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紙の市況(2022.10)詳細 10月31日更新分

【紙に関する市況/状況】

1.大王製紙も追加値上げを発表

 大王製紙は10月24日、印刷・情報用紙の追加値上げを発表しました。今冬の値上げについて、大手製紙メーカーとしては、9月29日の王子製紙、10月6日の三菱製紙に続き、3社目の発表となります。

対象製品 印刷用紙、情報用紙全般
改定幅 現行価格+15%以上
実施時期 2023年1月23日出荷分より

 10月21日付の日本経済新聞の記事によれば、前回の印刷・情報用紙の値上げにより、チラシの配布減少やデジタル化の動きが進展するなどの影響が出ているとの声もあり、今後の需要の動きにも注目が集まりそうです。


2.王子HD 「グループ事業開発本部」を新設

 王子ホールディングスは10月21日、連結子会社の王子マネジメントオフィス株式会社に「グループ事業開発本部」を新設することを決定したと発表しました。公式サイトの発表によると、

目的 サステナブルな社会構築に貢献する事業を開発し、将来の収益の柱に育てる。
新組織の構成 新設される「グループ事業開発本部」が、環境対応事業である液体紙容器事業の開発を推進する「液体紙容器事業部」、国内社有林の有効活用や社有林の資源を生かした新規事業の開発を推進する「王子の森活性化推進部」を包括的に管理・推進するほか、直下に「新事業開発チーム」を置き、脱プラスチック関連事業等、グループの新規事業の開発推進を行う。

 王子グループは同社の存在意義に基づき、森林の健全な育成、および森林資源を活用した新規事業・新製品の開発を推進していると表明しています。


【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.段ボール原紙、2回目値上げ浸透の報道

 10月19日付の日本経済新聞紙上にて、2022年内で2回目となる段ボール原紙の値上げが浸透し、取引価格が再上昇していると報じられています。

・今春の値上げにはロシアのウクライナ侵攻に端を発する原燃料価格の高騰分が含まれていない
・段ボール原紙の需要が堅調
・脱プラスチックの流れもあり、段ボールの代替品がない
・海外品は国産品より高く、迅速な対応も難しいことから、段ボール原紙の輸入割合は比較的低い

といった背景により、需要家が安定供給を優先して再値上げを受け入れたと記事は伝えています。
 今後、原紙の再値上げ分が、シートや箱といった製品に再度転嫁されるかはまだ不透明とされていますが、段ボールはあらゆる産業のパッケージとして利用されており、今後の製品価格への影響にも注目が集まりそうです。
 


2.レンゴー 尼崎工場のバイオマス焼却設備竣工を発表

 レンゴーは10月24日、尼崎工場で進めていたバイオマス焼却設備の更新工事が8月7日に竣工したと発表しました。この設備更新で都市ガスの使用量を減らし、二酸化炭素排出量が年間で3,000トン削減される見込みと説明されています。
 今後もゼロエミッションと二酸化炭素排出量削減をテーマとし、環境に配慮した生産活動を継続していくと同社は表明しています。


【その他の市況/状況】

1.発電用石炭の高値続く

 10月22日付の日本経済新聞紙上にて、発電用の石炭の高値が続いていると報じられています。このほど決着した大手需要家とスイス資源大手との10月からの年間契約価格は、4月からの年間契約価格の5%高となっており、21年春の水準と比較すると3.6倍の高水準となっているとのこと。欧米や日本などのロシア産石炭の禁輸や天然ガスの不足、脱炭素の流れによる石炭開発投資の停滞などを背景に需給は逼迫しており、ガスを含む発電用燃料の世界的な逼迫は数年単位で続く可能性があるとする声も記事では伝えられています。


2.ENEOS C重油値下げ

 10月26日付の日本経済新聞紙上にて、ENEOSが10~12月期のC重油の価格の引き下げを表明したと報じられています。ボイラー燃料に使われる高硫黄C重油の価格は7~9月期比9%安で提示されたとのこと。原油高の一服が背景とのことで、10四半期ぶりの引き下げになると記事では伝えられています。


3.古紙在庫 9月末も前年比減

 10月27日付の日本経済新聞紙上にて、9月末の古紙在庫が前年同月末比12.2%の減少となったと報じられています。関東製紙原料直納商工組合に属する32社分の在庫を集計したもので、前年を下回るのは10か月連続となるとのこと。段ボール原紙の内需が堅調なことも要因のひとつとのことですが、今後訪日外国人客需要が回復すれば段ボール原紙、白板紙、ホテルや公共施設の家庭紙などの需要も上向くことが考えられ、資源になる古紙の分別回収に協力してほしいとする古紙問屋の担当者の声も、記事では紹介されています。


【印刷・製品関連】

1.大王製紙のセルロースナノファイバー ワックス材料として採用

 大王製紙は10月25日、同社のセルロースナノファイバー(CNF)乾燥体がスキー・スノーボード用ワックス材料として採用されたと発表しました。公式サイトの発表によると、

今回の採用 大王製紙のCNF乾燥体「ELLEX‐P」が、チームレスキュー合同会社が生産するスキー・スノーボード用ワックス「RESCUE ZERO ver1.3」の材料として採用。「ELLEX‐P」をワックスに配合することにより、チームレスキューが求める環境性能やワックスに必要な性能を満たすと評価。
RESCUE
 ZERO 
ver1.3
・人体や自然環境に無害
・競技者から一般の方まで、ハイレベルで簡単
であるとうたうパウダー状ワックス。
「ELLEX‐P」を配合したversion1.3は2022年10月発売。

 10月21日付の日本経済新聞では、東亞工業が将来的には従来製法の5分の1程度まで販売価格を下げることが可能な、独自製法のセルロースナノファイバーの量産設備を2023年上期に立ち上げる計画であると報じられており、製紙以外の企業でもセルロースナノファイバーの開発が進んでいます。


※文中敬称略
※文章は2022年10月27日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。