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華陽ニュース

紙の市況(2019.10)詳細 10月31日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.製紙 脱プラに貢献する動き、着々と

 製紙メーカーの独自技術や製品が、石油由来プラスチックの削減に貢献するものとして採用されつつある様子が、各社より発表になっています。王子ホールディングスや日本製紙の公式サイトの発表によると、

メーカー 内容
王子ホールディングス 同社のバイオプラスチック開発事業が、環境省の委託事業に採用。双日プラネット株式会社との共同事業。
王子HDは樹木由来のパルプを原料とするバイオプラスチックの製造を実証し、双日プラネットは製造されたバイオプラスチックのユーザー側での利用性やリサイクル性の確認、マーケティングなどを担当する。
石油由来のプラスチックをバイオプラスチックに置き換えることで二酸化炭素の排出を抑制し、地球温暖化防止に貢献するとともに、樹木のパルプを利用することから、従来のサトウキビやトウモロコシを原料とするバイオプラスチックの場合に課題となる食品原材料との競合を無くすことを目的とする。
日本製紙 紙製バリア素材『シールドプラス🄬』が、お菓子などの包装材メーカー、株式会社福重の規格袋として採用。
紙製でありながらバリア性を有し、内容物の品質や香りを守る『シールドプラス🄬』を利用することで、海洋汚染プラスチック問題の良化とフードロス削減の両立を目指す。
プラスチックフィルムを使わずヒートシール性を付与したヒートシール紙『ラミナ™』を開発。
①バリア性を必要としないプラスチック製包材との置き換えで、環境負荷を軽減
②ラミネート工程が不要のため、生産所要期間が短縮
③化粧品や日用雑貨など、バリア性を必要としないあらゆるパッケージで適用可能。
といった特長を有している。
「JAPAN PACK 2019」にて展示。

 海洋プラスチックごみ問題や脱炭素社会など、さまざまな課題を解決し持続可能な社会を形成することの必要性が説かれるなか、リサイクルでき生分解性を有する、環境にやさしい素材「紙」の関連各社の動きが、パッケージを中心に今後も注目を集めそうです。


2.CNF活用部材、東京モーターショーで展示

 東京モーターショーに展示される自動車部品に、セルロースナノファイバーが活用されている事例があることが発表されています。王子・日本、両社の公式サイトの発表によると、

メーカー 内容
王子ホールディングス トヨタ自動車東日本株式会社の展示する、「セルロースナノファイバーを複合した樹脂ガラス」に技術提供。自動車のリアウィンドウやルーフパネルとして組み込まれている。
無機ガラスより軽量な樹脂ガラスをCNFで補強することで、樹脂ガラスを大幅に薄肉化することができ、一層の軽量化が見込まれている。軽量化により、製造時や走行時の二酸化炭素排出量低減を目標とする。
日本製紙 同社のセルロースナノファイバー製品『セレンピア🄬』が住友ゴム工業の新製品である高性能タイヤ「エナセーブNEXTⅢ」に採用。同社によれば、タイヤにCNFが採用されるのは世界初。
再生可能資源である「木」を由来とするCNFを原料として使用することにより、商品ライフサイクル全体の環境性能をより高め、環境負荷低減に貢献する。
「エナセーブNEXTⅢ」は東京モーターショーにて展示。12月1日発売予定。

 製紙各社はセルロースナノファイバーの用途開発を様々な分野で進めており、採用事例が次々と報告されています。


3.日本製紙 セルロースパウダー製品を出展

 日本製紙は10月25日、同社のセルロースパウダー製品『KCフロック🄬』を展示会に出展すると発表しました。同社サイトの発表によると、

展示会名 第34回「技術をチカラに。想いをカタチに。新しい材料と出会い、人と技術をつなぐ展示会」
概要 一般社団法人日本ゴム協会 関西支部が主催する展示・講演会。ゴム関連企業が一堂に会し、独自技術や製品を展示、紹介する。
日本製紙の展示 セルロースパウダー『KCフロック🄬』を展示。白石カルシウム株式会社と共同出展。
『KCフロック🄬』 高度に精製した天然木材セルロースを独自製法で微細化した粉末。食物繊維なので人体に無害、緩やかな生分解性も有する環境対応商品。
天然ゴムや合成ゴムに添加することにより防振性が向上することを、分かりやすく展示する。
会期など 2019年11月7日 10時~17時 大阪・ドーンセンターにて
入場は無料だが、事前申し込みが必要

