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紙の市況(2023.1)詳細 1月31日更新分

【紙に関する市況/状況】

1.製紙連 2023年内需見通しを発表

 日本製紙連合会は1月20日、2023年の紙・板紙の内需見通しを発表しました。サイトに掲載された発表によると、

2022年見込み 紙は前年比2.8%減、2019年比16.3%減、板紙は前年比0.7%増、2019年比0.7%減、紙・板紙合計で前年比1.0%減、2019年比9.0%減の見込み。グラフィック用紙は前年比4.8%減、2019年比21.1%減、パッケージング用紙も前年比は0.7%増も2019年比は1.5%減の見込み。
2023年見通し 紙は前年比5.0%減、2019年比20.4%減、板紙は前年比0.7%増、2019年比0.1%減、紙・板紙合計で前年比2.1%減、2019年比11.0%減と予想。グラフィック用紙は前年比7.4%減、2019年比26.9%減、パッケージング用紙は前年比0.7%増、2019年比は0.8%減と予想。
グラフィック用紙は情報・広告分野等でデジタル化の加速、人口減少、企業のコスト削減姿勢が影響すると想定。パッケージング用紙はインバウンドの回復などがプラスに働くが、省包装や段ボール軽量化の動き、需要家によるコストダウンの強化などが伸びを抑える方向に影響すると想定。
2023年背景 プラス要因 ・ウィズコロナへの転換による景気やインバウンド需要の好転の期待
・パッケージ等でプラスチックから紙化への動き
・WBCやラグビーワールドカップ等のイベント 等
マイナス要因 ・人口減、デジタル化、省包装等の構造的要因
・世界経済の鈍化
・物価高等による生活防衛意識の高まり

 行政手続きのデジタル化や電子帳簿保存法、インボイス制度の開始など、ペーパーレス化をさらに進展させる社会の変化も予定されており、グラフィック用紙にはさらに厳しい環境となりそうです。


2.丸住製紙 『nano tech 2023』出展

 丸住製紙は1月18日、『nano tech 2023』のナノセルロースジャパンブース内に出展すると発表しました。同社の発表等によると、

会期 2023年2月1~3日 10:00~17:00
会場 東京ビッグサイト 東2ホール ナノセルロースジャパンブース内
展示内容 同社開発のCNF『ステラファイン』や、化粧品用途開発事例の製造販売品『ステラファイン アルコールハンドジェルミスト』等を展示予定。

 ナノテクノロジー技術に触れ、商談や創造協力なども可能な展示会として、同社は、事前登録したうえでの来場を呼び掛けています。


3.王子HD グリーンファイナンス・フレームワークを策定

 王子ホールディングスは1月24日、脱炭素戦略のための資金をグリーンボンドやグリーンローンで調達するため、資金使途や適格プロジェクト、SDGsとの整合性をまとめた「王子ホールディングス グリーンファイナンス・フレームワーク」を策定したと発表しました。グリーンボンドやグリーンローンによって調達した資金は再生可能エネルギーへの燃料転換や生産林・環境保全林の取得・保全等の適格プロジェクトに用いることで、「環境ビジョン2050」「環境行動目標2030」の目標達成に向けた取り組みをさらに加速させていくと、同社な策定の目的を説明しています。


4.特種東海 SNSのなりすましアカウントに注意喚起

 特種東海製紙は1月18日、Twitter上で同社公式アカウントを装った「なりすましアカウント」が発見されたとして注意を呼びかけました。問題のアカウントは2023年1月より利用開始、同社公式ユーザー名に酷似したユーザー名を使用しており、Twitterのフォントの都合でユーザー名では見分けづらいため、利用開始日やフォロワー数で見分けてほしいと同社は説明しています。同社は対応を弁護士に相談し不正アカウントの報告等を行っているとのことですが、不正アクセス等の危険を避けるため、なりすましアカウントからのダイレクトメッセージ等に反応しないでほしいと注意喚起しています。


【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.王子HDの紙製パッケージを三菱鉛筆が採用

 王子ホールディングスは1月19日、同社の紙製パッケージが三菱鉛筆株式会社の製品に採用されたと発表しました。今回採用されたのは三菱鉛筆の油性ボールペン「ジェットストリーム」の数量限定モデルで、2022年12月5日より全国約3,000店舗の文具取扱店で販売されているとのこと。
 王子HDは紙製のフタとトレイで構成され、ALL紙製でありながら窓から中身が見えるパッケージを実現しており、今後もグリーンイノベーションを推進して持続可能な社会の実現に取り組んでいくと表明しています。


