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紙の市況(2019.11)詳細 11月10日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.王子HD 第2四半期決算発表

 王子ホールディングスは11月5日、2020年3月期第2四半期(2019年4月1日~2019年9月30日)の連結業績を発表しました。

 増減の要因に関して同社は

プラス要因 ・国内で印刷用紙、家庭紙などの価格修正効果
・段ボール事業では青果物・食品・通販向けが堅調
マイナス要因 ・海外事業でパルプ市況の軟化
・為替差損の増加等で経常利益が前年同期比減
・段ボール原紙生産体制の再構築のため事業構造改善費用を計上

等を挙げています。
 同社は2019~2021年度を対象とする中期経営計画で4つの基本方針を掲げており、それぞれの方針について、

国内事業の収益力アップ 王子製紙、王子エフテックス、王子マテリアで生産体制の再構築を決定。
海外事業の拡充 海外拠点数の拡大、既存のインフラを活用した塵事業の展開など。
当第2四半期の海外売上高比率は30.4%で、前年同四半期比2.0ポイント上昇。
イノベーションの推進 プラスチック包装に代わる紙素材の開発、セルロースナノファイバーの自動車メーカーへの技術提供、紙素材を活用した建設仮設施工の生産性向上技術「KAMIWAZA」の共同開発など。
持続可能な社会への貢献 環境・社会ニーズに対応した新製品の開発や革新的な技術の提案など。

を進めていくとしています。


2.日経42種 「紙・板紙」前年同月比下落

 11月1日の日本経済新聞紙上にて、日経商品指数42種の10月末値が発表されました。資材や燃料の企業間取引価格を1970年を100として指数化したもので、42種全体の指数は11か月連続で前年同月比下落となっています。
 紙・板紙の指数は

 前月からは横ばいの数字となっていますが、前年同月比では2.7%下落と、9月末値の前年同月比1.6%下落よりも下げ幅が拡大したと記事中では指摘されています。


3.北越 新チップ船が就航

 北越コーポレーションは10月31日、新チップ船の就航を発表しました。同社サイトの発表によると、

船名 「Southern Treasure」
南方の植林地から供給される、貴重な資源を運ぶ宝船をイメージ。
特長 ・従来に比べ15%の低燃費が可能。
・国内で初めてスクラバー(排ガス浄化設備)とバラスト水処理装置を搭載。
スクラバー 国際海事機関(IMO)により定められた硫黄酸化物規制に対応する装置。硫黄分を含む燃料油を使用することで発生する排ガス中の硫黄酸化物を、船上のスクラバーによって除去・海水で希釈することにより、大気中に放出される硫黄酸化物や二次的に生成されるPM2.5を減らし、健康影響リスクの低減を図ろうとするもの。2020年1月より新規制が適用され、硫黄分が0.5%以下の燃料油の使用やスクラバーの搭載・使用などで対応することが求められる。
バラスト水処理装置 バラスト水(船のバランスを保つために船内に貯留する海水)管理条約に対応する設備。条約ではバラスト水中の水生生物の越境移動を防止することが求められており、処理装置によってバラスト水中の水生生物の除去などを行う。

 同船は初航海でチリから木材チップを運ぶ予定とのことで、これからも海上輸送における環境対応を強化していくと、同社は表明しています。


【洋紙 国外の紙の市況/状況】

1.王子HD ブラジル感熱紙設備増強

 王子ホールディングスは11月5日、ブラジルで感熱紙生産設備の増強を行うことを決定したと発表しました。同社サイトの発表によると、

設置場所 王子パペイス エスペシアイス社(ブラジル サンパウロ州)
増強内容 感熱紙生産設備の年産能力を約15万トンに倍増させる増強。
完成予定 2021年12月予定

 同社は中期経営計画の施策の一つとして南米感熱紙事業の増強を掲げており、POSシステムや物流システムの普及、拡大により今後もさらなる需要拡大が見込まれる中南米感熱紙市場でのシェアアップを目指すと、増強意図を説明しています。


