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華陽ニュース
紙の市況(2021.12)詳細 12月28日更新分
【洋紙 国内の紙の市況/状況】
1.npi抗ウイルス紙、SIAA抗ウイルス加工認証取得 |
日本製紙は12月17日、同社製品の「npi抗ウイルス紙」が一般社団法人抗菌製品技術協議会が制定するSIAA抗ウイルス加工の認証を取得したと発表しました。同社の発表や、抗菌製品技術協議会のホームページによると、
SIAA | 一般社団法人抗菌製品技術協議会の略称。適正で安心できる抗菌加工製品の普及を目的として、抗菌剤・抗菌加工製品メーカー、抗菌試験機関が集まって設立・運営しており、消費者団体や行政などからの幅広い助言を得ながら、抗菌加工製品に求められる品質や安全性に関するルールを整備、そのルールに適合した製品を認証し、SIAAマークの表示を認めている。 日本製紙の発表によると、「紙本体、銅などの無機系で、抄き込み」のカテゴリーでこの認証を取得するのは「npi抗ウイルス紙」が初めてとのこと。 |
製品ラインアップ | 『npi抗ウイルス紙』80g/㎡、186.1g/㎡ |
同社は今後も新たな機能を持つ製品を開発し、「紙」「パルプ」の利用シーン拡大に努めていくと表明しています。
2.王子HDの紙製品がナッツ外袋に採用 |
王子ホールディングスは12月21日、同社の紙とアルミフィルムを貼り合わせた紙製品が、株式会社デルタインターナショナルと株式会社にんべんのコラボ商品「一週間分のロカボナッツだし風味」と「だし風味ミックスナッツ」の外袋のパッケージ素材として採用されたと発表しました。環境負荷低減のため使い捨てプラスチックを紙素材に置き換えるニーズが高まっており、今回の採用に至ったと同社は経緯を説明しています。
同社は今後もお客様の取り組みを通じてあらゆる紙製品を提供し、持続可能な社会の実現に取り組んでいくと表明しています。
3.三菱製紙 希望退職者を募集 |
三菱製紙は12月23日、同日開催の取締役会において、希望退職者の募集を行うことを決議したと発表しました。対象は2022年4月1現在で40歳以上の正社員スタッフ職で、60名を募集するとのこと。同社は11月10日の第2四半期決算発表において今期の業績予想を下方修正しており、今後も既存事業の市場縮小は継続するとの見通しから人員の適正化は不可欠との判断に至ったと、今回の募集の理由について説明しています。
【板紙 国内の紙の市況/状況】
1.王子マテリア、日本、北越 板紙の追加値上げを発表 |
王子マテリアは12月23日、既に発表していた段ボール原紙に加え、白板紙・紙管原紙などについても価格修正を行うと発表、日本製紙と北越コーポレーションは12月24日、同様に板紙関連の値上げを発表しました。12月24日までの発表をまとめると
メーカー | 対象製品 | 値上げ幅 | 実施時期 |
大王製紙 | 段ボール原紙全般 | 現行価格+10円/kg以上 | 2022年2月1日納入分より | 包装用紙全般 | 現行価格+15%以上 |
大興製紙 | 重袋用両更クラフト紙 一般両更クラフト紙 未晒・晒両更特殊紙 未晒・晒片艶紙 ペーパータオル原紙 |
2022年2月1日出荷分より | |
日本東海インダストリアル ペーパーサプライ |
段ボール原紙全般 特殊板紙(チップ・色板、紙管原紙、 石膏ボード原紙、シクラ原紙) クラフト紙(重袋用両更クラフト紙、 一般両更クラフト紙) |
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レンゴー | 段ボール原紙 チップボール全品種 紙管原紙全品種 |
現行価格+10円/kg以上 | |
コート白ボール全品種 | 現行価格+15円/kg以上 | ||
段ボール製品 | 段ボール原紙価格やエネルギーコストなどを基に個別に価格交渉 | ||
王子マテリア | 段ボール原紙(ライナー、中芯) 紙管原紙 |
現行価格+10円/kg以上 | 2022年2月21日出荷分より |
白板紙全品種 チップボール 色板紙 |
2022年3月1日出荷分より | ||
日本製紙 | コート白ボール 特殊板紙 |
現行価格+15%以上 | |
北越コーポレーション | 段ボール原紙 | 現行価格+10円/kg以上 | 2022年2月21日出荷分より |
白板紙 (コート白ボール、 特殊白板紙) |
2022年3月1日出荷分より |
発表が先行した印刷・情報用紙では、価格改定期限の1月21日が目前に迫っており、交渉の行方に注目が集まっています。
【その他の市況/状況】
1.パルプ価格が下落 |
12月18日付の日本経済新聞紙上にて、北米産パルプの11月積み日本向け輸出価格が下落したと報じられています。指標となる針葉樹さらしクラフトパルプの価格が10月積み比8%下落、3か月連続での下落とのこと。中国で印刷需要の低迷や電力不足による工場の稼働停止などを理由にパルプ需要が減少しているためと記事では分析していますが、11月のカナダの水害が物流の混乱を招き、今後パルプの供給は減るとの見方も伝えられており、需給が引き締まって価格が底入れする可能性について記事では言及しています。
2.11月末の古紙在庫が微増 |
12月22日付の日本経済新聞紙上にて、11月末の微増したと報じられています。関東製紙原料直納商工組合に所属する32社分の11月末在庫が前年同月末比で0.7%増、前月末比では6.1%増となったとのこと。段ボール古紙の前年同月末比は4.6%増とのことで、年末の需要期に向け段ボール古紙の在庫を積み増しているとするある問屋の声が紹介されています。
【印刷・製品関連】
1.ミニストップ全店で電子レシート導入 |
ミニストップは12月17日、東芝テックが運営する電子レシートシステム「スマートレシート」をミニストップ全店で導入すると発表しました。同社のプレスリリースなどによると、
スマートレシート | 東芝テックが開発・運営する、電子レシートシステム。通常は紙で発行される購入明細レシートを電子化し、電子レシートセンターでデータとして管理、提供するシステム。 |
ミニストップの 導入 |
12月20日10時にミニストップ全1,944店(2021年11月末現在)で導入・運用開始。ミニストップアプリを利用中、或いはインストールした顧客は、ミニストップアプリと「スマートレシート」を連携させ、店頭での支払い時にバーコードを提示した後支払うことで、レシートを紙ではなくスマホ上で確認できるようになる。 |
消費者のメリット | ・紙のレシートを保管・廃棄する必要がなくなる。 ・13か月分のレシートがスマホ上で確認できる。 ・レシートのデータを基に、内容が自動的に9種類の費目に分類され家計簿をつけるのが楽になる。 |
店舗側のメリット | 購買データを分析し、クーポンやキャンペーンなどの販促に利用することが可能。 |
同社はまた、レシートの受け渡しがなくなることで新型コロナウイルスの感染リスクを軽減することにもつながると、導入による顧客のメリットを訴えています。
※文中敬称略
※文章は2021年12月24日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。