1. HOME
  2. KAYO NEWS
  3. 紙の市況(2022.11)詳細 11月30日更新分

KAYO NEWS

華陽ニュース

紙の市況(2022.11)詳細 11月30日更新分

【紙に関する市況/状況】

1.丸住製紙が値上げ発表

 丸住製紙が11月17日、値上げを発表しました。製紙メーカー9社の今冬の値上げ発表を再度まとめると、

メーカー 対象 改定幅 改定時期
王子製紙 印刷用紙全般
情報用紙全般
現行価格+15%以上 2022年12月1日出荷分より
三菱製紙 印刷用紙全般
情報用紙全般
白板紙全般
現行価格+15%以上
(輸送調整金制度含めて)
特種東海製紙 情報用紙全般
(圧着ハガキ用紙、
MICR用紙、
通帳用紙 等)
現行価格+15%以上 2023年1月出荷分より
リンテック 特殊紙全般 2023年1月1日出荷分より
北越コーポ
レーション
印刷・情報用紙 2023年1月21日出荷分より
中越パルプ工業
丸住製紙 印刷用紙、情報用紙
大王製紙 印刷用紙全般
情報用紙全般
2023年1月23日出荷分より
日本製紙 印刷用紙全般
情報用紙全般
現行価格+15%~25% 2023年2月1日出荷分より

 11月22日付の日本経済新聞紙上では、洋紙値上げが需要を減らす動きにつながっているとの分析が披露されています。


2.特種東海 FAVINI社とコラボ製品

 特種東海製紙は11月21日、イタリアの特殊紙・紙製品メーカーのFAVINI S.R.Lと協働して新製品『TOKYO』を開発、販売を開始すると発表しました。特種東海製紙の染色・エンボス技術とデザイン開発力、FAVINI社のマーケティング力・営業力が組み合わされて開発された新製品で、『TOKYO』は特種東海製紙・三島工場製造の市中回収古紙由来パルプ40%以上が配合された環境にやさしい紙であると紹介しています。
 販売はFAVINI社が担当し、今後、欧米やアジア市場での『TOKYO』拡販に注力していくと同社は表明しています。


3.平和紙業 アルジョウィギンス社製品の状況について発表

 平和紙業は11月22日、9月に管財人管理下となり製品の生産・出荷が停止されたアルジョウィギンス社製品の現在分かっている状況について発表しました。
 同社サイトに掲載された発表によると、欧州主体の紙商社であるアンタリス社がキュリアスメタルなどアルジョウィギンス社複数製品のブランドを取得、ブランド製品もしくは代替製品の供給再開を目指し検討中で、2023年春ごろに詳細を案内予定との発表があったとのこと。今後供給が再開された場合は、条件等を確認後、平和紙業での取り扱いを行う予定として、それまでは在庫や代替製品について相談してほしいとサイト上で呼びかけています。


【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.日本製紙 液体用紙容器の値上げを発表

 日本製紙は11月24日、牛乳・清涼飲料向け紙パック製品の価格改定を発表しました。

対象品種 液体用紙容器全品
改定幅 現行価格+18%以上
改定時期 2023年4月1日納入分より

 他の製品と同じく液体用紙パック製品についても、7月発表の値上げ以降も原燃料価格、物流経費の高騰、急激な円安が続き、木質資源の需給逼迫で価格高騰が進んでいるとして、同社は価格改定に理解を求めています。
 


2.白板紙卸値上昇の報道

 11月18日付の日本経済新聞紙上にて、白板紙の今夏発表の値上げが浸透し、代理店卸価格が10~12%程度上昇したと報じられています。値上げは春に続き今年2回目で、年2回の値上げも値上げ幅の大きさも過去に例をみないとの製紙メーカーの声が紹介されています。

・ロシアのウクライナ侵攻に端を発する原燃料価格の上昇
・需要減が供給減につながっている原料古紙価格の上昇
・円安による輸入パルプ価格の上昇
・行動制限の緩和による土産物・化粧品用などの白板紙需要の堅調

