岐阜の印刷用紙・情報用紙・再生紙・上質紙のことならお任せ下さい。

市況情報

  • ちょっといい話
  • 市況情報
  • 商品情報
  • 印刷情報

当社経営計画発表会ご来賓のお話 日本紙パルプ商事様(2016年)

平成28年1月16日 当社経営計画発表会にて

160120_jpsama 日本紙パルプ商事株式会社
常務執行役員中部支社長
勝田 千尋様
160310_jpsama_zentai
1.2015年の概況

 昨年は政府・日銀の金融政策により、株高や円安の状況が続き海外売上高比率の高い輸出企業を中心に業績向上が見られました。当中部地区でも、自動車製造など輸出型企業は比較的好調な欧米諸国の経済状況もあり、堅調な業績を維持しておりました。
 但し、中国や新興国の減速が表面化し国際金融市場は不安定となり、混迷を極める中東情勢や多発するテロ行為など世界情勢は不透明な状況でありました。
 このような状況のなか、国内の紙・板紙販売に関して、洋紙につきましては価格修正前の駆け込み需要の影響で、一時的に名古屋洋紙代理店会の実積が全国平均を上回る時期がありましたが、その反動で昨年の4月以降は全国平均を下回るなど厳しい状況が続きました。
 一方、板紙の販売につきましては機械や機械部品、青果物関連用途において低調であったものの、通販関連などの堅調さもあり全国・名古屋ともほぼ前年並みの販売状況となっております。

 代理店会統計による、2015年1月~11月累計の全国国内払出実積は、

7,328,700トン 前年比 96.0%
板紙 4,624,852トン 前年比 99.8%
紙・板紙合計 11,953,552トン 前年比 97.4%

 代理店会統計による、“名古屋地区”の2015年1~11月累計の国内払い出し実績は、

609,170トン 前年比 94.8%
板紙 759,683トン 前年比 99.4%
紙・板紙合計 1,368,853トン 前年比 97.3%

となり、名古屋地区の洋紙販売が厳しい状況にあったことを表わしています。
 また、輸入紙に関して申し上げますと、2015年1月~11月の輸出入組合の輸入通関実績は

1,140,821トン 前年比 88.0%
板紙 301,814トン 前年比 93.3%
紙・板紙合計 1,442,635トン 前年比 89.1%

となり、円安の影響が強く反映して、3年連続で減少となりました。

2.2016年の動向

 ここで、今年の動向について考えてみたいと思います。昨年、流行語大賞を受賞するなど話題となりました『爆買い』に象徴される訪日外国人によるインバウンド効果は、観光に力を入れる政府方針や円安傾向の継続が予想されるため、その経済効果はまだ増える余地があるものと思われます。また、内閣府が発表した7月~9月のGDP2次速報値は0.3%増となり、2四半期ぶりのプラスとなりました。民間企業の設備投資に対する意欲増加が反映された形となり、明るい兆しが見えて参りました。さらに、原油安の状況はOPECの減産見送りにより安値が続き、ニュ-ヨ-クの原油先物相場は1月渡しが1バレル=40ドルを割り込む状況となっております。原油安は家計に対する影響も大きく、個人消費の拡大に期待をしたいところであります。
 しかし、中国を中心とする新興国の経済状況は一時期の勢いがなく減速しており、比較的好調な推移を見せる米国経済もFRBによる利上げ実施を決定しました。日本の景気にも影響する可能性が出てきており、日本国内でも為替差益を享受しうる大企業と中小企業とでは明暗が分かれる状況となってまいりました。
 紙業界について見てみますと、経済産業省の工業統計表による2013年の印刷・同関連業の出荷額は約5兆4,000億円であり、1991年のピ-ク時8兆9,000億円と比較しますと約40%のダウンとなっております。また、昨年の2月に電通より発表された「2014年 日本の広告費」によりますと、2014年の日本の総広告費は約6兆1,000億円で前年比2.9%増加し、3年連続で前年を上回ることとなりました。しかし、その内訳を見ますとテレビメディア、インタ-ネットが前年を上回るものの、新聞広告が前年比98.2%、折込広告が96.4%と紙媒体の減少が数字に表れております。特に当地区は、元々東京や大阪と比較して、紙の使用量におけるチラシ広告用途の比率が高い地域であるといわれており、不況時の広告費削減の影響を受けやすく、今年も厳しい状況が続くものと思われます。

