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華陽ニュース

紙の市況(2020.5)詳細 5月20日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.製紙各社、2020年3月期決算発表

 製紙各社が相次いで2020年3月期(2019年4月1日~2020年3月31日)の決算を発表しています。王子ホールディングスは5月25日、特種東海製紙は5月21日に決算発表を予定していますが、その他製紙大手各社のサイトに掲載された決算発表をまとめると、

とほとんどが売上減も利益は増加、あるいは黒字転換となっています。
 要因について各社は

日本製紙 プラス要因 ・ティッシュペーパーやトイレットペーパーなど家庭紙需要の堅調
マイナス要因 ・新聞の発行部数低迷
・印刷用紙の広告需要低迷
・天候不順や台風被害の影響などによる青果物等の荷動き鈍化、国内飲料市場の低迷
・学校給食向け牛乳容器の落ち込み
・溶解パルプの中国など海外需要の低迷
大王製紙 プラス要因 ・洋紙・板紙で価格修正後の製品市況維持
・原燃料価格が想定より安価
・難処理古紙の増集荷と利用拡大
・衛生用紙の需要増、高付加価値商品へのシフト、価格修正
マイナス要因 ・チラシ・出版物の発行部数減や電子媒体への移行
・新型コロナウイルスの影響によるイベント・広告需要の減少
・米中貿易摩擦による工業製品等をはじめとする輸出需要の落ち込み
・消費増税後の消費低迷
北越 プラス要因 ・洋紙の価格改定効果
・各種コストダウン
マイナス要因 ・広告や通販カタログの電子化
・インバウンド需要の減少による化粧品・土産関連分野での白板紙の需要減
・ファンシーペーパー全般で一般紙へのグレードダウン
・海外におけるパルプ価格の下落
・江門星輝造紙有限公司にて固定資産の減損損失を計上
三菱製紙 プラス要因 ・国内洋紙の価格修正後の価格維持
・欧州子会社での価格修正効果
・国内・海外とも写真感光材料等が堅調
マイナス要因 ・印刷・情報用紙の需要減
・アジア向け印刷用紙などの市況の下落
・欧州子会社での感熱紙・感圧紙の販売数量減
・為替の影響
・市販パルプの国際市況の急激な悪化
中越パルプ工業 プラス要因 ・印刷用紙、包装用紙の価格修正が通期で貢献
・壁紙等の拡販
・O&Cアイボリーボード株式会社に高板・加工原紙の生産を移管
マイナス要因 ・新聞の発行部数減
・電子媒体への移行等による印刷用紙の国内需要減
・米中貿易摩擦の影響による印刷用紙の輸出減
・海外パルプ市況の軟化

等を挙げており、国内洋紙分野において需要減の環境下でも価格維持に努めたことが利益を下支えしたと分析する向きが多いようです。
 2021年3月期に関しては各社とも新型コロナウイルス感染症の影響が表れると分析しており、日本製紙・三菱製紙・中越パルプ工業は業績予想の公表を「合理的な算定が可能になるまで」として延期しています。
 


【板紙 国内の紙の市況/状況】

1.レンゴー決算発表

 レンゴーは5月13日、2020年3月期(2019年4月1日~2020年3月31日)の決算を発表しました。公式サイトに掲載された決算短信によると、

と増収増益で、自然災害や消費増税、新型コロナウイルス感染症の拡大など期間後半に厳しい経営環境となりながらも、通販・宅配向けや食品向け、日用品向けなどの段ボール・包装需要が堅調に推移し、製品価格の改定や原料価格が前年を下回ったことも影響したと分析しています。
 2021年3月期の業績予想に関しては、

との予想を示しており、新型コロナウイルス感染症が世界経済を下振れさせるものの、各国の懸命な取り組みが奏功し期間後半には需要が回復するとの見通しを示しています。


【印刷・製品関連】

1.DIC 紙容器向けコーティング剤商業化

 5月14日付の日本経済新聞紙上にて、インキ大手のDICが紙に耐水性や耐油性を与えるコーティング剤の商業化に乗り出すと報じられています。記事や、DIC株式会社の公式サイトに掲載された内容によると、

ハイドレクト 同社グループ会社が開発したコーティング剤。2018年秋に製品化、同年10月の東京国際包装展で披露し、パッケージ関連会社、製紙メーカー、コンビニエンスストアと取引のある商社等の注目を集める。
特長 紙にコーティングして作製した紙器は
・耐水・耐油性を実現
・耐熱性もあり、オーブンや電子レンジでの使用が可能
・配合成分は米国食品医薬品局基準に準拠、コーティングの工程でVOCが発生しない
・Aランク古紙として紙にも板紙にもリサイクル可能
その他 日本経済新聞の記事によれば、テイクアウトの惣菜用の容器として2020年度中にも採用される見通しとのこと。

 世界的に脱プラスチックの機運が高まるなか、容器素材を紙へと切り替えて海洋プラスチック問題の解決に貢献できる可能性がある製品として注目が集まっています。


※文中敬称略
※文章は2020年5月18日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。