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紙の市況(2022.12)詳細 12月20日更新分

【紙に関する市況/状況】

1.特種東海製紙が値上げ発表

 特種東海製紙株式会社は12月15日、高級印刷用紙の値上げを発表しました。同社の公式サイトの発表によると、

対象 高級印刷用紙(具体的な対象製品は個別連絡)
改定幅 +15%以上
改定時期 2023年3月1日出荷分より

 同社は今年すでに高級印刷用紙の一部製品について値上げを実施していますが、原燃料価格の高止まりや円安などの影響で想定以上にコストが上昇しているとして再度の値上げに理解を求めています。


【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.段ボールシート最高値の報道

 12月13日付の日本経済新聞紙上にて、11月の段ボールシートの指標品種の価格が前月末比で17%程度上昇し、1986年4月以降の最高値を更新したと報じられています。

・段ボールシートメーカーによる今年2回目の値上げを箱メーカーなどの需要家が受け入れ
・経済再開で荷動きが改善し、食料品向け・通販向けなどの段ボール需要が堅調で、需要家が安定調達を優先

といった動きがあったとのことで、2回目の大幅な価格改定に需要家の抵抗はあったものの最終的には理解を得たとの段ボールシートメーカーの声が紹介されています。
 段ボールシートの値上げが浸透したことを受け段ボール箱の値上げ交渉も本格化しているとのことですが、交渉の難航を伝える声もあり、決着すれば幅広い産業での輸送コストの上昇に、決着が遅れれば箱メーカーの採算悪化で供給停滞につながる可能性があると、記事では指摘されています。

 


【その他の市況/状況】

1.三菱製紙が家庭紙値上げを発表

 三菱製紙は12月7日、家庭紙の価格改定を発表しました。同社の公式サイトの発表によると、

対象 ティシュ、トイレットペーパー、ハンドタオル、キッチンタオル他家庭紙製品全般
改定幅 現行価格+20%以上
改定時期 2023年1月1日出荷分より

 家庭紙では11月に既に大王製紙・日本製紙クレシア・王子ネピアの大手3社も値上げを発表しており、実施されれば家計にさらに圧力を加える要因のひとつとなりそうです。


2.再生トイレ紙などの店頭価格上昇

 12月9日付の日本経済新聞紙上にて、11月の家庭紙の一部製品の店頭価格が10月比で上昇したと報じられています。東京紙商家庭紙同業会の調べによるもので、再生紙製やパルプ製のトイレットペーパーの下値、大手メーカー製のティッシュペーパーの上値、下値で価格が上昇したのが確認できたとのこと。再生紙製品メーカー各社は今夏に今年2回目の値上げを発表しており、それが浸透したとの家庭紙卸の声が記事では紹介されています。


3.カセイソーダが最高値を更新

 12月14日付の日本経済新聞紙上にて、11月のカセイソーダの国内価格が前月比で3割上昇し最高値を更新したと報じられています。

・電気料金の上昇で、製造過程で大量の電力を使うカセイソーダの製造コストが上昇
・円安の影響などで輸出価格が上昇し、内外価格差が発生
・幅広い用途で使用し、リチウムイオン電池の正極材や半導体向けなど新たな需要も生まれているカセイソーダの国内需要は堅調

などを背景に、今夏打ち出された値上げを製紙会社などの需要家が受け入れたとのこと。
 電気料金の今後の引き上げ予定や原料である工業塩の価格上昇から、再度の値上げの必要性を指摘する声もあるとのことで、値上げの動きが続く状況にカセイソーダの再値上げが加われば、様々な製品の需要を冷やす可能性があると記事では指摘しています。


4.発電用石炭価格、欧州の下落で日本向けに割高感

 12月15日付の日本経済新聞紙上にて、欧州向けの発電用石炭価格が11月ごろに急落し、やや値を戻した現在も低い水準にとどまっていると報じられています。ロシア産石炭の禁輸措置により今冬のエネルギー不足が懸念されていましたが、南アフリカ産などに切り替えることで石炭在庫が蓄積できたためとのこと。液化天然ガスの欧州内の在庫が高めに推移し価格が低下したことも石炭価格の下落の一因となったと記事では伝えられています。
 対照的に日本が主に輸入する豪州産の高品位石炭はピーク比1割安程度で、割高感が強まっているとのこと。日本の電力会社などの需要家が使う発電用ボイラーは豪州産などの高品位炭を使うことを前提に設計されているため、燃料の品質や産地を柔軟に変える対応をしにくいという事情もあると紹介されており、調達コストの高止まりが電力料金の上昇につながり、それを軽減するための政策が石炭価格を下支えするといったゆがんだ構図が長期化して定着する恐れもあると、記事では懸念を示しています。


【印刷・製品関連】

1.三菱製紙 「barricote」採用事例を発表

 三菱製紙は12月9日、同社の「barricote」がドトールコーヒーの「初釜」コーヒーのパッケージに採用されたと発表しました。同社の公式サイトの発表などによると、

barricote 同社の塗工技術で紙ベースながら高い酸素バリア性、水蒸気バリア性などを持たせた包装用コート紙。紙素材であるため生分解性やリサイクル性を有し、プラスチック使用量の削減などに貢献する。食品一次包装用や二次包装特化など、4種類のラインナップが用意されている。
「初釜」コーヒー ドトールが12月8日にWEB予約受付を開始した、2023年を迎えて初めて釜に火を入れて焙煎するコーヒーのオンラインショップ数量限定セット。
最大限に環境に配慮し、かつ品質を維持するパッケージの構成要素として、
・紙包材ながらコーヒーの豊かな香り・鮮度保持を担う「barricote」
・株式会社MIBが開発した、コーヒー豆から発生するガスを抜くための特殊なシール加工「TiMELESS」
・シーラントフィルムに生分解性樹脂を用いたナカバヤシ株式会社の環境配慮型パッケージ「asueco」
を採用。

 三菱製紙は引き続き同社製品の付加価値をもって要望に応えられるように努めていくと表明しています。


※文中敬称略
※文章は2022年12月16日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。