり、中質とか更とか使ったこと無いです。」「上質紙に比べると、確かに出番は少ないかな?でも、上質紙より良いとこもあるんだけどね。」
「分類上は非塗工印刷用紙の一種ですよね?」「そう。表にすると・・・」
「晒化学パルプの量が減るのに応じて、白色度もどんどん下がっていくって感じですね。」「ものすごく大雑把にいうと、木材って、セルロースっていう繊維同士をリグニンっていう接着剤がくっつけてることで、木になってるんだよね。で、紙を作るのに必要なのはセルロース。これはもともと白い。一方のリグニンには色が付いている。」「白い紙を作るためには、リグニンを取り除いてしまえば良い?」「そういうこと。それを薬品でやっているのが、晒化学パルプ。」
「ちなみにリグニンは太陽光で退色するから、機械パルプが多く含まれた紙は退色もしやすい。」「じゃあ、全部の紙を化学パルプで作っちゃえば良いんじゃないですか?」「機械パルプを使う利点もあるからね。それが 、上質紙じゃなく、中質紙以下を使う利点にもなるの。中質紙や更紙の良いところは・・・」
「こういう特性を生かすとなると、どんなものに向いてると思う?」「本文用紙ですよね。あとチラシ。」「そういうこと。書籍、教科書、雑誌、マンガ本、電話帳用紙とかね。そして、こういう、学校や官庁で使う簡易印刷機の用紙にも多用されてるってわけ」
「主な銘柄はこんな感じ」
OKスターライト、OKサワークリーム
OKニューライト
苫更
フロンティタフ(80、75、70)
タイオウハイネ
おうむ
シロマリ
トクギンマリ
スターエルム、スターロベリア
「一つのメーカーにいくつもの銘柄があるのは、グレードが違うからですか?」「それと、米坪が低いのに不透明度が高い商品とか、より嵩高とか、それぞれ特徴があるから、詳しくは紙屋さんに問い合わせてみてね。」
「それにしても先輩、わらでも何でもないのに、『わら半紙』って言うのは何故ですか?」「明治時代には本当に、稲のわらが原料だったらしいよ。でも、わらが採れるのって、お米の収穫が終わった秋だけでしょ?1年分の原料を在庫しておかなきゃいけないし、技術が進んで他のパルプの方が安価になったりして、だんだん使われなくなって、今では言葉だけが残ってるって経緯みたい。」
「そう言えば、マンガ雑誌って、ページによって色がピンクだったり、みどりだったり色々でしょ?あれ、季節によって売れる色が違うから、とか、ちゃんとした理由もあるんだけどね。・・・・・・・って理由もあるんだって。」
「そんな単純な話なんですか?」
「らしいよ。ほかにも、同じ色の中でも、また、別の裏話があるんだけど、それはまた今度ね?」
「それは良いけど、先輩、『ざらばんし』って何ですか?」
「・・・それは忘れていいから。」
「『わらばんし』が正しいんですよね。じゃあ、『ざらばんし』ってもしかして・・・」
「うるさいよ、自分。自分だって、『B紙』とか『くろにえ』とか『じぇじぇ』とか言っちゃう国の人のくせに。」
「『じぇじぇ』は違います、先輩。それに、『くろにえ』や『じぇじぇ』のどこが悪いんですか?205万人の岐阜県民と131万人の岩手県民の皆様に謝って下さい!」
プリントを前にぎゃあぎゃあと自分の故郷を擁護しあう、のんきで平和な昼休みなのでした。
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