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華陽ニュース

紙の市況(2020.11)詳細 11月20日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.製紙各社 中間決算出揃う

 11月中旬にかけ製紙各社の2021年3月期第2四半期(2020年4月1日~2020年9月30日)決算が出揃いました。

 併せて、5社が2021年3月期通期の連結業績予想の見直しを発表しています。

王子HD 売上・営業利益・経常利益・純利益を下方修正。
コロナ禍による印刷・情報用紙の予想以上の減少と海外のロックダウンによる生産活動の制限が要因と説明。
大王製紙 営業利益・経常利益・純利益を11~14%程度上方修正。
転抄による板紙製品の収益改善、原燃料価格の下落、新しい生活様式に即した日用品の販売増などの要因から第2四半期業績が予想を上回った足元の業績の進捗状況を受けてと説明。
三菱製紙 通期予想の発表を控えていたが、今回、前期比減収減益(赤字)の通期業績予想を発表。
コロナの終息は不透明も、印刷・情報用紙の需要減、旅行・イベント減による画像出力用途の写真感光材料・インクジェット用紙の需要減は継続し、元の水準には戻らないと想定。
中越パルプ 赤字予想は変わらないものの幅は縮小されるとして上方修正。
経済活動が徐々に回復し、当初の想定を上回った第2四半期累計実績を受けてと説明。
特種東海 日伯紙パルプ資源開発株式譲渡の売却益を計上し、純利益予想を上方修正。

 コロナ禍による経済活動の停滞やテレワークの推進、イベント減、海外のロックダウン等を背景に、印刷・情報用紙や産業向け包装材の需要が減少、トイレットペーパー等も反動減で低調な動きとなっていますが、新しい生活様式の定着でマスクや除菌ウェットティッシュ等は販売を伸ばしており、大王製紙や特種東海製紙の業績に影響を与えています。


2.中パのCNFがエレクトロニクス分野で採用

 中越パルプ工業は11月16日、同社が開発したセルロースナノファイバー(CNF)が、松尾ハンダ株式会社のソルダペーストの添加剤として採用されたと発表しました。
 同社の発表によれば、ソルダペーストははんだの粉末を液体に溶かしてペースト状にしたもので、プリント基板等で部品の接合に使用されていますが、近年の電子機器の高性能化、小型化、高出力化に伴い、はんだ接合部に求められる品質もより高まってきているとのこと。今回の同社のCNFの添加により、接合部の外観形状不良の改善、接合強度の向上、内部欠陥の低減等の効果が期待されているとしています。
 今後ますます多様な分野での電子制御化は加速するとの予想を同社は示しており、CNFのさらなる応用・実用化への期待を表明しています。


3.大王製紙 エコプロOnline2020への出展を発表

 大王製紙は11月16日、『エコプロOnline2020』への出展を発表しました。
 今年はオンラインでの開催が決定しているエコプロですが、同社はCNFの活用事例やプラスチック代替素材、「抗菌・抗ウイルス紙」の紹介を予定しているとのこと。
 オンライン開催であるため気軽に視聴してほしいと、同社は参加を呼び掛けています。


【その他の市況/状況】

1.タオルペーパーの需要が好調

 11月11日付の日本経済新聞紙上にて、タオルペーパーの需要が前年実績を上回っていると報じられています。1~8月の出荷量は前年同期比1割増、1~9月の輸入量は前年同期比3割増となり、丸住製紙や大王製紙など国内メーカーも増産に動いているとのこと。コロナ禍による清潔意識の高まりから使用が拡大したものですが、コロナ禍が落ち着いても使用が定着する可能性が指摘されており、家庭紙メーカーにとってタオルペーパーの重要度が高まりそうだと記事では伝えられています。


【印刷・製品関連】

1.ファミリーマートが雑誌売り場を縮小

 11月10日付の日本経済新聞紙上にて、ファミリーマートが雑誌売り場を縮小していると報じられています。「巣ごもり消費」で自宅で調理をする人が増えたことなどから、売れ行きが好調な調味料や加工食品、文房具、日用品などの取り扱いを増やすため、レイアウトを変更しているとのこと。今のところセブン‐イレブン・ジャパンやローソンに波及する様子は見られないとのことですが、「今後雑誌を置かない店舗が出てくる可能性はある」とするコンビニ大手幹部の声も記事では伝えられています。


※文中敬称略
※文章は2020年11月19日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。