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華陽ニュース
紙の市況(2022.11)詳細 11月20日更新分
【紙に関する市況/状況】
1.日本製紙、中越パルプが値上げ発表 |
日本製紙、中越パルプ工業が値上げを発表しました。製紙メーカー8社の今冬の値上げ発表をまとめると、
メーカー | 対象 | 改定幅 | 改定時期 |
王子製紙 | 印刷用紙全般 情報用紙全般 |
現行価格+15%以上 | 2022年12月1日出荷分より |
三菱製紙 | 印刷用紙全般 情報用紙全般 白板紙全般 |
現行価格+15%以上 (輸送調整金制度含めて) |
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特種東海製紙 | 情報用紙全般 (圧着ハガキ用紙、 MICR用紙、 通帳用紙 等) |
現行価格+15%以上 | 2023年1月出荷分より |
リンテック | 特殊紙全般 | 2023年1月1日出荷分より | |
北越コーポ レーション |
印刷・情報用紙 | 2023年1月21日出荷分より | |
中越パルプ工業 | |||
大王製紙 | 印刷用紙全般 情報用紙全般 |
2023年1月23日出荷分より | |
日本製紙 | 印刷用紙全般 情報用紙全般 |
現行価格+15%~25% | 2023年2月1日出荷分より |
11月11日付の日本経済新聞の記事では、日本製紙の値上げが25%で受け入れられればA3巻の代理店卸値はデータを遡れる1997年9月以降で最高値となると分析されています。
2.製紙8社 2023年3月期第2四半期決算発表 |
製紙8社の2023年3月期第2四半期決算が発表されました。各社公式サイトに掲載された決算短信によると、
と、中越パルプ工業を除く7社が増収減益、日本製紙・大王製紙の2社は営業利益・経常利益・純利益が赤字という結果となっています。
決算短信の説明では、
売上高 | プラス要因 | ・コロナ禍からの経済活動の再開による需要回復 ・価格修正の実施 ・輸出品の価格上昇 ・パルプ市況の上昇 ・電力価格上昇等によるエネルギー事業の売上増 |
マイナス要因 | ・印刷・情報用紙など洋紙の需要減 ・食品等生活必需品の値上げによる生活防衛意識の高まりが影響した需要低迷 ・中国景気の後退 |
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収益 | プラス要因 | ・外貨建て債権の評価替えで為替差益 |
マイナス要因 | ・原燃料価格高騰 ・円安の急激な進行 |
と状況を分析していますが、不安定な国際情勢や円安進行などによる原燃料価格の高止まりなど厳しい状況は今後も続くとみて、大王製紙は同日、2023年3月期通期予想の営業・経常・純利益の下方修正、希望退職の募集、取締役の2023年度賞与の不支給を発表しています。
8社中唯一、第2四半期の増収増益を発表した中越パルプ工業は、価格改定やコスト低減、棚卸資産の払出が寄与したものと分析し、2023年3月期通期予想についても売上高・経常利益・純利益を上方修正していますが、営業利益については原燃料価格・薬品の高騰や円安進行が影響するとして下方修正した予想を発表しています。
【板紙・パッケージに関する市況/状況】
1.日本製紙 包装用紙の値上げを発表 |
日本製紙はは11月10日、包装用紙の価格改定を発表しました。
対象品種 | 包装用紙(晒クラフト紙、半晒クラフト紙、その他 |
改定幅 | 現行価格+15%以上 |
改定時期 | 2022年12月1日出荷分より |
2021年11月発表の1回目の値上げ以降も原燃料価格や物流経費の高騰は続き、急激な円安が製造コストの押し上げに拍車をかけたとして、同社は価格改定に理解を求めています。
【その他の市況/状況】
1.家庭紙大手3社が値上げ発表 |
11月11~14日に、大王製紙、日本製紙クレシア、王子ネピアの家庭紙大手3社が相次いで、家庭用・業務用の衛生用紙の値上げを発表しました。
メーカー | 対象 | 改定幅 | 改定時期 |
大王製紙 | ティシュー、トイレットペーパー、キッチンタオル、ペーパータオル他 家庭用・業務用紙製品 全品 |
現行価格+20%以上 | 2023年1月21日出荷分より |
王子ネピア | ティシュ、トイレットロールなど 家庭紙製品 全品 |
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日本製紙クレシア | フェイシャルティシュー、トイレットロール、ペーパータオル他 家庭紙製品 全品 |
現行価格+15%以上 | 2023年2月1日出荷分より |
いずれも今年に入って2回目の値上げ発表となり、商品の安定供給や品質維持などのためとして再度の値上げに理解を求めています。
2.北越コーポ、家庭紙生産計画凍結を発表 |
北越コーポレーションは11月11日、家庭紙の生産設備計画をいったん凍結することを決議したと発表しました。同社は2021年5月14日、新潟工場内に家庭紙生産設備を新設して家庭紙事業へ参入すると発表していましたが、同業他社の増産の動きや原燃料高騰、建設資材の価格上昇等の状況を鑑み、生産計画をいったん凍結するとの決議に至ったとしています。
同社は同日、2023年3月期通期の業績予想の修正も発表しており、海外市場における紙・パルプ価格の販売上昇や国内紙販売価格の改定、海外パルプ販売事業の好調などから売上高・営業利益予想は上方修正、一方、持ち分法による投資損失の計上などから経常利益・純利益予想は下方修正するとしています。
3.新聞・雑誌古紙の価格が上昇 |
11月9日付の日本経済新聞紙上にて、新聞古紙、雑誌古紙の国内価格が上昇したと報じられています。発行部数の減少やデジタル化の進行で発生量が減少、コロナ禍で密を避けるため集団回収も減るなどの影響から在庫量が減っていることが価格に影響しているとして、新聞・雑誌古紙を主原料とする白板紙の生産にも影響する可能性があると記事では指摘しています。
【印刷・製品関連】
1.日本製紙などのヒートシール紙がブルボン製品に採用 |
日本製紙は11月10日、同社と株式会社ブルボン、株式会社カネカが共同開発したヒートシール紙がブルボン製品のパッケージとして採用されたと発表しました。同社やブルボンの公式サイトの発表によると、
内容 | カネカ生分解性バイオポリマーを使用したヒートシール紙が、ブルボンの『4種のひとくちスイーツ』の外装に採用。日本製紙の紙のヒートシール部分にカネカの生分解性バイオポリマーを塗工、ブルボンが水性インクを用いたインクジェット印刷を行うことで、プラスチック使用量の削減、海洋汚染の低減につながる環境配慮型のパッケージとなった。 |
今後の展開 | 今回採用されたパッケージ素材は、日本製紙がヒートシール紙「ラミナ」で培った塗工技術と、カネカの生分解性バイオポリマーのエマルジョン化技術の結集により誕生した新しい環境配慮型紙素材。2023年春より「ラミナ」の新しいラインナップに加わる予定。 |
従来のフィルムラミネート品と比較して石油由来のプラスチック使用量が大幅削減できるとともに、ラミネート工程の省略で納期短縮も図れるとして、同社は食品の二次包装や日用雑貨・文具の包材など、多岐にわたる用途での採用検討を呼び掛けています。
※文中敬称略
※文章は2022年11月17日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。