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【紙のソムリエ】シートくんとロール先輩の紙修行 43 はじく?防ぐ?~撥水・耐水・防水~


【今回のお話】
野菜の話題から耐水紙の話になったシートくん。耐水って言うと合成紙・・・?と考えますが・・・・・・
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登場人物御紹介

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シートくん
岐阜の印刷会社で働く、若手営業マン。知識と経験の不足を熱意でカバーすべく、今日も元気に紙修行中。
コンビニでアイスよりも肉まんを買うようになったことに秋を感じる今日この頃。
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ロール先輩
何かと足りないシートくんを優しく導く、工務の先輩社員。
残業が無い夕方でも会社を出ると真っ暗になっていることに秋を感じる今日この頃。
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ブック部長
シートくんやロール先輩の仕事ぶりを温かく見守る営業部長。 130507_palet
パレットちゃん
いつも優しくて可愛い総務の先輩・・・?

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「た・・・ただ今戻りました・・・・・・」何故か息絶え絶えに戻ってくるシートくん。両手に営業カバン以外に大きな袋を抱えています。「サツマイモ!かぼちゃ!」中を覗き込んだパレットちゃんが歓声を上げます。
「今日の営業先の会長さんの趣味が家庭菜園で・・・なんだか色々たくさん頂いちゃって・・・・・・」ようやく荷物を下ろしたシートくん、荒い息の間から事情を説明します。「気に入られたってことでしょ?良かったね、シートくん」苦笑しながら扇いでくれるロール先輩に、シートくん、そう言えば、と質問します。「先輩、耐水とか撥水の紙って、どんなものがありますか?」

「もうすぐ白菜の収穫の時期だそうなんですけど、朝露でべたべたになっちゃうって仰ってたんです。だから、耐水とか撥水の包装紙の提案ができるんじゃないかなって。」
「・・・・・・色々おかしなところがあるような気がするけど、まず、紙に関するところから解決しようか。えっと、耐水紙や撥水紙、ね。あるよ。でも、どんな理由でどこまで水を防ぎたいかによって、何を紹介すれば良いかが変わってくると思うよ。」

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「どこまで水を防ぎたいか・・・」
「例えばね、ある本では、『撥水』と『防水』の違いを、こんなふうに定義しているの。」

撥水性 水滴をはじき、液体の水が浸透するのを防ぐ能力。紙やパルプの表面を水と馴染まないように加工するため、紙の中の繊維間の穴が開いたままで、水ははじくが、空気や圧力を加えた水は通過することができる。
防水性 水だけでなく、水蒸気の通過も防止する能力。紙の繊維罐の隙間を埋めてしまうため、圧力を加えられた水でも通過できなくなり、水蒸気や空気も透過しにくくなる。

「それから、全国段ボール協会の機能性段ボールの定義だと、こんな感じ。」

防水(耐水、撥水)段ボール
耐水段ボール 長時間浸水しても、あまり強度が劣化しないように加工した段ボール。
撥水段ボール 短時間水が掛かっても水をはじくように表面加工した段ボール。

(全国段ボール工業組合連合会『機能性段ボールのご紹介』のページより)

「撥水は短時間水をはじくだけ、耐水や防水はもう少し長時間水や水分にさらされても耐えられる、って感じですか?」
「そんなところかな。メーカーさんによっては『耐水』を撥水を含む防水全体を表す言葉として使ってらっしゃるところもあるから、一概には言えないんだけどね。」
「だから用途が肝心?」
「基本的に、紙は水に弱い素材でしょ?だったら他の素材を使えば良いようなものだけど、それでも紙を使いたいって言うのは、利点があるからだよね。その利点が何で、どういう理由でどの程度水を排除する必要があるのか、っていう点を確定しないと、お勧めする製品を選ぶのが難しいと思うよ。」

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「そもそも耐水紙って、どうして水に強いんですか?」
「耐水性や撥水性を高める添加剤を入れたり塗ったりだね。耐水だけに限らず、紙の品質向上とか、色々な機能を持たせるために薬剤を添加するんだけど、その加工方法は大きく分けると二つ。」

内添
(内部添加)
紙を抄く前のパルプ入りの液体(繊維懸濁液)に添加剤を混ぜる方法。
紙の層全体に均一に効果を及ぼすことが期待できる。
外添
(外部添加)
抄紙した後の紙に加工を施す方法。
主に紙の層の外側で効果を発揮する。