 バイオケミカル分野での取り組みを是非ご覧頂きたいと、同社は来場を呼び掛けています。


【洋紙 国外の紙の市況/状況】

1.北越コーポ ホーチミンに駐在員事務所開設

 北越コーポレーションは10月28日、ベトナム国ホーチミン市に駐在員事務所を開設すると発表しました。

名称 北越コーポレーション株式会社 ホーチミン駐在員事務所
所在地 ベトナム国ホーチミン市
開設日 2019年12月1日予定

 開設の目的を同社は「ベトナム国におけるチップ調達環境及び紙製品の市場調査・情報収集等」として、海外サプライヤーやユーザーとの直接取引強化戦略の一環であると説明しています。


【板紙 国外の紙の市況/状況】

1.レンゴー 中国合弁企業を独資化

 レンゴーは10月18日、中国合弁企業である大連聯合包装製品有限公司の合弁パートナー分の株式を取得し、100%出資の独資企業としたと発表しました。同社サイトの発表によると、

名称 大連聯合包装製品有限公司
事業内容 段ボールシート、ケースの製造・販売
ユーザー 中国大手宅配会社、地元企業、日本など海外資本企業

 同社を100%子会社化することで経営のスピード化とサービスの向上を図るとともに、同じく大連市内のレンゴー子会社、大連国立包装有限公司とともに、大連地域における事業のさらなる拡充を進めていくと、レンゴーは独資化の目的を説明しています。


【その他の市況/状況】

1.大王 中国家庭紙「高級化」戦略

 10月23日付の日本経済新聞紙上にて、製紙各社が中国家庭紙需要の獲得に向け増産に動いていると報じられています。記事によると、

王子HD 中国・南通市の江蘇王子製紙にて、ティッシュとトイレットペーパーの生産を2020年7月に開始する計画。年産能力12万トンは、今春稼働の青森県、エム・ピー・エム王子ホームプロダクツの年産能力1万8千トンの6倍以上。
大王製紙 川之江工場と可児工場で家庭紙生産加工設備を増強し、中国への輸出を拡大する方針。日本語パッケージで日本ブランドをアピールし、高級品として供給先を拡大する。保湿性の高いティッシュも拡販。
高級品への特化 紙おむつでの成功体験を活かした戦略。高級品に特化することで現地ブランドとの競合を避けて高単価を維持し、日本の総人口に相当すると分析する中国の超富裕層の需要を取り込む狙い。

 両社とも人口減少が進み需要が伸び悩む日本から海外市場に目を向け、海外売上高比率を伸ばす方針であると、記事では分析しています。


【印刷・製品関連】

1.竹尾 コーヒーイベントでカップスリーブとリッドを紹介

 
 竹尾は10月25日、同社本社所在地の千代田区神田錦町で開かれるコーヒーイベントにカップスリーブ原資とスタッキングペーパーリッドを供給することを発表しました。同社サイトの発表によると、

イベント 「COFFEE COLLECTION around 神田錦町 2019」
「先人が築いてきた日本のコーヒー文化を進化させ、未来へと繋ぐこと」をコンセプトに、コーヒーについて学び、語り合い、厳選された1杯を楽しむイベント。
公式サイトに「今回は提供するカップや水も厳選」とあるが、そのカップスリーブとリッドに竹尾製品が採用されている。
カップスリーブ カップの周りに巻き、保温や滑り防止の役割をするもの。今回は紙製で、竹尾の『ファインフルート🄬』が採用されている。
『ファインフルート🄬』は竹尾が完全受注生産する、竹尾のファインペーパーを原紙とする段ボール。梱包資材としての機能と、豊かな色や美しさを合わせ持ち、新しいパッケージの可能性を提案している。
リッド 紙コップにかぶせるふたのこと。今回採用された『スタッキングペーパーリッド』は、柴田文江氏の作品を基に、竹尾と紙器メーカーの日本デキシー、東京のサードウェーブコーヒー牽引役の神保町GLITCH COFFEE&ROASTERSがチームとなって開発した紙製のふた。
海洋プラスチックごみ問題が注目され、ストローがプラスチックから紙へと代わる風潮のなか、より環境負荷の大きいリッドの代替製品として最初の一歩を示そうという趣旨が紹介されている。

 同社はイベントに来場の際にリッドとスリーブにもぜひ注目してほしいと呼びかけています。


※文中敬称略
※文章は2019年10月29日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。