などを背景に、調達を優先した需要家が値上げを受け入れたとされており、白板紙の値上げが白板紙を用いた箱の値上げにつながり、食品や日用品など最終製品の値上げにつながる可能性についても記事では言及されています。

 


【その他の市況/状況】

1.再生トイレ紙の店頭価格が上昇

 11月19日付の日本経済新聞紙上にて、再生紙製のトイレットペーパーとティッシュペーパーの10月の店頭価格が前月比で上昇したと報じられています。東京紙商家庭紙同業会の調べによるもので、再生紙製品のメーカー各社が今年2回目として打ち出した値上げが浸透してきたとする声が、記事では紹介されています。


【印刷・製品関連】

1.大王製紙『FSエリプラ+』がマルマンのリングノート製品に採用

 大王製紙は11月18日、同社の『FSエリプラ+』がマルマンのリングノート『COCOCHY(ココチィ)』の表紙に採用されたと発表しました。同社やマルマンの公式サイトの発表によると、

『FSエリプラ+(プラス)』 大王製紙が開発した高密度厚紙。プラスチックフィルムを使わずに耐水性・耐油性を付与した森林認証紙で、プラスチック使用量の削減に貢献することを目指した製品。
『COCOCHY(ココチィ)』 マルマン株式会社が11月25日に発売したリングノート。使う人にも環境にもやさしい、心地いいリングノートとして、廃棄時の分別を容易にする「リング開き」と呼ぶパーツを、『FSエリプラ+』を使用した裏表紙に設けたほか、表紙・扉・本文すべてに森林認証紙を使用して環境に配慮するとともに、メモリ入り罫線やミシン目、書き心地の良さなどの工夫で使う人へのやさしさにも気を配った製品。
採用意図 表裏の表紙に『FSエリプラ+』を使うことで、
・森林認証紙の使用で環境に配慮
・プラスチック使用量の削減
・耐水・耐油で手汗や手油に強く、多少の汚れならふき取ることが可能
といった特長を訴求している。

 同社は今後もエリプラブランドなど環境にやさしい製品の生産・販売を通じて持続可能な社会に引き続き貢献していくと表明しています。


2.日本製紙 JALと連携し紙カップを回収

 日本製紙は11月18日、日本航空株式会社(JAL)と連携して、一部旅客機の機内サービスで使用した紙製カップ類のリサイクルを開始すると発表しました。公式サイトの発表によると、

内容 2022年12月より羽田空港発着の東京=沖縄便のエアバスA350‐900型機を対象に、機内サービスで使用した紙コップ、蓋、マドラーを回収。日本製紙で紙繊維のみを分離してトイレットペーパーなどの紙製品にリサイクル。※天候などの都合で回収を実施しない場合があります。
背景 JALは森林認証紙を使用した紙コップを使用しており、2022年10月より蓋とマドラーについても紙製に切り替えを進めている。
紙とプラスチックの分離が難しいことや食品残渣などの汚れの問題から、従来、使用済み紙コップなどは一般ごみとして焼却されてきたが、日本製紙が開発した再資源化技術により分別・リサイクルが可能となった。

 当面は段ボールやトイレットペーパーなどに再生されるものの、将来的には紙コップから紙コップへの水平リサイクルを実施し、資源循環の推進と二酸化炭素排出量の削減につなげることを目指すと同社は表明しています。


3.エプソン オフィス向けレーザープリンターの販売終了を発表

 11月18日付の日本経済新聞紙上にて、セイコーエプソンがオフィス向けレーザープリンターの販売を2026年に終了すると発表したと報じられています。消費電力が低く、省資源・コスト削減が可能なインクジェット方式への置き換えをさらに進めるためとのことで、17日にはインクジェット式複合機の新ラインアップも合わせて発表し、同社の「Heat‐Free Technology」が低消費電力と高生産性の両立を実現し、環境負荷低減とオフィスの高生産化にも貢献するとアピールしています。


※文中敬称略
※文章は2022年11月28日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。