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華陽ニュース

紙の市況(2022.9)詳細 9月20日更新分

【紙に関する市況/状況】

1.印刷用紙卸値、最高値の報道

 9月9日付の日本経済新聞紙上にて、印刷用紙の9月時点の卸値が、データを遡れる1997年9月以降で最高値水準となったと報じられています。製紙各社が5、6月に発表した値上げ、あるいは追加値上げがほぼ満額浸透したとのこと。

・円安や海上運賃の高騰で、国産に比べて安価だった輸入紙の流入が減少。
・ロシアのウクライナ侵攻をきっかけとした原燃料高騰で、製紙各社の第1四半期決算が大幅経常減益。

等が背景にあり、短い間隔での値上げに抵抗を示した需要家も、安定調達を考え値上げを受け入れざるを得なかったと記事では説明しています。
 現状の石炭や円安の水準を考えるとさらに値上げする可能性もあり得ると指摘する紙商社の声が紹介されている一方、さらに値上げすればデジタル化がより進み洋紙需要はさらに減るとする印刷会社の指摘も報じられており、印刷用紙には厳しい状況が続いています。


2.日本製紙 壁紙原紙を値上げ

 日本製紙は9月13日、壁紙原紙の2022年2回目の値上げを発表しました。

対象品目 壁紙原紙
改定幅 現行価格+15%以上
実施時期 2022年11月1日出荷分より

 9月6日に発表された中越パルプ工業の壁紙原紙の追加値上げと同様、日本製紙も原燃料価格の高騰や円安などを要因として再度の価格改定に理解を求めています。


【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.製紙各社が東京パックに出展

 2022東京国際包装展(東京パック)が10月に開催を予定されています。

日時 2022年10月12~14日 10:00~17:00
場所 東京ビッグサイト 東1~3・東6ホール
テーマ 新時代パッケージ ここに集う! ‐未来のために機能進化と使命‐

 9月15日現在で、王子ホールディングスとレンゴーが自社サイトで出展を告知しています。

王子HD 「サステナブル」「イノベーション」を中心に、プラスチック使用量削減などに貢献する紙製品や、商品に合わせたぴったりサイズの梱包を可能にする包装システムなどを紹介。
レンゴー 「暮らしを支え、未来をつくる サステナブル パッケージング」をテーマに、非接触の観点から注目される「ポストインケース」の製函機・封函機や抗ウイルス、プラスチック代替などの環境対応製品等を紹介。

 東京パックの公式サイトによれば、日本製紙や三菱製紙、特種東海製紙なども出展を予定しているとされています。


2.レンゴー 通販向け封筒・包装システムを開発

 レンゴーは9月12日、通販向けの封筒と自動包装システムを開発したと発表しました。公式サイトの発表によると、

名称 「レンクッションパック」
内容 「レンクッションパック」は、段ボール製緩衝封筒と自動包装システムの総称。
・商品形状にフィットする柔軟保護性が高く、オール紙製の封筒型包装
・資材の使用量を最適化する自動包装
を実現。

 「レンクッションパック」はその他にも、通販の課題を解決する複数の特長を兼ね備えていると、同社は説明しています。


3.王子HD 日本パッケージングコンテスト入賞作品を紹介

 王子ホールディングスは9月12日、同社グループが関わった作品が「2022日本パッケージングコンテスト」において、最高賞である経済産業大臣賞を含む各賞を受賞したと発表しました。公式サイトの発表によると、

『海外向けシート輸送固定材のオールダンボール化改善』 海外向けシートの発送用に、段ボールを使用して軽量化、収容効率改善、作業性向上、コストダウンを実現するシステムを、スズキと王子コンテナーが開発。ジャパンスター賞/経済産業大臣賞を受賞。
『1本飲めば、環境保全活動の第1歩!SDGsに沿ったカラフルスムージーパッケージ』 株式会社ふくれんなどと共同で「ふくれんX海と日本プロジェクト CHANGE FOR THE BLUE」のコラボ商品として開発・販促活動。トレイ、什器にはデジタル印刷ダンボールを採用。紙パックを無償回収したり、QRコードから楽しく「ごみ分別」を伝えるアニメ動画が視聴できるなどの工夫を凝らしている。包装部門賞/飲料包装部門賞。
<『アルビオン プリンプ パウダレスト』/td>

