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華陽ニュース
紙の市況(2021.9)詳細 9月20日更新分
【洋紙 国内の紙の市況/状況】
1.日本製紙 チップ船荷役クレーン自動運転装置の実荷役試験に成功 |
日本製紙は9月9日、木材チップを荷揚げされる際に使われる専用クレーンの自動運転装置の実荷役試験に成功したと発表しました。公式サイトの発表によると
背景 | 木材チップ船に積まれた木材チップの荷揚げ作業には船上クレーンが使用される。従来の荷揚げ作業では、専門免許を有する運転者が昼夜交代で約3日、連続で作業を行うことが必要で、運転者の負担軽減が課題となっている。 |
今回の試験 | クレーン等の製造メーカーで、クレーン自動運転の研究を進めてきた株式会社相浦機械、クレーン運転者の手配者である日本製紙、クレーン自動運転装置開発の協力者である日本郵船の3社が、船主・管理会社、その他関係者の理解と協力を得て実施。 船上クレーンの運転室内に自動運転操作盤を実装し、運転者が予め設定された数種類の定型荷役動作を選択することで自動荷役作業が実施される形の自動運転装置を操作して、8月下旬、苫小牧港において実荷役試験を実施。 |
結果 | 約4時間の自動運転で7割程度の自動荷役が可能であることを確認。クレーン運転者から、誰でも使いやすく安全に荷役ができた等の感想を得る。 |
今回の試験を踏まえ、日本製紙は各チップ船への自動システムの導入と展開を検討し、作業負荷軽減と作業環境の向上に取り組んでいくとしています。
【洋紙 国外の紙の市況/状況】
1.アジアで印刷用紙価格が下落 |
9月11日付の日本経済新聞紙上にて、アジア市場で印刷用紙の価格が下落したと報じられています。香港向け価格では上質紙が春先の高値から1.7%、上質コート紙が同2.4%下落したとのこと。アジアの印刷用紙市況は今年5月に急上昇し、5月の香港市場の上質紙は4月比12%程度、上質コート紙は同15~20%程度高い値をつけていましたが、ここにきてわずかに反落した形となっています。
・中国共産党創立100年に関連する印刷需要が一服し、反動減
・中国では新型コロナの感染再拡大に伴う移動制限で景況感が悪化
・夏の不需要期で紙の消費減
・中国政府が7月に発表した義務教育向け学習塾の新規制で、休日・長期休暇等の授業が禁止。授業数の減少から学習塾関連の出版物需要が減少する可能性
・東南アジアで新型コロナ感染拡大から都市封鎖が発生、経済活動が停滞
・パルプ市況が軟化
といった要因が影響していると記事では指摘されています。
一方、世界的なコンテナ不足を背景とする物流の停滞は解消されておらず、印刷用紙の在庫が流通に十分溜まっているとは言えないとみて、印刷用紙価格がさらに大きく下がる可能性は低いとみる製紙会社もあると、記事では伝えています。
【板紙 国内の紙の市況/状況】
1.日本東海の「防水ライナ」が鮮魚輸送用パッケージに採用 |
日本製紙グループの日本東海インダストリアルペーパーサプライ株式会社は9月14日、同社が今年3月に開発した多機能段ボール原紙「防水ライナ」が、日本水産株式会社の量販店向け鮮魚輸送用パッケージの一部に採用されたと発表しました。事前に輸送試験を実施済みで、9月上旬より使用を開始するとのこと。
鮮魚輸送には従来、発泡スチロール容器が使用されていましたが、防水ライナを使用した段ボールケースに置き換えることにより、
・外寸が小さくなるため輸送効率が向上
・使用後は展開し、保管スペースを削減
・同サイズの発泡スチロール容器と比べ、石油由来原料を約96%削減可能
・使用後は古紙としてリサイクル可能
といった利点が考えられるとしています。
日本製紙グループは今後も持続可能な社会に向けて、製品の提供を通じて社会の課題解決に取り組んでいくとしています。
【その他の市況/状況】
1.パルプ価格が下落 |
9月11日付の日本経済新聞紙上にて、パルプ価格が下落したと報じられています。指標となる北米産針葉樹さらしクラフトパルプの7月積みの対日価格は、前月比7.8%下落し、2か月連続の下落となったとのこと。
・中国政府による産業用素材価格の高騰に対する取引規制が、パルプにも及ぶのではとの警戒感
・紙の市況悪化
が背景にあるとのことで、上海市場のパルプ先物価格が急落したと同時に現物価格も軟化していると記事では伝えられています。
【印刷・製品関連】
1.凸版印刷 リサイクルPET‐G樹脂使用のICカード |
凸版印刷は9月1日、リサイクルされた非晶性ポリエチレンテレフタレート(PET‐G)樹脂を使用したICカードを開発し、8月より販売を開始したと発表しました。同社サイトの発表によると、
概要 | PET‐G樹脂を使用し、接触型と非接触型の両方の通信が可能なデュアルインターフェースICカードを開発し、各種カード向けに販売を開始。 同社によると、カードの主材料にリサイクルPET‐Gを使用したデュアルインターフェースICカードは日本で初めてとのこと。 |
背景 | 「DX(デジタルトランスフォーメーション)」と「SX(サステナブルトランスフォーメーション)」をキーワードに社会課題の解決に取り組む同社が、電子商取引の増加等によるクレジットカードなど各種カードの需要増を背景に、今年6月、リサイクルPETを使用した非接触通信型の環境配慮型ICカードの取り扱いを開始。 今回はその環境配慮型ICカードの新ラインアップとして、リサイクルPET‐Gを使用したデュアルインターフェースICカードを開発。金融系カードでも環境配慮型ICカードの提供を可能にすることで、資源循環型社会への貢献を図る。 |
同社は今後、PET‐G以外のリサイクル材料を使用したカードの開発に取り組み、環境配慮型カードのラインアップをさらに拡充して、リサイクル材料を使用したカードの製造比率を高めていくとしています。
2.講談社とアマゾン 直接取引を開始 |
9月17日付の日本経済新聞紙上にて、講談社とアマゾンジャパンがこの9月より直接取引を開始したことが分かったと報じられています。大手出版社が取次会社を介さずアマゾンジャパンと直接取引するのは珍しい事態で、
・消費者への本のお届けの納期短縮
・コスト削減
につなげたい狙いと記事では要因を分析しています。
※文中敬称略
※文章は2021年9月17日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。