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華陽ニュース
紙の市況(2021.12)詳細 12月20日更新分
【洋紙 国内の紙の市況/状況】
1.王子 新しい減プラ素材のサンプル提供開始 |
王子ホールディングスは12月16日、ポリオレフィン系繊維の一部をセルロース繊維に置き換えプラスチック使用量削減を可能にするセルロースマットを開発し、サンプル提供を開始したと発表しました。このセルロースマットは同社独自の不織布製造技術によってセルロース繊維とポリオレフィン系繊維が均一に分散され、立体的な形状にも成形でき、熱加工することでプラスチックより変形に強く、割れにくいセルロース樹脂成形体となると同社は説明しています。さらには同社のCNFシートなどの機能性素材を貼り合わせることで剛性などを向上させることも可能として、同社はこのサンプル提供を通して自動車部材などへの実用化を進めると、今後の展望について表明しています。
【洋紙 国外の紙の市況/状況】
1.アジア向け印刷用紙価格上昇の報道 |
12月17日付の日本経済新聞紙上にて、印刷用紙のアジア向け輸出価格が上昇したと報じられています。2年ぶりの高値となっているとのこと。
・ベトナムやタイなどで経済活動が復調し、工業製品の説明書用などの印刷用紙の需要が増加。
・海上運賃の上昇で欧米からの輸入が減り、日本からの輸入が増加。日本の製紙会社が価格交渉で優位な立場に。
等の状況があるとのこと。
共産党創立100周年記念行事の終了や学習塾の新規制の影響で中国では印刷用紙の需要が低迷していますが、電力不足の影響で供給も絞られていることから、需要が弱いなかでも価格は下支えされていると、記事では説明されています。
【板紙 国内の紙の市況/状況】
1.パッケージ関連の値上げ発表続く |
レンゴーの11月30日の発表を始めとして、産業用紙・包装用紙関連でも製紙各社の値上げ発表が続いています。12月16日までの発表をまとめると
メーカー | 対象製品 | 値上げ幅 | 実施時期 |
大王製紙 | 段ボール原紙全般 | 現行価格+10円/kg以上 | 2022年2月1日納入分より | 包装用紙全般 | 現行価格+15%以上 |
大興製紙 | 重袋用両更クラフト紙 一般両更クラフト紙 未晒・晒両更特殊紙 未晒・晒片艶紙 ペーパータオル原紙 |
2022年2月1日出荷分より | |
日本東海インダストリアル ペーパーサプライ |
段ボール原紙全般 特殊板紙(チップ・色板、紙管原紙、 石膏ボード原紙、シクラ原紙) クラフト紙(重袋用両更クラフト紙、 一般両更クラフト紙) |
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レンゴー | 段ボール原紙 チップボール全品種 紙管原紙全品種 |
現行価格+10円/kg以上 | |
コート白ボール全品種 | 現行価格+15円/kg以上 | ||
段ボール製品 | 段ボール原紙価格やエネルギーコストなどを基に個別に価格交渉 | ||
王子マテリア | 段ボール原紙(ライナー、中芯) | 現行価格+10円/kg以上 | 2022年2月21日出荷分より |
12月17日付の日本経済新聞紙上では、この値上げについて、収益圧迫の転嫁というよりも、二酸化炭素削減などの環境対策コストが要因として顧客の理解を得られるとの見方があることを伝えています。
【その他の市況/状況】
1.11月末家庭紙店頭価格横ばい |
12月9日付の日本経済新聞紙上にて、11月の家庭紙の店頭価格が前月比横ばいとなったと報じられています。東京紙商家庭紙同業会のまとめによるもので、再生・パルプ製両方のトイレットペーパーや大手メーカー製ティッシュペーパーが横ばいであることが確認されたとしています。
2.信越化学がセルロース製品を値上げ |
12月16日付の日本経済新聞紙上にて、信越化学工業がセルロース製品を値上げすると報じられています。2022年2月1日出荷分から最大で20%の値上げとのことで、主原料の高純度パルプの価格が大幅に上昇していることなどが理由とのこと。製品の一斉値上げは約11年ぶりとなると記事では伝えています。
【印刷・製品関連】
1.三菱鉛筆 紙製リフィルの開発に成功 |
三菱鉛筆は11月2日、日本製紙、昭和丸筒の協力を得て、紙製リフィルの開発に成功したと発表しました。同社のプレスリリースなどによると、
内容 | インクを収容する管の部分が紙製のリフィル(替え芯)の開発に成功。独自の開発紙とパーチメント紙で構成される4層構造で、インクが長期間リフィル内にあってもインク漏れ、インクの染み出し、巻き形状のほつれなどが発生しない構造を実現。インクには油性ボールペンのインク「ジェットストリームインク」を使用、インク量は従来のジェットストリームスタンダードリフィルの約1.6倍で長く使うことができる。 |
メリット | 紙を使用することで、従来のリフィルと比べ、プラスチック使用量を約88%削減。 |
同社は12月3日、他の新製品でリフィルのパッケージを紙製にしたものの新発売も発表しており、プラスチック排出量の削減を含む環境負荷低減の取り組みを日々模索していると表明しています。
※文中敬称略
※文章は2021年12月17日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。
※2021年12月28日 一部修正がございましたのでアップデート致しました。