【板紙 国内の紙の市況/状況】

1.レンゴー 第2四半期決算を発表

 レンゴーは11月1日、2020年3月期第2四半期(2019年4月1日~2019年9月30日)の連結業績を発表しました。同社サイトに掲載された決算短信によると、

 燃料価格の上昇や樹脂製品の販売減少、中国における需要低迷などがあるものの、製品価格の改定等が功を奏し増収増益の結果につながったと、同社は業績内容を分析しています。


【板紙 国外の紙の市況/状況】

1.王子HD ニュージーランドの工場を新設移転

 王子ホールディングスは11月5日、ニュージーランドの段ボール工場の新設・移転を発表しました。同社サイトの発表によると、

建設予定地 ニュージーランド クライストチャーチ市
生産品種 段ボール
営業開始 2021年1月予定
目的 建物や設備の老朽化に対応

 新工場を建設して最新鋭設備を導入することにより、今まで以上に衛生的な管理を進め、より品質の高い製品を持続的かつ効率的に供給する体制を整えると、同社は新設・移転について説明しています。


【その他の市況/状況】

1.C重油価格引き下げ

 10月30日付の日本経済新聞紙上にて、JXTGエネルギーが製紙各社に供給するC重油の価格を引き下げると報じられています。10~12月期の大口需要家向けで、製紙各社が使う高硫黄C重油では前期比4%程度の値下げになるとのこと。製紙各社ではC重油をボイラーの燃料として使用していると伝えられています。


2.パルプ価格は横ばい

 10月31日付の日本経済新聞紙上にて、パルプの9月積みの日本向け輸出価格が前月比と同値で決着したと報じられています。北米産針葉樹パルプ、南米産広葉樹パルプ、ともに横ばいとなったとのこと。中国をはじめとする世界景気が減速しており、パルプ需要は低迷を続けていますが、生産各社が調整して対応しているため価格は横ばいとなったと記事では分析しています。


3.古紙 国内でだぶつきと報道

 11月6日の日本経済新聞紙上にて、日本国内で古紙がだぶついていると報じられています。中国や東南アジア各国の環境規制強化で輸出が減少し、輸出価格も昨秋の6分の1まで下落しているとのこと。国内製紙各社は古紙リサイクルシステムの維持のため買値を輸出価格より高く維持しているとのことですが、

・米中貿易摩擦で自動車部品などの梱包・輸送需要に陰り
・台風19号など災害の影響で国内青果物の出荷が停滞
・供給が減った野菜を中国などから輸入することで、古紙となる段ボールが増える

等の影響から段ボール原紙の需要が低迷、古紙の国内価格も下落して古紙回収業者の採算が悪化していると伝えられています。
 一部では住民による集団古紙回収を見送ったり、有償で回収を請け負ったりする動きも出ているとのことで、日本の古紙リサイクルシステムの行く末を懸念する声も出ていると記事では伝えています。


【印刷・製品関連】

1.富士フイルムと米ゼロックスの合弁が解消

 11月6日付の日本経済新聞紙上にて、富士フイルムホールディングスが富士ゼロックスの株式25%を米ゼロックスから買い取り全株を取得、富士ゼロックスを完全子会社化すると報じられています。米ゼロックス本体の買収は断念し、損害賠償請求訴訟も取り下げるとのこと。この完全子会社化により、

効果 ・米ゼロックスとの買収交渉の膠着状態を解消し、営業利益の5割近くを稼ぐ富士ゼロックス事業を確実に取り込む。
・販売増や拠点の統合などで営業利益増が期待できる。
・富士ゼロックスはゼロックスに5年間製品供給を続けるが、ゼロックス以外にも供給できるようになる。
・富士フイルムと人材や技術の交流を進め、医療など成長分野に注力できるようになる。
・富士ゼロックスのOEM販売地域を全世界に広げる計画。
懸念 技術契約が2021年に終了。更新しなければ、富士ゼロックスは「ゼロックス」ブランドを使えなくなる、米ゼロックスが成長市場のアジアに進出してくる、などのリスクが考えられる。

との効果や懸念事項が予想されており、先行きには不確定要素が残ると記事では分析しています。


※文中敬称略
※文章は2019年11月6日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。