だんだん仕事に慣れてきたシートくん。今回は紙の「お化粧の違い」に悩まされます。 「違いが分かる男」になれるのか、シートくん!?
「ん?どうしたの、シートくん?」「あの、ロール先輩、『OKトップコート』ってマットコートじゃないんですか?前に別の先輩がマットコートの見積もりで、『OKトップコート』って紙屋さんに電話してたのを聞いた覚えがあるんですが・・・」「ああ、営業さんでたまにいるね、混同しちゃう人。違うよ。同じ王子製紙のコート紙だけど、正式名称では、グロスが『OKトップコート+(プラス)』、マットが『OKトップコートマットN』。OKトップコート、で切っちゃうと、紙屋さんは大抵『OKトップコート+』のことだと思っちゃうから、マットが欲しいのにグロスが届いちゃうことになるんだよね。」
間違えないでね、と再度去ろうとする先輩を、シートくん、もう一度呼び止めます。「あの、先輩、そもそも『グロス』と『マット』って、どう違うんですか?ツヤがあるのがグロス、ツヤがないのがマット、ていうのは習ったんですが、詳しいことは良く分からなくて・・・」「そう?じゃあ、基本からおさらいしようか。」打合せコーナーに腰を下ろしたロール先輩、メモ用紙に走り書きを始めます。
「でも先輩。」「ん?」「グロスコートもマットコートも同じコート紙ですよね?」「うん、そうだよ。」「だったら塗工量はほぼ同じと考えられますよね?なのに、グロスはツヤがあって、マットはツヤがないのは何故なんですか?」
「シートくん、グロスとマット以外に『ダルコート』があるのは知ってる?」「はい、えっと・・・」
「こんな感じですよね。」「うん、その通り。他にもね、グロスはマットと同じインキを使っても色が少し薄く感じられるとか、マットはグロスみたいにつぶされてない分、同斤量のグロスより紙厚があるとかっていう性質もあるから、覚えておいてね。」
「そう言えば、先輩、今日は何だか普段と印象が違いますね?」「あ、分かる?普段は私、下地+BBクリームなんだけど、今日は食事会でしょ?ちょっとファンデなんか変えてハーフマットっぽくしてみたんだ。どう?」 どうって先輩・・・その答えは僕にはグロスとマットの違いより遥かに難しいです・・・とは言えないシートくんは、「す、素敵です・・・」と小さく応えたのでした。
2019-02-08
【紙のソムリエ】シートくんとロール先輩の紙修行 83 新入社員様基礎編23古紙・再生紙
2019-02-20
新製品情報(2019.2)
紙の規格変更・廃判情報(2019.2)
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だんだん仕事に慣れてきたシートくん。今回は紙の「お化粧の違い」に悩まされます。
「違いが分かる男」になれるのか、シートくん!?
何か美味しいものが出ると良いなあ・・・なんて、ちょっと浮かれ気味で仕事をしていたシートくんのところに、ロール先輩が首をひねりながらやってきます。
「シートくん、この指図書なんだけど」「はい?何ですか?」「用紙の指定が『OKトップコート』になってるんだけど、工務のデータだと、この仕事、前回はマットコートでやってる筈なんだよね。」
「ん?どうしたの、シートくん?」「あの、ロール先輩、『OKトップコート』ってマットコートじゃないんですか?前に別の先輩がマットコートの見積もりで、『OKトップコート』って紙屋さんに電話してたのを聞いた覚えがあるんですが・・・」「ああ、営業さんでたまにいるね、混同しちゃう人。違うよ。同じ王子製紙のコート紙だけど、正式名称では、グロスが『OKトップコート+(プラス)』、マットが『OKトップコートマットN』。OKトップコート、で切っちゃうと、紙屋さんは大抵『OKトップコート+』のことだと思っちゃうから、マットが欲しいのにグロスが届いちゃうことになるんだよね。」
間違えないでね、と再度去ろうとする先輩を、シートくん、もう一度呼び止めます。「あの、先輩、そもそも『グロス』と『マット』って、どう違うんですか?ツヤがあるのがグロス、ツヤがないのがマット、ていうのは習ったんですが、詳しいことは良く分からなくて・・・」「そう?じゃあ、基本からおさらいしようか。」打合せコーナーに腰を下ろしたロール先輩、メモ用紙に走り書きを始めます。
正反射=表面が光って
ツヤがあるように見える
乱反射=反射した光が様々な
方向に拡散し、光らず、
ツヤが無いように見える
「正反射光?」
「光が入ってきたのと同じ角度ではね返る光のこと。それが多いほど、ツヤがあるように見える仕組みなの。」
「うん、正解。ただ、あくまで目安なんだけどね。詳しい数値は公開してないメーカーさんもあるし。まあ、一般的には、塗工量が多くなるほど、平滑性も上がって光沢、つまりツヤが出る、って覚えておけば良いと思うよ。」
「でも先輩。」「ん?」「グロスコートもマットコートも同じコート紙ですよね?」「うん、そうだよ。」「だったら塗工量はほぼ同じと考えられますよね?なのに、グロスはツヤがあって、マットはツヤがないのは何故なんですか?」
「スーパーカレンダー?」
「金属のロールの間を原紙が通って、加熱・加圧される仕上げ。ぎゅってつぶされる訳だから、より表面の凸凹が平坦になって、ツヤが出るんだよね。マットコートの場合は、この仕上げがされなかったり、されたとしても軽くだったりするから、同じ量だけ塗工されてても、グロスに比べると凸凹が残ってて、ツヤが出ない仕上がりになるんだよね。」
「シートくん、グロスとマット以外に『ダルコート』があるのは知ってる?」「はい、えっと・・・」
「こんな感じですよね。」「うん、その通り。他にもね、グロスはマットと同じインキを使っても色が少し薄く感じられるとか、マットはグロスみたいにつぶされてない分、同斤量のグロスより紙厚があるとかっていう性質もあるから、覚えておいてね。」
「そう言えば、先輩、今日は何だか普段と印象が違いますね?」「あ、分かる?普段は私、下地+BBクリームなんだけど、今日は食事会でしょ?ちょっとファンデなんか変えてハーフマットっぽくしてみたんだ。どう?」
どうって先輩・・・その答えは僕にはグロスとマットの違いより遥かに難しいです・・・とは言えないシートくんは、「す、素敵です・・・」と小さく応えたのでした。
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