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紙の市況(2022.9)詳細 9月30日更新分

【紙に関する市況/状況】

1.王子製紙 今年2度目の印刷・情報用紙値上げ発表

 王子製紙は9月29日、今年に入って2度目となる印刷・情報用紙の値上げを発表しました。

対象品種 印刷用紙全般(中下級紙、上質紙、塗工紙、微塗工紙 他)
情報用紙全般(PPC用紙、フォーム用紙 他)
値上げ幅 印刷用紙・情報用紙とも 現行価格+15%以上
実施時期 2022年12月1日出荷分より

 原燃料価格や物流費の高騰、大幅な円安進行が続いており、自助努力だけでは再生産に足る収益確保が困難と、同社は再値上げの理由を説明しています。


2.10~12月産業天気図 「紙・パルプ」原燃料高続く予測

 9月26日付の日本経済新聞紙上にて、同社が主要30業種の2022年10~12月期の業況を天気図としてまとめた、10~12月産業景気予測が掲載されました。

紙・パルプ 「雨」予測。燃料高、パルプ価格が値上げで転嫁しきれず収益を圧迫する構造が続く。印刷・情報用紙の低迷、段ボールの堅調予測も変わらず。
広告 「晴れ」予測。インターネット広告を中心に市場は拡大傾向。ショート動画、ライブコマースに注目集まり、インターネットを活用した新しい販売促進に期待感。
全体 幅広い産業で、原燃料高やそれに伴う製品値上げ、値上げによる需要減といった影響が注視されている。新型コロナによる行動制限が緩和されたことなどから、多くの業種で改善が期待されるが、改善幅は小幅との見通し。

 原燃料高や円安などの影響で食品・日用品・電気料金など生活関連の値上げが相次いでおり、生活防衛意識の高まりが景況感にリスクとなると記事では分析しています。


3.コスト転嫁の方式に変化か

 9月23日付の日本経済新聞紙上にて、製品価格に原燃料の相場変動を反映する方式が、これまでとは異なる製品・業界でも導入され始めていると報じられています。

・原燃料の相場変動を反映する「フォーミュラ制」
・原燃料の変動を上乗せする「サーチャージ制」

と呼ばれる方式で、従来は石油製品や航空運賃などで導入されてきたものが、今春以降、アルミ製品や鉄粉などの価格にも導入が広がったとのこと。
 4月に発表された日本製紙の溶解パルプ製品の値上げもこの「原燃料サーチャージ方式」を採用して石炭やチップなどの上昇分を製品価格に上乗せすると発表していますが、原燃料価格が高騰する場合は印刷用紙などについてもサーチャージ制の導入が視野に入るとする日本製紙の声が紹介されており、今後の動向に注目が集まりそうです。


【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.王子紙製品 グンゼが採用

 王子ホールディングスは9月27日、同社の紙製品がグンゼ株式会社の「SABRINA」ストッキングの外袋のパッケージ素材として採用されたと発表しました。王子HDはSDGs時代の環境に優しい包装の実現を目指して様々な新形状や素材を提案しており、減プラやCO₂削減によって地球環境と持続可能な社会理念に配慮する商品開発を続けてきたグンゼにより、パッケージ提案の採用に至ったと説明しています。
 環境に配慮した新パッケージの製品は一部コンビニエンスストアなどで販売中とのことで、王子グループは今後もお客様の取り組みを通じたあらゆる紙製品の提供で持続可能な社会の実現に取り組んでいくと表明しています。
 


【その他の市況/状況】

1.ENEOS C重油を値上げ

 9月28日付の日本経済新聞紙上にて、ENEOSが7~9月期のC重油の値上げを決めたと報じられています。ボイラー燃料に使用する高硫黄C重油は4~6月期比4%引き上げで大手需要家と交渉したとのことで、高硫黄C重油の引き上げは9四半期連続となるとのこと。重油の海外市況は下がっていますが円安が進行しており、その為替状況が価格に反映されたと記事では伝えられています。


【印刷・製品関連】

1.日本・大王 二酸化炭素削減の取り組みのひとつを発表

 製紙各社は持続可能な社会の実現に向け温暖化ガス排出削減に取り組んでいますが、日本製紙が9月20日、大王製紙が9月27日に、その取り組みのひとつについて発表しました。両社の公式サイトの発表によると、

日本製紙 桑崎社有林の継続的な干ばつによる二酸化炭素吸収量を対象に、9月16日、J‐クレジット認証を取得。森林管理プロジェクトでJ‐クレジット認証を申請する際には林地の生産力を特定することが必要だが、2021年8月31日の制度改正でこれを実踏調査ではなく航空機やドローンからレーザーや写真で調査することが可能になり、この航空レーザーを活用した認証取得で国内初となった。
二酸化炭素吸収量は年間850トン、8年間で6,800トンの見通し。
大王製紙 東邦ガス協力のもと、大王製紙可児工場の薬品回収設備「石灰焼成キルン」の燃料を「重油+バイオマスガス」から「都市ガス+バイオマスガス」の混焼への転換を実現。この実現により年間約11,000トンの二酸化炭素を削減できる見通し。11,000トンは可児工場の年間二酸化炭素排出量の9%に相当。

 製紙大手は燃料転換やバイオマスボイラの新設、再生可能エネルギーの導入など、さまざまな環境対策の検討・導入を進めており、カーボンニュートラルに向け目標を設け、対策を進めていることを表明しています。


※文中敬称略
※文章は2022年9月28日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。