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華陽ニュース

紙の市況(2022.4)詳細 4月30日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.フォーム・ノーカーボン・感熱紙 価格上昇の報道

 4月26日付の日本経済新聞紙上にて、フォーム用紙・ノーカーボン紙・感熱紙の価格が上昇したと報じられています。記事によると

フォーム用紙 情報用紙の出荷量の2割程度。大量のデータを印字し、はがきや封書に加工して発送するなどの用途に使われる。
・ワクチン接種案内や接種後のイベント料金割引など、コロナ関連の封書需要
・通販会社などのDM需要が堅調
・夏の参院選など、スポット需要が発生する見込み
等で需要見通しが上向き、印刷会社が在庫確保のため値上げを受け入れ
ノーカーボン紙 情報用紙の出荷量の1割程度。伝票削減の動きなどで需要は減少。
染料などノーカーボン紙特有の材料の大幅な値上がりから、事業継続のため値上げを実施。
感熱紙 15%程度価格が上昇。レシートと一緒に割引券や広告を出力する店舗が増え、需要は増加傾向。

 コロナ禍のマイナス影響をあまり受けていないフォーム用紙や感熱紙に比べ、伝票レスや単票化などからノーカーボン紙は需要減少が続いており、今回の値上げが消費離れを加速させる可能性もあると記事では指摘しています。


2.日本製紙 リグニン製品の値上げを発表

 日本製紙は4月25日、リグニン製品の価格修正を発表しました。

対象品種 サンエキス等、リグニン製品
値上げ幅 現行価格より20%以上
石炭・チップ等、原燃料費の上昇分を反映させるサーチャージ方式として
時期 2022年6月1日出荷分より

 リグニンは木材繊維の接着剤の役割を担う成分で、パルプの製造過程で分離され、添加剤や燃料として利用されていますが、同社は石炭など原燃料価格の高騰を背景に値上げに理解を求めています。


3.大王紙パルプ販売とエリエールビジネスサポートが合併

 大王製紙は4月21日、同社流通関連子会社の大王紙パルプ販売株式会社とエリエールビジネスサポート株式会社の合併を決定したと発表しました。公式サイトの発表によると、

日程 同日、同社と子会社の取締役会で合併を決議。6月24日の子会社株主総会決議を経て、2022年10月1日付けで合併の予定。
方式 大王紙パルプ販売を存続会社、エリエールビジネスサポートを消滅会社とする吸収合併方式。合併に伴い、大王紙パルプ販売は株式会社EBS(仮称)に商号変更予定。

 紙・板紙や加工品等紙関連商品全般の仕入販売・輸出入を行う大王紙パルプ販売と業務用家庭紙商品の仕入販売を担うエリエールビジネスサポートの合併で、販売体制強化による売上利益増、組織の見直し、固定費削減等を進めていくと、同社は合併の目的を説明しています。


【板紙 国内の紙の市況/状況】

1.王子HD 植物由来のラミネート紙

 王子ホールディングスは4月19日、グループ会社の王子パッケージングとともに、植物由来原料のポリ乳酸を使用した、ポリ乳酸ラミネート紙の開発に成功したと発表しました。公式サイトの発表によると、

ラミネート紙 紙基材にプラスチックを溶融押出して積層した複合材。プラスチック層があるため、ヒートシール性、耐水耐油性を有し、紙コップや牛乳パックなどに加工される。
牛乳パックなどリサイクルシステムが構築されたものの廃棄時、紙部分はリサイクルされ、プラスチック部分は燃料などとして使用されるが、燃焼時に二酸化炭素が排出される。
今回の開発 ラミネート紙のプラスチック部分を、石油由来ではなく、植物由来のポリ乳酸に置き換えることに成功。
植物由来であるため、燃焼時の二酸化炭素排出は相殺され、コンポスト条件下で生分解するなど、環境負荷が低い。

 石油由来プラスチックの削減に貢献しながら、従来品と同程度のヒートシール性や耐水耐油性を有していると、同社は今回の開発品を紹介しており、今後も環境配慮型製品の開発を進め、持続可能な社会の構築に貢献していくと表明しています。


【その他の市況/状況】

1.DIC 印刷用インキ値上げ

 DICは4月15日、子会社のDICグラフィックスが製造販売する印刷用インキの価格修正を発表しました。

対象製品と
値上げ幅
商業オフ輪インキ 40円/kg以上
油性枚葉インキ 60円/kg以上
UVインキ 100円/kg以上
新聞インキ 60円/kg以上
改定時期 2022年6月1日出荷分より

 同社は昨年10月にも上記4製品の値上げを実施していますが、その後も原料や物流コストは上昇を続けているとして、事業継続と安定供給のため、値上げに理解を求めています。


【印刷・製品関連】

1.日販 「文喫」事業を新会社へ

 日本出版販売は4月20日、「文喫」事業などを切り出して新会社を設立し、プラットフォーム創造事業の推進を図ると発表しました。公式サイトの発表や、同日の日本経済新聞の記事によると、

新会社 同日、100%子会社の「株式会社ひらく」を設立。文喫事業、プロデュース事業、公共プレイス企画事業を日本出版販売より順次引き継ぐ。
文喫 日本初の「入場料のある本屋」。入場料を払えば店内の書籍を自由に閲覧でき、購入もできる。定期的に企画展も実施。
書店の事業環境が厳しいなか、文喫事業は健闘。六本木店の座席(90席)稼働率は8割程度で、入場待ちが出る日も。
読書好きとともに、テレワーク需要も取り込み。

 現在は2店舗(六本木店、福岡天神店)の文喫事業を2027年までに全国主要都市で7店舗体制にする計画とのことで、様々な事業の展開で、人それぞれの「豊かさ」を感じてもらうための場と時間の創造の実現にチャレンジしていくと、「株式会社ひらく」の染谷代表はコメントしています。


※文中敬称略
※文章は2022年4月26日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。