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【紙のソムリエ】シートくんとロール先輩の紙修行 31 すっぴん?~書籍用紙~

【今回のお話】
読了した喜びをかみしめるシートくん。早速本に影響されて・・・
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登場人物御紹介

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シートくん
岐阜の印刷会社で働く、若手営業マン。知識と経験の不足を熱意でカバーすべく、今日も元気に紙修行中。
毎日のご飯が美味しいことが、何より嬉しい食欲の秋。
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ロール先輩
何かと足りないシートくんを優しく導く、工務の先輩社員。
夜長の読書がさくさく進むのが、何より嬉しい読書の秋。
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ブック部長
シートくんやロール先輩の仕事ぶりを温かく見守る営業部長。 130507_palet
パレットちゃん
いつも優しくて可愛い総務の先輩。実は意外に・・・

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「先輩、読み終わりました!」ある日の夕方、元気いっぱいのシートくんが、営業から帰ってきて早々、ロール先輩の机に押しかけます。手には、この間からシートくんが、涙ぐみながら読んでいた1冊の本が握られています。 141010_somu01
141010_somu02 「僕、もう感激しちゃって!この紙、僕も使いたいです!」今すぐ仕入しろと言わんばかりの迫力にたじろいで、ロール先輩、ちょっと引き気味に背を逸らします。

「いや、ちょっと待って、シートくん。まず、『この紙』ってどの紙?それから、どの仕事に使うつもりなの?」「今打ち合わせてるので、報告書の仕事があるんです。それの本文用紙に・・・」「いや、だから。提案するのは良いとしても、印刷品質とかコストとか、考えてる?」「えっと・・・・・・」

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「まず、シートくん。本文用紙って言ったら?」「とりあえず浮かぶのは、書籍用紙、ですね。実際には色々ですけど。」「だよね。じゃあ、書籍用紙ってどんなもの?」「上質紙と同じで非塗工印刷用紙に分類されます。繰り返しになりますけど・・・」

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「こんな感じで、『印刷・情報用紙』>『非塗工印刷用紙』>『上級印刷紙』>『その他印刷用紙』の一つとして分類されています。特徴は・・・」

書籍用紙の特徴 晒化学パルプ100%使用。名前の通り書籍に用いられる用紙であるため、平滑性や印刷適性に加え、不透明度の高さや、しなやかな腰、しっとりした肌、目にやさしい色合い、長期保存に耐える中性であること、などが求められる。
用途 主に書籍等の本文用紙。

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「特徴を見ていると、上質紙+アルファ、って感じですよね。書いてあるものが読めればいいだけなら上質紙で十分なんだろうけど、本としてより読みやすいように、目が疲れにくいように、めくりやすいように・・・って考えて、改良していったらこうなりました、っていうか。」
「そうだね。そのプラスアルファのせいかな?書籍用紙って、定義があいまいなところがあるんだよね。例えば、日本紙板紙卸商業組合が出している2014年版の手帳に、北越紀州製紙さんの書籍用紙として上げられている銘柄を見ると・・・」

非塗工 微塗工 「あれ?書籍用紙ってそもそも非塗工なんじゃ?」
「なんだよね。だから、北越紀州さんの公式サイトでは、HSのシリーズは書籍用紙じゃなくて、微塗工に分類されているの。でも、同じ公式サイトでは、淡クリームキンマリって、書籍用紙じゃなくて、上質紙っていう扱いになってるんだよね。」
「クリームキンマリが書籍用紙じゃないっていうのは、何か違和感ありますね・・・」
淡クリームキンマリ
パスピエクリーム
メヌエット
淡クリームラフ書籍
HSハミング
HSホワイトハミング
HSホワイトソフト
HSスノーフォース
HSライトフォース

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「その、書籍と言えばクリームキンマリっていう感覚もね、使う用途によっては違うのかなと思う。例えば、参考書なんかの商業印刷では、書籍用紙と言えば、クリキン、琥珀、三菱書籍、だと思うんだけど、出版社の人が選ぶ文芸書用の本文用紙だと、OKサワークリームだったりオペラクリームだったりが選ばれたりする。」
「あ、そう言えば、この本にも、出版社ごとに文庫本の色に対する拘りがあるって話が書いてありました。一見みんな同じ白に見えるけど、〇〇社さんは黄色、〇〇社さんは赤みがかったの、とか。」
「最近の出版の方の書籍用紙の傾向は、紙厚があるのに軽くて、より白いもの、要するに嵩高紙だから、王子さんにしても日本さんにしても、出てくる新製品はその傾向に沿ったものが多いみたい。勿論それにだって理由があって、例えば、読者として想定されるのが・・・なら、軽くないと・・・・・・、とか、嵩高な紙を使うと束が出て高級感が出るとかね。出版社さんやデザイナーさんのそういう要望や分析に沿った商品開発がされているみたいだよ。」

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「と言うわけで。シートくんが使ってみたいのって、オペラクリームHOじゃなくてb7バルキーの方でしょ?これだって嵩高微塗工紙なんだから、写真とかが無い文字ものに使うのはもったいないと思うよ。もっと言うなら、本当に文字だけの報告書なら、多分上質紙で十分だし、コストを考えて提案しないとお客様に笑われちゃうよ?」
「そうですか・・・」
「まあ、写真集とかを作る時まで、b7バルキーは取っておいた方が良いんじゃないかな。そのb7バルキーにしても、人物写真だと仕上がりが少し粗い気がするから、風景写真で白黒とかだと味が出て良いのかもとも思うけど・・・ところで、シートくん、この手の書籍用紙の銘柄名に良く使われている『バルキー』って、どういう意味か知ってる?」
質問に首を傾げるシートくんに説明しようとするのを、
「バルキーっていうのはね、シートくんの天敵のことだよ。」
横からパレットちゃんが口を挟みます。シートくんだけでなく、ロール先輩まで曖昧な顔をするのに、
「食欲の秋だからって何でも飲み込んでると、釣り上げられちゃうよって話。」と、パレットちゃん、にっこり笑います。
「ブラックバスじゃないんだから・・・」パレットちゃんの言いたいことが分かって溜息を吐くロール先輩に、
「何だか分からないけど悪口ですよね!」と涙目で抗議するシートくん。
楽しそうに言い争う二人を見ながら、「まあ・・・・・・って言わなかっただけ、パレットちゃんも気を使ったんだよね・・・」と、何とか良い方に考えようとするロール先輩なのでした。

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