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華陽ニュース
紙の市況(2020.8)詳細 8月20日更新分
【洋紙 国内の紙の市況/状況】
1.製紙8社 第1四半期決算発表 |
8月13日頃までに、製紙8社の2021年3月期第1四半期(2020年4月1日~2020年6月30日)の決算が発表されました。各社公式サイトに掲載された決算短信によると、
3社が営業利益で赤字を計上、残り5社のうち3社も前年同四半期比大幅減となっている一方、大王製紙と特種東海製紙は減収増益の結果を発表しています。
好調の要因について両社は
大王製紙 | ・コロナ禍による衛生意識の高まりからペーパータオル、キッチンペーパー、除菌ウェットなどが伸長 ・国内工場でマスクの生産を開始 ・大人用紙おむつの新商品が好評 |
特種東海製紙 | ・売電事業が順調 ・ペーパータオルが販売増 ・主要原材料価格の下落や経費削減など、コストダウン |
などを挙げており、コロナ禍で印刷情報用紙などの需要が減少し、衛生用紙などが伸びる現状が、各社の決算に反映されている様子がうかがわれます。
【板紙 国内の紙の市況/状況】
1.王子HD 三菱のプレスボード事業を譲受 |
王子ホールディングスは8月13日、三菱製紙のプレスボード事業を譲り受け、王子エフテックスに生産移管すると発表しました。
譲受内容 | 三菱製紙のプレスボード事業(耐熱を除く)の営業権を王子エフテックスに譲受 |
生産拠点 | 三菱製紙 白河事業所 ⇒ 王子エフテックス 中津工場 |
移管時期 | 2021年10月1日予定 |
プレスボードは変圧器の絶縁材料として使用されていますが、変圧器の国内需要が縮小するなか、プレスボード事業を王子エフテックスに集約することは、王子HDにとっては収益性の改善や事業効率化、三菱製紙にとっては経営資源の選択と集中による既存事業の競争力強化といったメリットが見込まれるとして、同社は事業譲受の目的を説明しています。
【その他の市況/状況】
1.大王製紙 フラッフパルプの生産を開始 |
大王製紙は8月7日、紙おむつなど吸収体製品のの原料となるフラッフパルプの自社生産を開始すると発表しました。同社の公式サイトの発表によると、
内容 | 紙おむつなど吸収体製品の原料となるフラッフパルプの自社生産を開始。 |
メリット | ・洋紙の生産設備を改造して生産することで、需要減が続く洋紙からの転換で生産品種を最適化。 ・従来100%輸入だったフラッフパルプの一部を内製化することで、吸収体製品の安定供給体制を強化。 |
改造設備 | 三島工場15号抄紙機(洋紙月産能力5千トン。フラッフパルプの生産能力は7,500トンを想定) |
スケジュール | 2022年4月停機。改造後、2022年9月に再稼働の予定。 |
同機でフラッフパルプを生産することで、日本だけでなく中国や東南アジアでも吸収体製品のサプライチェーンの強靭化を図り、併せて製品品質と収益性の向上も図るとして、同社は今回の内製化の意図を説明しています。
2.7月の家庭紙価格は横ばい |
8月15日付の日本経済新聞紙上にて、7月の家庭紙の店頭価格が横ばいとなったと報じられています。東京紙商家庭紙同業会の調べによるもので、特売の手控えで価格が維持されたと記事では伝えています。
【印刷・製品関連】
1.凸版 アフリカ各国にIDカード |
8月8日付の日本経済新聞紙上にて、凸版印刷がアフリカなどにIDカードを売り込むと報じられています。記事によると、
内容 | IDカード事業の海外展開の一環として、2020年度中にアフリカ各国の政府にIDカードを売り込む計画。以後、中央アジアや南米にも事業を広げる方針。 |
背景 | 新型コロナウイルスの感染拡大で、行政手続きのデジタル化が進展。各国政府でIDカードを導入する機運が高まっていることから参入を決定。 |
今後はカード発行に加え、個人情報管理のデータベース構築や生体認証などにも進出する方針で、各国の電子政府プロジェクトの支援体制を整えると記事では伝えています。
※文中敬称略
※文章は2020年8月8日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。