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華陽ニュース
紙の市況(2020.8)詳細 8月31日更新分
【洋紙 国内の紙の市況/状況】
1.日本製紙 変性セルロースに「抗ウイルス」性能 |
日本製紙は8月18日、「抗ウイルス」及び「抗菌・消臭」性能を持つ変性セルロースを開発したと発表しました。同社の公式サイトのニュースリリースによると、
変性セルロース | セルロースナノファイバーの製造過程で生成される中間体。化学処理した変性セルロースの表面に金属イオンを付着させることで、抗ウイルス性能、抗菌・消臭性能を持たせる。 |
用途 | 不織布や紙などへ加工し、衛生材料やフィルターなどの、日用雑貨や工業用途で用いられることが期待される。 |
9月上旬には「抗ウイルス」「抗菌・消臭」機能を持つ印刷用紙などの紙製品の上市を予定しているとのことで、今後の展開に注目が集まりそうです。
2.王子HD 「SILBIO BARRIER(シルビオ バリア)」の高透明グレード品を開発 |
王子ホールディングスは8月20日、「SILBIO BARRIER(シルビオ バリア)」の高透明グレード品を開発したと発表しました。
「SILBIO BARRIER」 | 紙基材にバリアコート層を設けることによって酸素や水蒸気の透過を抑制する、王子HDが開発したバリア性紙素材。2019年4月よりサンプル提供を開始し、早期の実用化を目指している。 |
今回の開発 | 王子HDの透明紙にバリア性能を付与した新しい紙素材を開発。従来の製品より透明性が高く、食品や化粧品、雑貨などに使用されているプラスチック包装の代替素材としての用途が期待される。 |
プラスチックごみの削減がますます重要課題となるなか、製紙各社は代替となる紙素材の開発に力を入れています。
3.大王製紙 セルロースの濃度を高めたCNF複合樹脂を開発 |
大王製紙は8月20日、セルロース濃度を55%まで高めたCNF複合樹脂の開発に成功したと発表しました。
背景 | CNF複合樹脂の用途展開を探るなか、最終製品の適性に応じてセルロース濃度を調整できるよう、よりセルロースを高濃度化してほしいとの要望があり、今回の開発を実施。 |
今後の展開 | 新開発品は「ELLEX‐55」と命名。9月よりサンプルの供給を開始。 |
実用化にはコスト低減も重要とのことで、サンプル供給による用途開発と同時にコスト低減にも注力すると同社は表明しています。
【板紙 国内の紙の市況/状況】
1.王子HD パルプモールド製品のサンプル提供を開始 |
王子ホールディングスは8月20日、パルプモールド製品のサンプル提供を開始すると発表しました。
パルプモールド製品 | 紙料を金型で抄き上げ、成型・乾燥させた製品。卵パックなどの緩衝材として利用されている。 |
『PaPiPress』 | 王子がサンプル提供を開始するパルプモールド製品。古紙が原料となることも多い緩衝材などに対し、こちらはパルプ100%。 |
特長 | ・土壌や海中で分解され、環境に優しい。 ・表面が滑らか。 ・プラスチックのような自由な立体成形が可能。 |
同社は今後も、プラスチックごみの削減に貢献する「地球環境に優しい紙素材」を提案していくとしています。
【その他の市況/状況】
1.輸入パルプが値下がり |
8月25日付の日本経済新聞紙上にて、パルプの7月積みの日本向け輸出価格が下落したと報じられています。指標となる北米産針葉樹さらしクラフトパルプが前月比3%、南米産広葉樹さらしクラフトパルプは同2%下落したとのこと。コロナ禍による紙製品の需要不振が主な原因とのことですが、需要減に対応してパルプメーカーは減産に動いており、需給の緩みが改善されて近く価格は上昇に転じるとみる向きもあると記事では紹介されています。
2.古紙は下げ止まり 在庫が改善 |
8月26日の日本経済新聞紙上にて、古紙の国内価格が下げ止まったと報じられています。2019年初めから値下がりが続いていましたが、今年4月以降は横ばいが続いているとのこと。
出荷増 | コロナ禍によりアジア地域で古紙の回収が減少。ベトナムや台湾、インドネシア向けで日本の古紙問屋の輸出が増加している。 |
供給減 | コロナ禍で国内での古紙の発生が減少。 ・景気悪化で工場から排出される段ボールの量が減少 ・外出自粛で飲料品の荷動きが鈍化 ・在宅勤務の広がりで、オフィスから出る古紙が減少 といった現象が生じている。 |
といった状況から、過剰在庫が解消されつつあるとのこと。
古紙価格の下落が続いていたことが需要家からの紙製品下げ圧力につながるとの見方もありますが、この古紙価格の下げ止まりが製紙メーカーの価格維持に寄与する可能性もあると、記事では伝えています。
【印刷・製品関連】
1.みずほ銀行 紙の通帳発行を有料化 |
8月21日付の日本経済新聞紙上にて、みずほ銀行が紙の通帳の発行手数料を有料化すると報じられています。記事によると、
内容 | 2021年1月より、新規で口座を開く企業・個人は、紙の預金通帳を発行する場合は1,000円(消費税別)の手数料がかかるようになる。但し、既存顧客や70歳以上の預金者は無料。 |
目的 | 3メガバンクであれば毎年数十億円の印紙税がかかる紙の通帳を排し、デジタル通帳に移行するのが狙い。手数料徴収が難しい既存顧客に対してはキャンペーンを行うことでデジタル通帳への移行を促す。 |
紙の通帳を有料化するのは大手行ではみずほ銀行が初めてとのことですが、どの銀行も同様の悩みを抱えており、有料化する動きが広がりそうだと記事では伝えています。
※文中敬称略
※文章は2020年8月27日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。