3.海外市場について

 次に、海外市場について少しお話ししたいと思います。国連の2010年人口推計によりますと、

2010年推計 2050年予測 増減
日本 約1億2,500万人 約9,500万人 約3,000万人の減少
世界 約68億9,000万人 約93億人 約24億人の大幅な増加予想
アジア地域 約41億6,000万人 約51億4,000万人 約10億人の増加
アフリカ地域 約10億2,000万人 約21億9,000万人 約12億人の増加

との見込となっており、アジア・アフリカ両地域で全体の約91.7%を占めることとなります。
 ここで、世界の紙・板紙の生産量を見てみますと、RISI資料の2014年統計で、

世界の紙・板紙生産量 年間約4億トン
中国の紙・板紙生産量 年間約1億トン(全体の約25%)

中国は2004年時点で5,000万トンであったことから、10年間で倍増したことになります。なお、中国の台頭により北米、欧州、日本の生産シェアが下落しております。
 また、世界の紙・板紙の1人あたりの消費量に目を移しますと、2014年統計で、

世界平均 約56kg
日本 約214kg
アフリカ地域 約8kg
アジア地域 約46kg

今後、人口増加が見込まれるアフリカ地域、アジア地域の消費量は各々8kg、46kgと、両地域とも世界の平均を下回っている状況であります。
 紙・板紙の消費量は、地域の経済レベルや教育レベルに比例して増加する傾向があります。アフリカ地域で消費されている紙・板紙は前述の通り1人当たり8kgと申し上げましたが、その中で日常生活に直結する衛生用紙に関しては1人当たり約680gとなり、トイレットロ-ルおよそ5個分の重量となります。経済の発展とともにインフラが進めば、その消費量は増加すると予想されます。また、教育レベルが向上すればノ-トや画用紙などの消費量も増加することでしょう。具体的な数量予測はできませんが、人口増加地域は大きな可能性を秘めており、開発途上国の発展は、産業界においてプラス効果を生み出すものと考えております。
 前述したとおり、隣国の中国では紙・板紙の生産量が急激な増加を見せたため、原料となるパルプや古紙は自国調達だけでは対応できない状況であり、輸入数量も膨大であります。RISI資料によりますと、2014年統計でパルプ約1,580万トン、古紙約2,750万トンを輸入しており、日本にとって古紙の輸出先として最大の輸出国であります。2014年統計では中国に約303万トンの古紙を輸出しておりますが、この数量は総輸出量約462万トンの65.6%を占めております。
 日本の古紙回収数量は2014年統計で約2,170万トンであり、回収率は約80%となっております。中国の2013年の回収数量は約4,570万トン、回収率は約45%となっております。それが、2014年は約4,830万トンと増加し、回収率も約47%と徐々に上がってきております。昨年、中国の景気も減速気味であることが顕在化し、人民元の切り下げは世界同時株安を招く結果となりました。中国の景気動向によって日本の古紙輸出が減少したり、中国の古紙回収率が大幅に増加するようであれば、日本国内の古紙需給バランスが大きく崩れる懸念があり、その動向に注視する必要があると考えます。

