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紙の市況(2023.2)詳細 2月20日更新分

【紙に関する市況/状況】

1.製紙8社 第3四半期決算を発表

 2月14日までに製紙8社が2023年3月期第3四半期累計(2022年4月1日~2022年12月31日)の連結業績を発表しました。サイトに掲載された決算短信によると、

 決算短信で各社は

王子HD コロナ禍で停滞していた経済活動の再開による需要の回復やパルプ市況の上昇、価格修正効果などで売上高は前年同四半期比上昇。海外売上高比率38.7%。原燃料価格の高騰で営業利益が前年同四半期比下落。
日本製紙 主に生活関連事業の売上増、価格修正効果で前年同四半期比増収。原燃料価格の高騰や円安影響などで営業損失。グラフィック用紙の需要減、また将来の需要減少見通しへの対応として、当第3四半期期間にて石巻工場N6抄紙機の停機を完了、秋田工場N1抄紙機の2023年6月末での停機を決定。
レンゴー 価格改定と連結子会社の増加で前年同四半期比増収。原燃料価格上昇の影響で同減益。
大王製紙 資源価格の上昇に円安進行が重なり主要原燃料価格が高止まり。物流費、荷資材価格上昇もあり製造コストが大幅に悪化。収益回復に向け、あらゆる製品の販売価格改定、エネルギー構成や生産体制の見直し、省力化を含む聖域なきコストダウンを進めている。
北越コーポレーション 国内品の価格改定、輸出品の価格上昇の影響等で前年同四半期比増収。原燃料価格の高騰等で同減益。
三菱製紙 製品価格改定等で前年同四半期比増収。固定費削減等のコストダウン効果もあったが原燃料価格高騰の影響が大きく、営業損失。中期経営計画の方針に沿って「選択と集中」による構造改革を進めており、2023年1月30日にドイツ事業フレンスブルク工場の事業売却を決定。2023年4月1日には北上サイト子会社の統合などグループ組織再編を予定。
中越パルプ 製品価格の改定、販売強化、原燃料価格高騰の影響などで前年同四半期比増収・減益。紙・パルプ事業の生産体制再構築など既存事業の発展・強化とともに、同社CNFの化粧品原料への利用拡大や農業資材としての実用化への取り組み、中越エコプロダクツ事業の早期事業化など環境ビジネスを進めている。
特種東海製紙 基盤事業の強化、資源の再活用や脱プラなどの社会的要請も背景にした成長施策を実施。新製品開発や製紙以外の新たな事業領域へも取り組み。2022年9月発生の台風による影響で運転停止した水力発電所は、2023年1月に運転を再開。

等、要因や取り組みについて説明しています。
 2023年3月期通期の連結業績予想については4社が修正を発表しました。

日本製紙 生活関連事業の売上増や価格修正効果で売上高を上方修正。第3四半期累計期間での原燃料価格高騰、円安進行、一部製品での価格修正の遅れ等から営業損失、経常損失を下方修正。海外連結子会社のグラフィック用紙事業からの撤退により特別損失を計上する見込みから当期純損失を下方修正。
大王製紙 ホーム&パーソナルケア事業で国内衛生用紙の価格改定の浸透の遅れが想定されることや中国のゼロコロナ政策緩和後の急激な感染拡大による販売減、紙・板紙事業で昨年9月に発生したボイラー事故による想定以上のエネルギーコスト悪化等により、営業損失、経常損失を下方修正。収益悪化影響と生産体制の再構築等の費用を特別損失に追加で織り込み、当期純損失を下方修正。
三菱製紙 円安進行、石炭高騰、中国のゼロコロナ政策の影響による機能材関連製品の輸出低迷、印刷・情報用紙価格改定の遅れなどの要因から第3四半期業績が想定を下回ったことを受け、通年の売上高、営業利益、経常利益を下方修正。ドイツ事業フレンスブルク工場の事業売却に伴う特別損失計上により、当期純利益を損失に下方修正。
特種東海製紙 販売価格改定の浸透と、前回発表時想定より販売数量が堅調に推移していることから、通期の営業利益を上方修正。

