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華陽ニュース
紙の市況(2020.12)詳細 12月20日更新分
【洋紙 国外の紙の市況/状況】
1.印刷用紙価格 アジアで底入れの報道 |
12月11日付の日本経済新聞紙上にて、印刷用紙の価格がアジアで下げ止まったと報じられています。
・中国で経済回復が先行。カタログ、取扱説明書、教育関連書籍、漫画など向けの需要が盛り返し。
・インドネシア、タイ、ベトナムなど他のアジア地域でも需要が回復。
・原料パルプ価格が反発。
・コンテナの不足で輸送環境が不安定なことから、多めに調達するケースも。
といった要因から需給の緩和感は後退しており、アジアの印刷用紙価格は2か月続けて横ばい、今後値上がりに転じるという見方も出ているとのこと。
中国国内や韓国のアジア向け価格など値上げの動きが広がっているとの報道もあり、日本の製紙各社もコンテナ不足による海上運賃の上昇などを要因として2021年1月生産分からの輸出価格の値上げに動き始めていると記事では伝えられています。
【板紙 国内の紙の市況/状況】
1.2021年の段ボール需要予測発表 |
全国ダンボール工業組合連合会は12月2日、段ボール需要の今年の見込みと来年の予測数字を発表しました。同社サイトの発表によると、
2020年見通し | 年間累計で、前年比96.6%となる141億平方メートルの需要となる見込み。新型コロナウイルス感染拡大で実質GDPがマイナス成長となるのに影響を受けるとの見方。 |
2021年予測 | 年累計143億平方メートル、前年比101.4%と予測。 2021年の国内経済が緩やかに回復するとの予測を考慮。 |
増加要因(予測) | ・「加工食品用」で内食需要が底堅く、業務用でも緩やかな回復が見込めると予測。 ・高齢者向け衛生用品の拡大。 ・「青果物用」で2020年の天候不順の影響から回復。 ・自動車向けを中心に産業用も回復傾向と予測。 ・新しい生活様式の定着で薬品・洗剤需要が見込める。 ・通販等Eコマース市場の成長が続く。 |
減少要因(予測) | ・青果物で作付け面積の減少。 ・化粧品でインバウンド需要の回復が期待できない。 ・通販・宅配等で脱段ボール化の動き。 |
2020年より年間2億平方メートル程度を生産する新たな事業所が統計に加えられているため単純比較はできませんが、2021年の予測値は2020年見込みとの比較ではプラスと回復するものの、2019年実績値にはわずかに及ばないと予想されています。
【印刷・製品関連】
1.東洋インキ フィルム包材リサイクル技術で伊藤忠と協業 |
東洋インキSCホールディングスは12月16日、複層フィルム包材のマテリアルリサイクル技術の協業展開について伊藤忠商事と合意したと発表しました。同社サイトの発表や12月16日付の日本経済新聞の記事によると、
内容 | 複層フィルム包材におけるマテリアルリサイクル技術の協業で合意。 |
マテリアルリサイクル | 使用後の製品を原料として新しい製品に再生するリサイクル。日本の廃プラスチックのリサイクルは焼却によって熱エネルギーを得る「サーマルリサイクル」が50%以上を占めており、マテリアルリサイクルの拡大が課題となっている。 |
複層フィルム包材 | 薄いフィルムの間に印刷インキや接着剤が挟み込まれる、多層構造の包材。食品包材や洗剤の詰め替え容器等に使われ、軟包装と分類されている。多素材を用いた多層構造であるため分離が難しく、マテリアルリサイクルが困難だったが、2019年、東洋インキグループが総合環境サービスと提携し、インキや粘接着剤等を脱離する技術を開発。 |
今後の展開 | 2021年中に実証パイロットプラントを建設。2022年にメーカーの製造工程で出る廃棄原料の受け入れと再生事業開始。2025年をめどに消費後回収された廃棄物を原料とするリサイクル事業を開始する計画。 |
同社はこの協業事業により、現状再利用が困難な複層フィルム包材のマテリアルリサイクルシステムを確立し、国内外のマテリアルリサイクル率40%以上を目指すと表明しています。
※文中敬称略
※文章は2020年12月17日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。