株式会社アルビオンなどと共同開発。詰替用容器をプラスチックからパルプ製容器に変更しプラスチック使用量を削減。別添能書の替わりとして説明文を内側へ記載したスリーブ状にし紙の使用量を削減。機能に加え、製品の特質にふさわしいパッケージの色、質感、デザインなどを実現。包装部門賞/化粧品包装部門賞。
『苺2パック用6角手提箱』 JA水戸と森紙業グループの共同開発。6角形状の手提箱で、持ち帰りに便利、輸送時に中身が安定する、他産地にはなく産地のブランド化につながる、といった特長を実現した。包装部門賞/
POP・店頭販売包装部門賞。
『新開発フラップの反発を抑えるアーチ状罫線』 株式会社ADEKAと王子コンテナーの共同開発。フラップの内外に罫線を追加することで、強度のある材質を使った段ボール箱でも特別な工程を加えることなくフラップの反発を抑え、テープ封緘で隙間ができない外装箱を開発。包装部門賞/輸送包装部門賞。
『F.C.C.31H北米向け八角カートン』 株式会社エフ・シー・シーとムサシ王子コンテナーが共同開発。四輪バギー用の駆動系部品の包装で、深刻な人手不足問題への対応のため、外装箱の八角形化、外装箱の底面と付属仕切りの一体構造化、それに伴う材質や構造等の見直し・工夫などを実施。包材コスト、組立工数の削減を実現した。包装部門賞/
工業包装部門賞。
『【脱スチール】CO₂削減を実現したサステナブルな段ボール梱包』 王子インターパックが開発。荷詰めの際の安全面を最優先に改善を行い、自動車シート用原反ロールの包装をスチールラックから段ボール製に変更することで、コンテナ積載効率の改善、ケース組立工数、コスト、CO₂排出量の削減を実現。包装部門賞/大型・重量物包装部門賞。

 入賞作品は東京パック2022の特別ブース『2022グッドパッケージング展』に展示されると、同社は紹介しています。


4.朋和産業 ISCC PLUS認証を取得

 レンゴーは9月12日、同社グループでおにぎりやサンドイッチ、加工食品やお菓子などのフィルム包装を開発、製造、販売する朋和産業株式会社が、ISCC PLUS認証を4工場(習志野、干潟、京都、福岡)で取得したと発表しました。
 ISCC PLUS認証は持続可能な製品の国際的認証のひとつで、この認証を取得したことにより、同社はよりバイオマス度の高い製品を供給することが可能になるとしています。
 同社はこれからも環境配慮型製品群を拡大し、SDGsの実現による社会への貢献を果たしていくと表明しています。


【その他の市況/状況】

1.ティッシュの下値が上昇

 9月15日付の日本経済新聞紙上にて、8月のティッシュペーパーとトイレットペーパーの店頭価格の下値が前月比で上昇したと報じられています。東京紙商家庭紙同業会の調べによるもので、トイレットペーパーの下値上昇は2か月連続、大手メーカー製のティッシュペーパーの下値上昇は2018年12月以来とのこと。ティッシュペーパーで大手メーカー製の値上げが浸透し、価格の安いその他の製品でも価格の底上げがみられているとのことで、値上げで集客目的の安売りが減ったことも要因との見方が記事では伝えられています。


【印刷・製品関連】

1.日本紙通商 紙製アウトドア商品を開発・販売

 日本製紙グループの日本紙通商は9月7日、紙製のアウトドア商品を開発したと発表しました。9月9日には同商品の販売開始も発表しています。公式サイトの発表によると、

商品名 『これぞエコ!”ほぼ”紙のクーラーボックス』及び『超軽量で超コンパクト!紙の折りたたみテーブル』
クーラーボックス 日本東海インダストリアルペーパーサプライの「防水ライナ」と、耐水性を付与したバイオマス度50%以上の環境配慮型断熱材を使用で、発泡スチロール並みの保冷性能を持つほぼ紙製のクーラーボックス。
テーブル 日本東海インダストリアルペーパーサプライの「耐撥水ライナ」を使用した、耐水・超軽量・コンパクトな折りたたみテーブル。
販売 応援購入サイト「Makuake」に9月9日~10月16日の期間で掲載し販売を開始。

 同社は日本製紙グループの商事会社として新たな紙の可能性を広げ、グループ内の特徴ある素材を組み合わせたBtoC向け商品の開発と提供を行う一環として今回のアウトドア・防災時向けクーラーボックス・テーブルの商品化に至ったと、経緯について説明しています。


※文中敬称略
※文章は2022年9月16日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。