2.王子・三菱 ワールドスター賞受賞を発表

 1月18日に三菱製紙、1月25日に王子ホールディングスが、「ワールドスターコンテスト2023」でワールドスター賞を受賞したと発表しました。

ワールドスター
コンテスト
世界包装機構が主催。技術、アイデア、デザイン性を備えパッケージングの中から厳選されたものを世界に紹介することを目的としたコンテスト。
三菱製紙 同社のバリコートと株式会社カナオカホールディングのデジタル水性インクジェット印刷機の組み合わせが、従来のグラビア印刷と比較して、廃インキ削減、廃棄在庫削減に貢献するサステナブルなプラスチックフィルムレスのバリア包材を実現したと評価されたと発表。
王子HD 同グループの王子コンテナー開発品が受賞。自動車シートの輸送固定材をオール段ボール化することで、軽量化、設計自由度の向上、収容効率の向上、コストダウン、リサイクル、固定時のスライド作業やボルト固定廃止等の改善を実現したことが評価されたと発表。

 王子HDの製品は「日本パッケージングコンテスト2022」でも「ジャパンスター賞/経済産業大臣賞」を受賞したとして、同社は今後も技術に新発想を加えた新製品開発や提案でお客様とともに課題解決に取り組んでいくと表明しています。


【その他の市況/状況】

1.家庭紙店頭価格横ばい

 1月20日付の日本経済新聞紙上にて、12月の家庭紙店頭価格が横ばいとなったと報じられています。東京紙商家庭紙同業会の調べによるもので、11月は再生トイレ紙など一部製品で値上げが浸透し店頭価格が上昇したと報じられていましたが、12月は前月比横ばいだったと記事では伝えられています。


2.古紙在庫が13か月ぶりに前年比増

 1月20日付の日本経済新聞紙上にて、12月末の古紙在庫が前年同月比3.8%増となったと報じられています。関東製紙原料直納商工組合32社分の12月末在庫で、前月比では67.4%増となったとのこと。段ボール原紙の輸出減少などから製紙会社が原料である段ボール古紙の調達を控えたと、記事では要因を説明しています。


【印刷・製品関連】

1.2022年の出版市場は4年ぶりの前年割れ

 1月26日付の日本経済新聞紙上にて、出版科学研究所が公表した2022年の出版市場規模が4年ぶりに前年実績割れとなったと報じられています。記事や出版科学研究所のニュースリリースなどによると、

2022年市場規模 紙と電子合算の推定販売金額が2021年比2.6%減。紙は同6.5%減。電子は同7.5%増も、2019~2021年は前年比2割前後の増加を続けてきた成長率が鈍化。出版科学研究所は「電子市場はいよいよ成熟期に入った感」と分析。
電子 電子コミックは前年比8.9%増も、電子書籍は同0.7%減、電子雑誌は同11.1%減。出版市場における電子出版の割合は3割超え。
書籍が前年比4.5%減、雑誌が同9.1%減。これまで好調だった文芸書、児童書、学参、資格試験などの売れ行きが鈍化。雑誌は月刊紙のコミックスの二ケタ減が影響。

 巣ごもり需要の一服や物価高による買い控えが影響と、記事では分析しています。


2.住友不動産がダイレクトメールを全廃

 1月20日の日本経済新聞紙上にて、住友不動産が土地や住宅を持つ人あてに送っていた営業のダイレクトメールを2022年末で全廃したと報じられています。分譲マンションや一戸建てに住む人などを対象にした折込チラシのポスティングについては2021年7月に既に廃止しているとのことで、削減した経費はネット広告やAI査定などのデジタル戦略に振り向ける計画と伝えられています。
 不動産業界は中小企業が多く、情報通信業や金融業に比べDXの取り組みは進んでいないとのことですが、コロナ禍の影響でオンライン内見や契約業務・書類の電子化、野村不動産のメタバースで住宅購入の相談ができるサービスの開始など、デジタル化の流れが進みつつあることも記事では紹介されています


※文中敬称略
※文章は2023年1月27日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。