 厳しい環境が続くなか、各社の戦略や中期計画にも注目が集まりそうです。


2.王子HD 創業150周年

 王子ホールディングスが2023年2月12日、起源である「抄紙会社」の設立から150年を迎え、「王子グループ150周年記念サイト」を公開しています。150年の軌跡と未来をドキュメンタリータッチで描いた記念動画を同サイト内で公開しているほか、150年を迎えた感謝を表現し、これまでの歩み、未来に向けた決意や取り組み、各種イベントの様子を発信していくとのこと。木の葉一枚一枚で、これからも変化、進化し続けていく社員ひとりひとりの力を表した150周年記念ロゴも制作したとのことで、同社は次の150年に向け、イノベーションを続け、さらなる飛躍を目指していくと表明しています。


【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.レンゴー シャープ替芯パッケージを共同開発

 レンゴーは2月8日、三菱鉛筆株式会社と共同で、シャープペンシルの替芯のパッケージを開発したと発表しました。同社や三菱鉛筆の発表によると、

対象 シャープ替芯「uni(ユニ)詰替用」向けパッケージ(2月22日新発売)
内容 段ボールを四角にカットし、断面の波状の空間に本体4個分の替芯が入るように設計。段ボールの詰替用パッケージからシャープ替芯本体ケースに詰め替えることで、本体ケースを捨てずに繰り返し使用ができる。使用後の段ボールや芯を封緘するシールは資源ごみとしてリサイクル可能で、詰替方式と合わせ環境負荷の少ない商品シリーズとなる。
背景 従来、プラスチックの替芯ケースは使い捨てだったが、ケースを惜しむ声や環境への配慮を求める声がユーザーから寄せられていた。サステナブルなものづくり、消費行動への関心が高まる社会情勢も鑑み、既存ケースの利便性を活かしながらシャープ芯における新しいサステナビリティの形を模索するなかで、当商品の開発に至った。

 レンゴーはこれからも環境負荷低減につながるパッケージ開発を進めていくと表明しています。


2.ヤマサ醤油製品パッケージに王子紙製品

 王子ホールディングスは2月14日、ヤマサ醤油株式会社の新製品「ヤマサ 饂飩気分」シリーズの外袋のパッケージに同社の紙製品が採用されたと発表しました。プラスチック使用量の削減、二酸化炭素排出量の削減、リサイクルも可能な、環境に配慮した紙パッケージの採用で、紙素材にすることで、袋の重みで陳列時に底が折れてしまうといった課題の解決にもつながったとのこと。「ヤマサ 饂飩気分」シリーズは2023年2月21日より全国で発売予定とのことで、同社は今後も環境配慮型素材・製品の開発を推進し、持続可能な社会の実現に取り組んでいくとしています。


【その他の市況/状況】

1.古紙在庫2か月連続で前年増

 2月11日付の日本経済新聞紙上にて、1月末の古紙在庫が前年を上回ったと報じられています。関東製紙原料直納商工組合(32社分)の1月末在庫で、前年を上回るのは12月に続き2か月連続となるとのこと。中国の需要低迷などから段ボール原紙の輸出が減少しており、国内でも物価高による買い控えなどが影響して段ボールの荷動きが低調であることから、製紙各社が原紙の生産調整を実施していると、記事では要因について分析されています。


【印刷・製品関連】

1.大日本印刷 紙製パーソナルブースの販売を開始

 大日本印刷株式会社は2月14日、紙製の簡易ブースの販売を同日開始したと発表しました。発表によると、

製品名 DNP折りたたみ式紙製パーソナルブース
内容 三方を囲む壁部分と机部分から成る、強化紙製ボードを使用した簡易ブース。使わないときは折り畳んでコンパクトに収納でき、使いたいときに簡単に組み立てられる(同社によると、約10秒で組み立てられる)。
特徴 ・金属やプラスチックを使用しておらず、紙製なので軽いが、ハニカム構造の頑丈な強化紙製ボードを使用しており耐久性もある。
・工具や留め具を使わず簡単に組み立てられ、使い終わったらコンパクトに収納できる。
・本物の木材を使用しているようなリアルな印刷のデザインで設置する空間の雰囲気に適した演出が可能。
・パーソナルな空間を簡単につくり出せ、スペースの利活用に役立つ。
・紙製でリサイクル可能。
・オリジナルデザインにも対応。

 オフィスのフリーアドレス化やオンライン会議の増加など、パーソナルスペースを必要とする場面が増えていること、テレワークの普及でオフィスの省スペース化と多くの社員が出社した際の座席の確保の両立が課題となっていることなどを同社は開発の背景として挙げ、「DNP折りたたみ式紙製パーソナルブース」の活用を呼び掛けています。


※文中敬称略
※文章は2023年2月17日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。