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華陽ニュース

紙の市況(2021.10)詳細 10月20日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.日本製紙と特種東海が協業体制を強化

 日本製紙と特種東海製紙は10月14日、両社の協業体制の強化を目的とする覚書を締結したと発表しました。両社のサイトに掲載された発表によると、

背景・目的 両社は段ボール原紙・クラフト紙事業やタオル用紙における営業機能の統合等を通じてすでに協業関係にあったが、
・コロナ禍によるデジタル化の一層の推進・衛生意識の高まり
・脱プラ・脱炭素の機運の高まり
等、社会の要請や構造が大きく転換するなかで、両社の課題解決や事業機会獲得のため更なる協業が必要との認識で一致。
対象領域 ・衛生用紙事業の競争力強化
・原燃料、製品等の共同開発
の領域で協業体制を強化。

 両社の保有する対象領域での販売網、設備、技術・ノウハウ、資源やネットワークを活用するほか、特殊機能を有するパルプの開発や焼却処分している古紙の減量化、温室効果ガス削減に寄与する燃料の開発等、開発や調査活動における協業も実施すると、両社は発表文書にて明らかにしています。


2.大王 重油使用量低減によりCO₂排出量を削減

 大王製紙は10月15日、パルプ製造工程で重油使用量を削減することにより、CO₂の排出量を削減できる仕組みを実現したと発表しました。同社サイトの発表によると、

内容 同社三島工場のクラフトパルプの製造工程で使用する石灰を再利用するために焼成する設備において、バイオガス、天然ガス、重油を混焼して使用する仕組みを実現。同設備における重油の使用量を約40%削減できるようになるため、CO₂の排出量の削減につながる。
バイオガス クラフトパルプ製造工程で発生する排水から抽出された、バイオマス由来のガス。同社は2021年1月からこのバイオガスを重油代替として使用することでCO₂排出量の削減を実現していたが、今回、大阪ガスが開発した天然ガスと重油の混焼技術を使用することにより、さらなる重油使用量の削減とCO₂排出量の削減を実現した。

 同社は2050年度のカーボンニュートラル実現と2030年度にCO₂排出量2013年度比46%削減を目標として掲げており、今後も再生可能エネルギーの有効活用などを通じ地球温暖化対策を推進していくと表明しています。


【板紙 国内の紙の市況/状況】

1.王子 抗菌加工段ボールを新発売

 王子ホールディングスは10月8日、抗菌加工段ボールを10月から本格販売すると発表しました。同社サイトの発表によると、

製品名 『+抗菌加工 キンコバーム』
内容 段ボールに抗菌加工を施した製品。SIAA(抗菌製品技術協議会)表示基準に適合。
段ボール原紙、段ボールシート、段ボールケースなどでの提供が可能。

 同社はこの製品を避難所のパーテーションなどとして使用することで、飛沫対策に抗菌機能をプラスすることができるとして、用途を提案しています。


【その他の市況/状況】

1.9月積みパルプ価格が下落

 10月12日付の日本経済新聞紙上にて、9月積みの北米産パルプの日本向け輸出価格が下落したと報じられています。パルプ価格は5月に、半年間の上昇率が5割に達するほどの高値となっていましたが、6月ごろから下落し始め、現在は春先を3%ほど上回る程度に落ち着いています。
 日本向け価格に影響を与える中国では

・新型コロナウイルスの感染再拡大で商業施設などの家庭紙の需要が抑制
・7月の中国共産党創立100年に関連する書籍の印刷需要が終わり、反動減
・電力不足の影響で製紙会社の一部が工場の稼働率を調整

といった状況からパルプ需要が減少しており、記事では価格がさらに下落する可能性についても言及しています。


2.9月の家庭紙店頭価格が横ばい

 10月12日付の日本経済新聞紙上にて、9月の家庭紙の店頭価格が横ばいになったと報じられています。東京紙商家庭紙同業会のまとめによるもので、マスクの利用が定着したことから、風や花粉症などの際に利用が増えるティッシュペーパーの需要が減少傾向だと記事では伝えています。


【印刷・製品関連】

1.中電、家庭向け請求書などを有料化

 中部電力ミライズ株式会社は10月15日、家庭など低圧の契約者を対象にペーパーレス化を一層推進すると発表しました。同社のプレスリリースなどによると、

検針票 2022年4月分より、書面からサイトでの通知に連絡方法を変更。WEB会員サービスへの登録・手続きを呼び掛けている。
2022年4月分以降も紙での通知を希望する場合ははがきでの申し込みが必要で、一部の料金メニューの利用者に関しては有料(月税込100円)の請求書にて代替。
請求書・振込用紙 2022年4月分以降、書面による請求書と振込用紙を有料化。請求書は月100円、振込用紙は月220円(ともに税込)。

 同社は有料化の理由を、環境保全への取り組みの一環であり、紙の消費量削減を推進するためとしています。


※文中敬称略
※文章は2021年10月18日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。