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華陽ニュース

紙の市況(2022.3)詳細 3月20日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.印刷用紙価格上昇の報道

 3月15日付の日本経済新聞紙上にて、印刷用紙の卸価格が上昇したと報じられています。記事によると、

内容 A3(巻)の代理店卸価格が2021年12月比15%上昇。値上がりは2019年以来で、1997年9月以降で最高値。需要家の印刷会社が値上げを受け入れたと報道。
背景 ・原燃料価格や物流費の高騰、温暖化ガス排出削減費などを理由として製紙各社が値上げを発表。ロシアのウクライナ侵攻で原油や石炭価格がさらに上昇。
・コロナ禍による物流の停滞、海上運賃の高値、UPMキュンメネのストライキなどの要因で印刷用紙の輸入が減少。印刷会社が安定調達を優先した側面も。

 2019年の値上げとコロナ禍によるテレワークの推進などでデジタル化が進んだ印刷用紙ですが、今回の値上げがチラシやパンフレットなど商業印刷分野でのペーパーレス化をさらに加速させるとの見方が多く、製紙各社はさらなる設備の縮小を進めていると記事では伝えています。


2.三菱製紙「バリコート」 ロッテで採用

 三菱製紙は3月10日、同社の包装用コート紙「barricote(バリコート)」がロッテの新ブランドのチョコレートの包装材として採用されたと発表しました。

バリコート 三菱製紙の欧州グループ会社が生産する食品包装用コート紙(FSC森林認証紙)。紙素材でありながら食品包装に求められる高度なバリア性を有し、紙素材であるからこそリサイクル可能、生分解性を有する包材として環境意識の高い欧州で採用されていたが、2019年9月より日本を含むアジア地域でも販売が開始された。
※「barricote」「バリコート」は三菱製紙の登録商標です。
「DO Cacao
 Project」
持続可能な社会を目指し、人々のウェルビーイングのためにカカオの可能性を最大限広げる取り組みを行う、ロッテのプロジェクト。
「DO Cacao
 chocolate」
「DO Cacao Project」から生まれたチョコレート。ロッテがカカオの生産から取り組み、香りやデザインにもこだわった商品であると同時に、バリューチェーン全体の持続可能性を追求して環境に最大限配慮したパッケージにするため、内外装全てを「紙」で構成している。
バリコートは豊かな香りを保持する包材として、外装袋に採用された。

 3月10日付の日本経済新聞の記事によれば、三菱製紙はバリア性を従来の約3~5倍に高めた紙製包材を2025年の発売に向け開発中とのことで、プラスチック使用削減につながる紙製の食品包装材の採用拡大に製紙各社が注力していると記事では指摘しています。


【板紙 国内の紙の市況/状況】

1.日本製紙 School POPの採用エリアが4月より拡大

 日本製紙は3月10日、同社が開発・販売する、使い捨てストローをなくした学校牛乳容器「School POP」の採用エリアが4月より飛躍的に拡大すると発表しました。

従来採用エリア:高知県、北九州市、鹿児島県、宮崎県、兵庫県淡路島、茨城県の一部

4月より新たに採用するエリア:茨城県、栃木県、埼玉県、千葉県、東京都、岐阜県、徳島県、佐賀県の一部市区町村

 同社によれば、従来採用地域と新採用地域を合わせて年間100トンの使い捨てプラチックを削減できる計算になるとのことで、今後もSchool POPのさらなる採用エリアの拡大に向け取り組みを加速していくとしています。

※「School POP」は日本製紙の登録商標です。


【その他の市況/状況】

1.パルプ2月積み日本向け価格が上昇

 3月9日付の日本経済新聞紙上にて、北米産パルプの日本向け輸出価格が一段高となったと報じられています。指標となる針葉樹さらしクラフトパルプの2月積み価格が前月積み比7%上昇し、2021年夏以来の高値水準となったとのこと。

・カナダで昨年11月の豪雨・洪水や年末の寒波の影響で物流が停滞
・UPMキュンメネのストライキの影響で欧州からの外販パルプの供給が減少

などが影響しているとのことで、ロシアのウクライナ侵攻でロシア産パルプの出荷状況が懸念されることも、ロシア産を4%程度しか輸入していない日本にも影響を与える可能性があると記事では指摘されています。


2.2月家庭紙店頭価格は横ばい

 3月11日付の日本経済新聞紙上にて、2月の家庭紙の店頭価格が横ばいとなったと報じられています。東京紙商家庭紙同業会の調べによるもので、トイレットペーパー(再生・パルプ製)、ティッシュペーパーともに横ばいだったと記事では伝えられています。


3.日本製紙が丸紅に植林事業で技術指導

 日本製紙は3月15日、丸紅が100%出資するインドネシアの植林事業会社に日本製紙が技術指導することで、森林蓄積量の向上を目指す戦略的パートナーシップ契約を両社が締結したと発表しました。日本製紙の技術者を丸紅の植林子会社が受け入れて技術指導を受けることで単位面積当たりの森林蓄積量の向上を図り、日本製紙は生産性向上による木材増加分の一部を購買することで東南アジアにおける持続可能な森林資源の調達先拡大を目指すとしています。

・世界的な建材需要の高まりで木材価格が高騰
・ロシアのウクライナ侵攻でロシアやベラルーシからの欧州向け木材輸出が停止、木材の供給が停滞する懸念
・森林蓄積量の拡大により二酸化炭素の吸収量が増加

との背景から、両社は、世界中で森林の重要性が再認識されるなか、契約に基づき、丸紅植林子会社の森林蓄積量の向上を目指すと、日本製紙は公式サイトの発表文で表明しています。


4.三菱自動車パジェロ工場 大王製紙が取得との報道

 3月16日付の日本経済新聞紙上にて、岐阜県坂祝町にある三菱自動車のパジェロ製造工場と土地を大王製紙が取得すると報じられています。同工場は既に昨年8月末に生産を終了しており、大王製紙は取得した建物で衛生用紙を生産する見通しだと記事では伝えています。
 この記事に対し、同日、大王製紙はコメントを発表し、同不動産の取得は検討を進めている段階で、現時点で決定されたものではないとしていましたが、3月18日、同地の土地建物を取得する売買契約を締結し、取得及び決済予定日は2023年1月予定であることを発表しました。


【印刷・製品関連】

1.ロシア・ベラルーシの木材の森林認証が停止

 3月10日付の日本経済新聞紙上にて、ロシアとベラルーシの木材が森林認証を一時停止されると報じられています。国際的な森林認証機関であるPEFC・FSCは、

PEFC 3月上旬、ロシア・ベラルーシ両国原産の木材を「紛争木材」であるとし、PEFC森林認証製品には使用できないと表明
FSC ロシアとベラルーシで取引を行う木材の認証を4月8日までに一時停止すると表明

 木材需要が高まるなか、認証を取得している代替材を調達するのは難しいとの商社の声も伝えられており、建材のほか家具や燃料、紙類に与える影響にも注目が集まっています。


※文中敬称略
※文章は2022年3月17日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。