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華陽ニュース

紙の市況(2023.2)詳細 2月28日更新分

【紙に関する市況/状況】

1.印刷用紙 卸値2割上昇の報道

 2月23日付の日本経済新聞紙上にて、印刷用紙の国内卸値が2022年秋比で2割上昇したと報じられています。2022年春、秋、今回と3度の値上げでA3巻の卸値は値上げ前と比べ6割弱上昇したとの数字も挙げられていますが、

・2022年秋以降も石炭価格が高騰
・チップ、パルプなど原燃料価格が高止まり
・2022年10月までの急激な円安で原料の調達コストが上昇
・円安と物流コスト上昇から輸入紙の流入が急減

等の背景から、大手印刷会社などが安定調達を考慮し、最終的には製紙各社の提示した価格をほぼ受け入れたと記事では伝えています。
 紙のチラシやカタログの発行を控えるなど一層のデジタル化が進む動きがある一方、製紙各社も停機や転抄など需要に合わせた生産体制の見直しを進めており、印刷用紙の市場がさらに縮小するかどうかにも注目が集まりそうです。


2.大王『エリプラシリーズ』が「プラスチック・スマート優良事例アワード」受賞

 大王製紙は2月21日、同社の『エリプラシリーズ』が環境省主催の「プラスチック・スマート優良事例アワード」を受賞したと発表しました。公式サイトの発表などによると、

プラスチック・スマート プラスチックごみの正しい処理やリサイクル方法を広め、バイオマスプラスチックや代替素材などの理解を深めることで、プラスチックとの賢い付き合いを実現することを目指す環境省の取り組み。企業や団体、個人がプラスチックごみ問題解決につながる取り組みを登録すると、その取り組みをPRするためのポスターや広告、名刺、HPなどに「プラスチック・スマートロゴマーク」を使用することができる。
プラスチック・スマート
優良事例アワード
登録された取り組みから優良な事例を選出し、掘り下げた取材や広報をすることで、プラスチックとの賢い付き合い方について発信・推進することを目的として行われている取り組み。
今回の表彰 2022年4月以降に新たに登録された約300件の事例から、
「使う・減らす」
「広める」
「分ける・戻す」
「作る・分解」
「拾う」
の5つのカテゴリーごとに、
持続性・自走可能性・独自性
の3つの視点で評価・選出が行われ、大王製紙の『エリプラシリーズ』は「使う・減らす」カテゴリーにおいて、脱プラ・減プラに貢献可能な製品として表彰された。

 同社は引き続き環境に配慮した製品の製造・販売を通じて地球環境へ貢献していくと表明しています。


【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.『シルビオクリア』採用パッケージがワールドスターコンテスト受賞

 王子ホールディングスは2月22日、同社の『シルビオクリア』を使用したパッケージが2023年の「ワールドスター賞」を受賞したと発表しました。同社の発表によると、

『シルビオクリア』 王子エフテックスが製造販売する紙製パッケージ素材。高透明紙を使用しており、防湿・酸素バリア性、プラスチック使用量削減、中身をみせたいというニーズの実現等が可能。
受賞製品 株式会社エル・ローズの『GREEN BASE ドライベジシリーズ』のパッケージで受賞。乾燥野菜でフードロス問題を解決する商品だからこそ、パッケージにも「社会的課題の解決に向けたメッセージ」をとの想いから株式会社エル・ローズとザ・パック株式会社が共同開発し、
・プラスチック素材を減らし、紙マークが付与できる
・バリア機能を有している
・高透明紙であるため、開封しなくても中身が確認できる
等を特長とする『シルビオクリア』が包材として採用された。

 王子グループは今後も技術に新発想を加えた新製品開発と提案でお客様とともに課題解決に取り組んでいくと表明しています。


2.王子HD イタリアで液体紙容器事業を買収

 王子ホールディングスは2月22日、イタリアの液体紙容器事業会社IPI社の株式を取得すると発表しました。IPI社の株式を保有するCoesia社から出資持分全部を王子HDが買い取る契約を締結したとのこと。発表によると、

アセプティック 無菌充填により、液体食品を常温で半年から1年程度保存が可能にする技術やその製品。乳製品、フルーツジュース、ワイン、スープ、ソースなどの容器として海外では冷蔵技術が必要なチルドタイプよりも主流で、今後も新興国などで成長が見込まれる。
IPI社 高品質なアセプティック液体紙容器用加工紙、充填機を世界50か国以上で販売。乳製品やジュース、ワインなどに使用され、顧客の新製品販売の成功にも寄与。
今回の取得効果 IPI社の事業取得で、原紙・加工紙の一貫生産や加工紙・充填機のセット販売が可能に。新興国での事業拡大も見込む。

 王子グループは液体紙容器事業の拡大でプラスチック使用量を削減し、持続可能な社会への貢献に寄与することを中期経営計画の取り組みのひとつに掲げており、今後もサステナブルな社会構築や顧客価値向上に貢献していくと表明しています。


【その他の市況/状況】

1.古紙在庫増の背景に段ボール需要伸び悩みの報道

 段ボール古紙の在庫が12月末、1月末と2か月連続で前年在庫を上回ったと既報されていますが、その背景に段ボール需要の伸び悩みがあると、2月18日付の日本経済新聞が報じています。全国段ボール工業組合連合会のまとめで2022年の段ボール需要が前年比0.1%増で、2021年12月時の予測である1.7%増を下回ったことが報告されていますが、

・食品や日用品などの値上げが相次ぎ、消費者の買い控えから、10月以降の段ボールの出荷が低迷。
・2022年秋に段ボール原紙の値上げが実施。

等の背景が段ボールの荷動きを鈍らせていると記事では伝えられています。
 海外市況の低迷から段ボール原紙の輸出も減少しており、製紙各社が古紙の調達を控えていると記事では指摘されています。


【印刷・製品関連】

1.モニター上の色再現支援にカラーマネジメント技術

 凸版印刷は2月16日、モニターや撮影データ上で適切な色を再現するクラウドサービスを開発したと発表しました。同社が「カラーシーカー」「カムフィット」と名付けたサービスで、

カラーシーカー 専門知識や特別な機材がなくても、一般的なPCモニターで適切な色を再現できるサービス。
カムフィット カラーチャートと対象物を一緒に撮影してデータをクラウド上に送信し、対象物に種類を選択すると、画像データが本物に近い色に自動的に変換されるサービス。
カラーマネジメント ディスプレイ、プリンター、印刷物など、異なるデバイス間で色の調整を行い、表示する色を統一するための技術。同社がこれまでの印刷現場で培ってきた高精度なカラーマネジメント技術が今回のサービス開発に生かされている。
想定される活用シーン 医師側のPCモニターで「カラーシーカー」でモニターの色を適切に調整。患者とカラーチャートを同時に撮影した画像データをクラウド上にアップロードし、「皮膚」を選択すると、「カムフィット」が自動で画像データを本物に近い色に変換し、医師側のモニターでも本物に近い色で表示する。オンライン診療でも患者の顔色や患部の色などを適切に確認し診断することに役立つ。
その他、活用が
想定されるシーン
ECサイトや、美容、観光、農工業など。

 同様のサービスは大日本印刷も2020年に医療向けに提供を開始しており、2月16日付の日本経済新聞紙上では、カラーマネジメントの需要が高まっており、メタバースのリアリティー向上に貢献することでその発展に寄与するとの見方もあると報じられています。


※文中敬称略
※文章は2023年2月27日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。