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華陽ニュース
紙の市況(2022.3)詳細 3月31日更新分
【洋紙 国内の紙の市況/状況】
1.4~6月産業天気図 「紙・パルプ」雨続く |
3月28日付の日本経済新聞紙上にて、同社が主要30業種の2022年4~6月期の業況を天気図としてまとめた、4~6月産業景気予測が掲載されました。
紙・パルプ | 「雨」予測。リモートワークの定着やデジタル化で印刷・情報用紙は需要減。円安で海外からの原料調達もコスト増。堅調な段ボール向けも燃料高が圧迫。家庭紙に値上げ前駆け込み需要の反動減の可能性。 |
広告 | 「晴れ」予測。SNS上の広告が好調維持。テレビ番組のネット同時配信が始まることで、テレビCMの広告費も増えそう。 |
全体 | ロシアによるウクライナ侵攻の影響で原油やニッケルなどの原材料価格が高騰し、製造業が悪化する恐れ。一方、新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」が解除されたことで旅行・ホテルや外食は改善する見通し。 |
原燃料高が収益圧迫や需要減に働くのに加え、依然、新型コロナウイルスの収束は不透明で、「日経産業天気インデックス(日経DI)」は全産業のDIが2年ぶりに前期から悪化する見通しだと、記事では伝えています。
2.大王製紙 CNF複合樹脂パイロットプラントが稼働 |
大王製紙は3月29日、同社のセルロースナノファイバー(CNF)複合樹脂製造のパイロットプラントが稼働を開始したと発表しました。公式サイトの発表によると、
内容 | CNF複合樹脂の製造技術確立を目的としたパイロットプラントが稼働開始。 ・CNF複合樹脂の一貫製造プロセス確立に向けた実証 ・サンプル供給量の増大 ・CNF事業の拡大 を図る。 |
生産能力 | 最大生産時で年産約100トン |
稼働時期 | 2022年3月 |
設置場所 | 同社三島工場 |
同社CNFの強み | ・三島工場の持つ多種多様なパルプが活用できる。 ・ユーザーのニーズに応じた様々な形態・繊維サイズのCNFを供給できる。 |
同社は今後パイロットプラントを最大限に活用し、製造技術や用途開発を加速させ、幅広い用途展開を進めていくとともに、植物由来、高強度・高弾性率、リサイクル性というCNFの優位性を活かし、プラスチック使用量の削減や車両の軽量化などによって温暖化ガス削減に貢献、CNF事業の拡大を図るとしています。
【洋紙 国外の紙の市況/状況】
1.王子HD ドイツ子会社が感熱紙生産設備増強 |
王子ホールディングスは3月24日、同社グループ会社の王子イメージングメディア株式会社が、欧州にて感熱紙・インクジェット用紙の生産・販売を行っているKANZAN Spezialpapiere GmbH(ドイツ、KANZAN社)において感熱紙生産設備の増強を行うことを決定したと発表しました。
設置場所 | ドイツ KANZAN社 |
生産品種 | 感熱紙 |
完成予定 | 2024年1月予定 |
eコマースの進展や食品用途の底堅い需要を背景に、ラベル等に使用される感熱紙は引き続き需要拡大が見込まれると、同社は設備増強の背景を説明しています。
【その他の市況/状況】
1.C重油 7四半期連続値上がり |
3月26日付の日本経済新聞紙上にて、ENEOSが大口需要家と進めていた1~3月期の産業用C重油の値上げ交渉が決着したと報じられています。製紙会社などでボイラー用燃料として使われる高硫黄C重油は前期比9%高となったとのこと。
値上げは7四半期連続、7年半ぶりの高値となったとのことで、原油価格の上昇や円安基調が影響していると、記事では伝えられています。
2.王子ネピア 植物由来素材80%使用のマスクを発売 |
王子ホールディングスと王子ネピアは3月24日、マスクの不織布に植物由来素材を80%使用したマスクを公式オンラインショップで発売すると発表しました。
商品名 | ネピア ネピecoバイオマスマスク 30枚入り |
発売場所 | 公式オンラインショップ「nepia銀座店」 |
発売開始日 | 2022年3月25日 |
マスクの不織布にサトウキビやトウモロコシなどの植物由来の素材を使用しており、マスク使用後に焼却して出る二酸化炭素は原料植物の光合成によって吸収・固定されると、同社は商品の特長を説明しています。
【印刷・製品関連】
1.富士フイルム 「タマムシイロ」インクジェット技術開発 |
富士フイルムは3月23日、「構造色インクジェット技術」を新開発したと発表しました。同社の公式サイトや3月24日付の日本経済新聞の記事によると、
構造色 | 色素ではなく、微細構造が光を反射することで色が生じる現象。自然界ではタマムシ、モルフォ蝶、貝殻などが知られている。 |
今回の開発 | 染料や顔料を含まない無色インクを用い、基材定着時にインク膜内に微細構造を形成する技術によって構造色を発現させる技術を開発。同社の分子制御技術を応用。色味の異なる楮黄色を発現するインクを複数種用意しており、組み合わせや濃度の調整などで構造色のパターンやグラデーションなどを自在に描画するなど、高い意匠性を実現。 |
シチズン時計が今年7月に発売予定の新商品の文字板などで採用が決まっているとのことで、同社は今後も産業用インクジェットにおける多様な用途に応じた新たなビジネスの創出を進めていくとしています。
※文中敬称略
※文章は2022年3月30日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。