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華陽ニュース

紙の市況(2021.7)詳細 7月31日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.大王製紙 一部のファインペーパーで価格改定

 大王製紙は7月29日、ダイオーペーパープロダクツが生産するファインペーパーの一部で価格改定を実施すると発表しました。

・近年のファインペーパー需要の漸減
・設備の老朽化
・物流費高騰

等で収益が悪化しているためとし、2021年9月1日出荷分より改定を実施するとのこと。
 対象商品や改定内容は取扱店に案内するとして発表では明らかにしていませんが、ダイオーペーパープロダクツは旧日清紡ペーパープロダクツであり、NTラシャやヴァンヌーボシリーズなど、数多くの人気ファインペーパーを開発・生産していることで知られています。


2.中パ 一部銘柄を受注生産へ

 中越パルプ工業は7月20日、一部銘柄を受注生産へ移行すると発表しました。同社サイトに掲載された発表によると、

対象銘柄 スーパーアート 雷鳥SアートCOC 104.7g/㎡、127.9g/㎡、157.0g/㎡
雷鳥SアートMNCOC 127.9g/㎡、157.0g/㎡
アート紙 雷鳥特アートCOC 104.7g/㎡、127.9g/㎡、157.0g/㎡
移行時期 2021年9月生産より 雷鳥SアートMNCOC
2021年10月生産より 雷鳥SアートCOC、雷鳥特アートCOC
切り替え推奨銘柄 雷鳥SアートCOC 雷鳥コート
雷鳥SアートMNCOC 雷鳥ダルアートCOC
雷鳥特アートCOC 雷鳥コート

 販売数量減少で生産ロットの維持が困難になったためとして、受注条件等は相談してほしいと呼びかけています。


3.王子パルプモールド製品 化粧品の詰め替え用容器に採用

 王子ホールディングスは7月26日、同社のパルプモールド製品「PaPiPress」(※同社の商標)が化粧品の詰め替え用容器として採用されたと発表しました。両社の公式サイトの発表や7月27日付の日本経済新聞の記事によると、

対象製品 コーセーの子会社、株式会社アルビオンのパウダーファンデーション「アルビオン プリンプ パウダレスト」の詰め替え用容器
採用の背景 従来はプラスチック製だった容器を、パルプ100%のパルプモールドに切り替え。
・プラスチック使用量を約半年間で750キログラム程度削減
・製品などにかかる二酸化炭素排出量を従来比で削減
等の環境負荷低減が期待できるとのこと。
その他 アルビオンは高級化粧品ブランドとしてパッケージにもこだわっているが、「PaPiPress」の採用で、環境負荷低減と中身を衝撃から守る機能性、色や質感などの意匠性の両立を実現し、実用化に至ったとのこと。
発売開始予定 2021年8月16日

 ファンデーションの詰め替え用容器にパルプを採用するのはアルビオンでは初めてとのことで、今回の採用は1種類ですが、今後他のパッケージでも製品特製やお客様のニーズを踏まえた材料選定をしていくと、アルビオンは表明しています。


4.日本製紙 飲料用アルミ付紙パックの再生品が富士森林組合の境界杭に採用

 日本製紙は7月27日、同社他2社がリサイクル・用途開発を行う「ポリアル」含有の境界杭が富士森林組合の森林整備用として採用されたと発表しました。公式サイトの発表によると、

ポリアル 同社が2社と共同で進める飲料用アルミ付紙パックのリサイクル工程で発生する、ポリエチレンとアルミニウムの混合物。従来は紙繊維と分離させたのち、RPFや廃棄物として焼却処理されていた。
同社他2社はこのポリアルを土木建築資材の原料に加えるなどして、ポリアルに新たな価値を与える「PakUpcycle」に取り組んでいる。
採用の背景 富士森林組合が「PakUpcycle」のコンセプトに共感を示し、採用が決定。森林整備に使われる境界杭には国土交通省が標準規格として認める仕様で要求される高い耐久性などが必要とされるが、今回採用された製品はポリアルを配合したうえで要求仕様を満たしていると発表されている。

 同社は今後も「PakUpcycle」のコンセプトを発信して賛同を得、飲料用アルミ付紙パックの再生利用を拡大していくと表明しています。


【その他の市況/状況】

1.レンゴー セロファンの価格を改定

 レンゴーは7月21日、セロファンの価格改定を実施すると発表しました。公式サイトの発表によると、

対象品種 一般セロファンおよび乳白セロファン 全品種
価格改定幅 一般セロファン#300換算で2,000円/連
実施時期 2021年9月1日納入分より
理由 CO₂削減を含めた環境対策に関する設備投資や、設備の老朽化対応に関連する費用の増大が収益を圧迫し、価格の維持が困難になっているため。

 同社はセロファン事業の継続、セロファンの品質維持・向上・安定供給を果たすためとして、今回の価格改定に理解を求めています。


2.ミックス古紙の在庫滞留懸念と報道

 7月27日付の日本経済新聞紙上に、ミックス古紙の在庫が滞留する懸念があると報じられています。ミックス古紙はチラシや紙袋、紙箱など、新聞・雑誌・段ボールの分類に属さない雑がみが束ねられたもので、リサイクルに適さない異物が混入していることも多く、周辺アジア諸国で「ごみ」として輸入禁止措置をとる国が増えていることから、国内で滞留するのではと記事は懸念を示しています。
 ミックス古紙が古紙全体に占める割合は約5%と低いものの、自治体のごみ減量化の影響で今後発生が増えるとの観測もあり、リサイクルするには『ミックス古紙』ではなく、雑がみ類をさらに細かく選別することが必要との商社の声も記事では紹介されています。


【印刷・製品関連】

1.日経広告研 21年度国内広告費予測を上方修正

 7月21日付の日本経済新聞紙上にて、日経広告研究所が2021年度の広告費予測を見直し、2月時点で前年度比5.3%増とした予測を、同10.4%増と修正したと報じられています。コロナの収束は見通せないものの、製造業を中心に企業活動は活発化しているとし、

インターネット広告 前年度比21.1%増と予測。巣ごもり需要で業績が伸びる電子商取引やゲーム関連は、インターネット広告と相性が良く、コロナ下でも積極的に出稿しているうえ、感染が一段落してもこの傾向は続くとみる向きが多い。
テレビ広告 9.8%増と予測。20年度の12.6%減から反動増。東京五輪、22年2月の北京五輪が好影響。
新聞広告 5.9%増と予測。20年度の17.9%減から反動増。衆院選に伴う広告需要に期待。
雑誌広告 7.7%減とマス4媒体のなかでは唯一マイナス予測。雑誌自体の販売低迷やデジタル媒体への移行が影響。

などの予測が発表されています。ただ前年度比での上昇は大幅な落ち込みからの反動増の意味合いが大きく、2019年度の金額には至らないとの予測も、公式サイトでは発表されています。


※文中敬称略
※文章は2021年7月29日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。