4.今、考えるべきこと

 今後、日本の国内市場がどのように変化していくのか、その変化にどのように対応していくのかは、とても大きな問題であります。商売を増やすべく、新規商材の販売活動に注力する事も必要ではありますが、紙流通の基本に立ち返って考えてみますと、与信問題や物流問題についても対応が必要です。
 全国企業倒産件数は6年連続で前年を下回り、1990年以来24年ぶりに1万件を下回る事となりました。倒産件数の減少については、アベノミクス効果による景気の好転も影響をしておりますが、それ以上にリ-マンショック後の2009年12月に施行された中小企業金融円滑化法(以下 円滑化法)によって、中小企業がリスケジュ-ルを申し込んだ場合、金融機関はできる限り柔軟な対応をとるようにとの努力義務が法律によって定められたことが大きな要因であると思われます。2013年3月末に円滑化法は終了しましたが、金融庁の統計によりますと、中小企業者向けのリスケジュ-ル実行率は2013年3月末が97.4%であったのに対して、終了後の8月末においても97.5%と高い数字を維持しており、中小企業を支援する姿勢や体制は引き続き継続されています。しかし、円滑化法終了から3月で3年が経過します。もし、中小企業向けのリスケジュ-ルに対する対応が変化し厳しくなるのであれば、中小企業にとっては厳しい環境になるものと思われます。
 与信問題に関しては、財務諸表の分析と合わせて、日々営業活動をされております営業マンの皆様が、お取引先との日常のやりとりから感じる部分が大きいのではないかと思います。いつもと“何かが違う”ことを感じられるような社員の育成が必要になってくるものと考えております。
 物流問題に関して考えてみますと、当中部地区は本州のほぼ真ん中に位置しており、製紙メーカ-の主要工場が複数近隣地区に点在することもあり、紙・板紙の物流に関しては非常に恵まれた地域であると考えられます。また交通インフラ面においても、自動車産業に代表されるように「ものづくり」が古くから発展していることもあり非常に充実しております。
 しかし、そのような状況のなか当地区においても輸送力不足の問題が顕在化しております。大きな変化があったのは2008年9月のリーマンショックにまで遡ります。大幅な物量減少が招いた物流業者の車両削減が大きな理由のひとつです。また、低賃金・長時間労働といわれる労働条件がゆえに、新規に大型免許を取得してトラックドライバ-になるという人も減少しております。警察庁交通局の資料より、大型トラックを運転できる第一種大型免許の保有者数を見てみますと、平成18年に4,534千人でありましたが、平成26年では4,388千人と約3.2%減少しております。
 また、平成16年と平成26年の年齢別の運転免許保有者数を見てみますと、若年層が大きく減少し高齢化が顕著になっております。

年齢別運転免許保有者数 (警察庁交通局資料)
年齢 平成16年末 平成26年末 増減
16~29歳 15,742千人 11,773千人 △3,969千人
30~49歳 31,774千人 32,606千人 +832千人
50歳以上 30,731千人 37,697千人 +6,966千人
合計 78,247千人 82,076千人 +3,829千人

 紙・板紙の配送に関しては、荷降ろし時の補助作業を実施する場面など熟練度が高い運転手が好まれる傾向にあり、若年層が入り込みにくい環境があったようです。
 今後、2020年の東京オリンピックに向けて、大型免許取得者が賃金の良いダンプへ流出するのではないかということも危惧されております。東日本大震災の時にも、復興事業への流出があり、繁忙期の輸送力不足が発生しました。世界的なイベントであるため、流出を食い止めるのは厳しい状況となるでしょう。将来的にみますと、紙・板紙の販売状況にも関連してきますが、物流問題はメーカ-・流通はもちろんのこと、納入先まで含めた対応・仕組み作りが必要になってくるものと思われます。

5.終わりに

 昨年を振り返りますと、火山活動の活発化や関東・東北豪雨による鬼怒川決壊など自然災害が発生し、甚大な被害をもたらしました。しかし、一方では北陸新幹線長野-金沢間の開業や「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産への登録など、日本の観光産業に注目が集まり、連日のように活気にあふれる映像が報道されることで、少しずつではありますが景気の回復を感じる状況となりました。また、学術や研究の分野では大村智北里大特別栄誉教授がノーベル医学・生理学賞、梶田隆章東京大宇宙線研究所所長がノーベル物理学賞を受賞し、日本の基礎研究力の高さや社会に役立つ医学分野の先進性が実証されました。さらに、ラグビ-ワ-ルドカップでの日本代表チ-ムの活躍は日本に大いなる感動を与えたとともに、次回2019年の自国開催に弾みをつける形となりました。
 今年は5月に伊勢志摩サミットが開催されます。中部地区でのサミット開催ということもあり、投資面・観光面の経済効果が見込まれます。そして8月には、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロでオリンピックが開催されます。昨今、日本のスポ-ツ界では若くて才能のある選手が、国際舞台で大活躍している姿をよく見かけます。今年もその活躍に触発されて日本に元気をもたらしてくれる事を大いに期待しております。
 さて、今年の紙・板紙業界の動向ですが、国内市場が成熟しており厳しい状況が続くものと予想されます。但し、既存商権以外の何かを探し続ける意欲や向上心を持って取り組み続けながら、自らの足元を固めて着実に一歩一歩進んでいきましょう。

以上、ご清聴ありがとうございました。

(勝田様のお話・原稿より、華陽紙業にて抜粋)

関連する記事

CONTACT より詳しい情報をお求めの方は、お問い合わせ、もしくは、担当営業までまで、ご遠慮なくお申し付け下さい。

お問い合わせ

PAGE TOP