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華陽ニュース
紙の市況(2022.6)詳細 6月30日更新分
【紙に関する市況/状況】
1.大王・中パも値上げを発表 |
6月20日に大王製紙、6月27日に中越パルプ工業が印刷・情報用紙の価格改定を発表しました。5月26日の王子製紙以降の価格改定発表をまとめると、
メーカー | 対象品種 | 改定幅 | 実施時期 |
王子製紙 | 印刷用紙全般 情報用紙全般 |
現行価格+15%以上 | 2022年7月1日出荷分より |
三菱製紙 | 印刷用紙全般 情報用紙全般 白板紙全般 |
2022年7月21日出荷分より | |
日本製紙 | 印刷用紙全般 情報用紙全般 |
2022年8月1日出荷分より | |
丸住製紙 | |||
北越コーポレーション | |||
中越パルプ工業 | |||
大王製紙 | 2022年8月22日出荷分より |
王子製紙を除く6社は年頭から春先にかけての価格改定に加えての更なる価格改定となりますが、今年2月のウクライナ危機に端を発する原燃料価格の更なる急騰と物流費の上昇、また、急激な円安進行が製造コストに与えた影響を価格改定理由として挙げています。
白板紙を価格改定対象にしているのは6月28日現在、三菱製紙のみですが、パッケージ用紙や他の品種も印刷・情報用紙と同様のコスト上昇要因を抱えており、今後再値上げが波及するかにも注意が必要です。
2.7~9月産業天気図 「紙・パルプ」原燃料高が収益圧迫 |
6月27日付の日本経済新聞紙上にて、同社が主要30業種の2022年7~9月期の業況を天気図としてまとめた、7~9月産業景気予測が掲載されました。
紙・パルプ | 「雨」予測。燃料高にパルプ価格上昇、石炭価格のさらなる上昇が収益を圧迫し、価格改定もコスト増分を全額吸収しきれていないと分析。印刷・情報用紙は低迷続き、段ボールは好調。 |
広告 | 「晴れ」予測。SNS向け・動画配信サイト向けのインターネット広告が市場を牽引。「コネクテッドTV」向けの広告市場の成長に期待感。イベント向け広告需要も回復の見込み。 |
全体 | 世界的な新型コロナウイルスの感染一服や中国のロックダウンの解除などの影響で、自動車などの生産や需要回復を見込んで「化学・繊維」や「電子部品・半導体」、「家電」、「旅行・ホテル」など7業種が改善する予測。「プラント・造船」は円安が収益改善に働く。 |
ウクライナ危機や円安などによる急激な原燃料高が重荷となる展開は変わらず、価格転嫁も業界により明暗が分かれる状態となっていますが、新型コロナウイルスの感染一服で需要増加への期待が高まっており、自動車の生産がどこまで回復するかも関連業種の景況感を左右する焦点となりそうだと記事では伝えています。
【その他の市況/状況】
1.家庭紙店頭価格が東京地区で上昇 |
6月18日付の日本経済新聞紙上にて、再生紙トイレットペーパーやティッシュペーパーの5月の店頭価格が上昇したと報じられています。東京紙商家庭紙同業会の調べによるもので、再生紙製のトイレットペーパーは下値が前月比20円、大手メーカー製のティッシュペーパーは下値が前月比30円上昇、パルプ製のトイレットペーパーも4月に下値が30円上昇し、5月は横ばいとなったとのこと。製紙各社の値上げ発表を受け小売店の安値販売が減少したことが要因として挙げられており、パルプ製トイレットペーパーでは長尺・コンパクト化した商品が、ティッシュペーパーでは外箱がない「ソフトパック」商品が消費者に受け入れられ需要が伸びているとも記事では伝えています。
2.古紙在庫が減少 |
6月25日付の日本経済新聞紙上にて、5月末の古紙在庫が前年比で減少したと報じられています。関東製紙原料直納商工組合の発表によるもので、段ボール古紙・新聞古紙・雑誌古紙3品合計の5月末在庫が前年同月末比22.7%減となったとのこと。デジタル化や新聞・雑誌購読数の減少で古紙の発生が減っていることを、在庫減の要因として記事では挙げています。
3.トクヤマが液体カセイソーダを値上げ |
株式会社トクヤマは6月20日、液体カセイソーダの価格改定を発表しました。固形換算1キログラム当たり30円以上を2022年8月1日出荷分から引き上げるとのことで、原燃料価格の想定以上の高騰を値上げ理由として挙げています。同社は昨年11月1日出荷分より液体カセイソーダの価格を、今年1月1日出荷分より固体カセイソーダの価格をそれぞれ引き上げており、採算が大幅に悪化する見通しとして再値上げに理解を求めています。
【印刷・製品関連】
1.愛知工業大学が小型製紙装置を導入 |
6月23日の日本経済新聞紙上にて、愛知工業大学が豊田市のキャンパスに小型製紙装置を導入したと報じられています。同記事や、愛知工業大学の公式サイトのニュースリリースによると、
内容 | 使用済みコピー用紙からトナーなどを除去し紙として再生できる装置を、今年5月、学生ホールに設置。同大によれば、当該装置を教育機関で導入するのは初とのこと。装置の取り扱いは職員が行うが、教職員や学生に見える形で稼働させることで、ペーパーレス化やSDGsに対する意識を高めることも狙いの一つとされている。 |
設置装置 | デュプロ社が製造・販売する小型製紙装置「RECOTiO EV‐i250」。使用済み用紙を溶かして繊維にまで分解しトナーを除去、再抄紙、乾燥、断裁を自動で行う。 ・水だけで古紙を再生。 ・1時間にA4普通紙250枚が再生可能。 ・リサイクル時に出るごみは15%程度。 ・自施設内で再生するため、運搬時などの二酸化炭素を削減できる。 ・投入された古紙を繊維にまで溶解するため、情報セキュリティ対策にも貢献。 等の特長が、デュプロ社の製品説明では挙げられている。 |
愛知工業大学は2020年3月に、豊田市と連携してSDGsに関する取り組みを行う「とよたSDGsパートナー」に登録しており、本年度より会議にタブレット端末を活用して配布資料を削減したり、SDGsに向けた研究や学生プロジェクトをサイトで紹介したりと、SDGsに関する大学をあげた取り組みを実施・発信しています。
※文中敬称略
※文章は2022年6月28日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。