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紙の市況(2021.6)詳細 6月20日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.日本製紙 古紙リサイクルで八代市と連携

 日本製紙は6月17日、八代市と連携し古紙リサイクルの循環型システムを構築したと発表しました。公式サイトの発表によると、

仕組み ①家庭から排出される古紙を八代市環境センター「エコエイトやつしろ」が回収。
②分別の一部について八代市障がい者福祉事業所協議会の協力を得、効率化。
③同社八代工場、大竹工場、グループ各生産拠点で再資源化。
④段ボール原紙や印刷・コピー用紙、家庭紙等の素材として活用し、リサイクル製品を出荷。
目的 ・資源調達の長期にわたる安定化。
・地域住民のネットワークを持つ行政と技術・拠点を持つ同社の連携・協力で役割分担を明確にし、総合的な古紙リサイクル循環型システムを構築。
回収対象 新聞、雑誌・雑紙、段ボール、紙製容器包装、紙パック
期間 2021年4月1日~2022年3月31日(更新あり)

 再資源化された製品を素材の一部として活用した製品は6月から順次出荷されるとのことで、同社は今後も持続可能な循環型社会の実現に向けて取り組んでいくと表明しています。


2.王子HD 医薬品事業に関して報道

 6月12日付の日本経済新聞紙上にて、王子ホールディングスが2024年度にも医薬品事業に参入すると報じられています。同社は以前より、製紙工程で産出する副産物の「ヘミセルロース」に着目して研究開発を続けており、同記事や、同社公式サイトの公表内容によると、

ヘミセルロース 木材の主成分はセルロース、ヘミセルロース、リグニンなど。ヘミセルロースは木材成分の約20%を占めるが、製紙や繊維原料として余すところなく活用されるセルロースと異なり、ヘミセルロースは活用事例が少ない。
 同社はセルロースとヘミセルロースを高純度で精製することができる技術の開発に成功、分子の重さである「分子量」も調整することができ、体内で吸収量や薬効を安定させることに寄与すると考えられている。
ポリ硫酸ペントサンナトリウム ヘミセルロースを精製・化学合成して得られる硫酸化ヘミセルロースの1種。関節炎の症状を抑える効果、膀胱の炎症を抑える効果、血液の凝固を抑える効果など、様々な効果があることが知られているとのこと。
王子ファーマ株式会社 医薬品の開発・製造販売を目的として同社が2020年4月1日に設立。硫酸化ヘミセルロースの血液凝固阻止作用、抗炎症作用、保湿作用といった特徴を発揮できる疾患領域にターゲットを絞り、研究開発を加速させていくとの方針を発表。
今後の展開

 ヒト向けの血液凝固阻止の薬品に関しては、高齢者の増加により世界市場が拡大していること、木質由来であることが現在主流の動物由来の製品より優位に働く点があることなどから代替品としての展開への期待を示しており、同社は再生可能な木質資源からつくられる医薬品の新たな価値をグローバルに提供していくと表明しています。


3.「王子の森」オンライン形式で実施

 王子ホールディングスは5月31日、2021年度の「王子の森・自然学校」をオンライン形式で実施すると発表しました。同イベントは森のリサイクルと紙のリサイクルを学べる子供向けの学習プログラムで、2004年より自然体験型で実施、夏休みの自由研究に活用できるなどとして好評を博していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大などにより2020年度の開催は延期となっていました。今年度、新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンライン形式での開催となりましたが、紙すきセットを使った自宅での製紙工程体験なども予定されており、同社は今後も環境教育面での社会貢献に努めていくとしています。


4.北越 労働安全衛生の認証を取得

 北越コーポレーションは6月16日、労働安全衛生に関する国際規格であるISO 45001を取得したと発表しました。ISO 45001は従業員やその利害関係者の、業務上の労働安全・衛生に関するリスクを適切に分析・管理し、継続的に改善することを主内容とする規格で、同社によれば、この認証を全社レベルで取得するのは紙パルプ業界では初とのこと。同社は今後も安全衛生マネジメントシステムの運用を実践し、さらに安全・安心して活き活きと働ける職場づくりを目指していくとしています。


【その他の市況/状況】

1.家庭紙店頭価格横ばい

 6月10日付の日本経済新聞紙上にて、5月の家庭紙の店頭価格が前月比横ばいだったと報じられています。東京紙商家庭紙同業会のまとめによるもので、トイレットペーパー・タオルペーパーとも横ばいの水準だったとのこと。コロナ禍で都心部でチラシによる販促が減り、トイレットペーパーなどの特売が減っていると記事では伝えられています。


【印刷・製品関連】

1.凸版印刷 金属調加飾と通信性両立するNFCラベル

 凸版印刷は6月17日、高意匠NFCラベルを開発したと発表しました。公式サイトの発表によると、

NFC 近距離無線通信の国際規格。NFCタグをNFCリーダ/ライタ機能を有した機器にかざすことで情報の読み込み・書き込みを行う。携帯機器間通信機能も利用できる。
今回の開発 高級感を表現する金属調の加飾を施してもNFCの通信性能を下げない、印刷加飾技術や箔のデザインパターン、アンテナ設計等の技術の組み合わせを開発。高級感がありながら通信性能を維持しているNFCラベルを実現。
想定される用途 パッケージに高いデザイン性が求められる高級酒、高級化粧品等、ブランド製品向けのラベルとして。

 同製品は意匠性を高めると同時にNFC機能を利用したID管理や顧客サービスの提供を可能とする製品として、上海で開かれるパッケージの国際展示会等で出展される予定とのことです。


※文中敬称略
※文章は2021年6月18日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。