「外添の方にはいくつかやり方があって・・・」

塗工 紙の表面に顔料などの添加剤を塗る方法。塗工紙やノーカーボン紙、切符に代表される磁性紙など。
タブサイズ 抄紙した紙を乾かす部分(ドライパート)に添加剤の溶液の槽を設け、そこを紙が通ったり、ロールによって転写されたりすることで、添加剤を紙の表面に添加する方法。
積層 接着剤で紙とポリマーや金属などの層を貼り合せたり、溶融した接着剤やポリマーを固化する前に塗りつけたりして紙とそれ以外の層を作ることで、紙に高いバリアー性を付与する方法。
含浸 紙を液体に浸け、乾かすことで、紙の空隙に薬剤や高分子などが留まり、機能を付与される方法。

「添加剤ってどんなものがあるんですか?」
「耐水目的で内添されるものは『湿潤紙力増強剤』って呼ばれてるの。薬品メーカーさんから色々な樹脂製品が発売されている。外添されるものだと、以前は撥水でも防水でもワックスが主流だったんだけど、ワックスの付いてる紙だとリサイクルが難しいって問題があって、リサイクルできる樹脂とか、石を使ったものに切り替わってるものもあるね。他には、耐油の目的で使われている樹脂が耐水にも効果を発揮することもあって、耐水性を持った紙の層の外側に耐水耐油の樹脂層を重ねて、耐水耐油紙として売り出されている製品もあるよ。」

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「一口に耐水、撥水って言っても色々あるんですね。」
「そう。だから用途が必要になるの。例えば、同じ耐水の段ボールでも、中に入るのが魚なのか野菜なのかで求められる耐水の性質が違ってくる。或いは、ただ単に冷凍食品のパッケージとして使えればよいのか、後でパッケージごと電子レンジに入れて調理することになるのかで、使える樹脂や添加方法が違ってくる、とかね。」
「僕、単純に、耐水なら合成紙って考えていました。」
「合成紙も耐水分野で大いに活躍してるよ。食品ラベルやパッケージ、葉物野菜を巻くテープとか、野菜を入れた袋の口を止める台紙とかね。ただ、食品に直接触れる場合には制約があったり、加工が必要だったりする場合もあるし、そもそもそこまでの耐水性が求められているのかどうか、も考える必要がある。」
「コストの問題もありますよね。」
「そうだね。あと、入手しやすいかどうか、もね。ただ、合成紙は小ロットで入手しやすいから、その点では良いかもね。」
「合成紙以外にも入手しやすいものってありますか?」
「グラシン紙とか、機能紙の一部なら、メーカーさんで包単位で入手できるものもあるから、一度紙屋さんに聞いてみると良いよ。」

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「で、そもそもの話に戻るけど、そのお得意先様の会長さんの家庭菜園、って、趣味なんだよね?」
「はい。家庭菜園ですから。」
「道の駅で売ってらっしゃるとか、売る予定があるとかでもない?」
「はい。家庭菜園、ですから。」
「だったら耐水包装紙の提案をしても聞いて頂けないんじゃない?うちの母も趣味で育てた野菜をご近所におすそ分けしてるけど、新聞紙にくるんで渡してるよ?」
「新聞紙・・・!その手がありましたね!」
「・・・・・・」
と、シートくんがもらってきた野菜を嬉しそうに仕分けしていたパレットちゃんが、にこりと笑って口を挟みます。
「どうしても耐水紙を提案したいなら、シートくんがいつも持ってるものを無償提供してあげたら?」
「え?僕が持ってるものですか?」
「ちゃんと湿潤紙力増強剤が内添されているもの。持ってるでしょ?」
そう言ってパレットちゃんが指差したのは、シートくんの財布です。
白菜1個が何枚分か確認してあげようか、と言いながら財布を取り上げようとするパレットちゃんと、取られまいと必死なシートくんのドタバタを眺めながら、あえてティッシュペーパーじゃないところがパレットちゃんだよね・・・と感慨にふけるロール先輩なのでした。

※文中敬称略
※この文章を作成するに当たり、下記の書籍等を参照、或いは引用させて頂きました。内容の理解や引用に間違いがありましたら、その責は華陽紙業に帰します。
「紙薬品と紙用機能材料の開発」 稲垣寛・監修 シーエムシー(普及版2000年)
「紙とパルプの科学」 山内龍男 京都大学学術出版会 (2006年)
「紙の知識100」 王子製紙・編著 東京書籍 (2009年)
全国段ボール工業組合連合会サイト
各メーカー様機能紙見本帳、サイトの機能紙ページ、他

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