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華陽ニュース
紙の市況(2023.4)詳細 4月30日更新分
【紙に関する市況/状況】
1.日本製紙 繊維幅が可変のMFCのサンプル提供を開始 |
日本製紙は4月20日、可搬・可調整式製造機による、繊維幅がカスタマイズ可能なセルロース繊維、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)を開発し、サンプル提供を開始すると発表しました。解繊方法や解繊程度を自由に変更・設定可能であることが特長で、粘度や透明度、保水度、ゲル感等を用途に合わせて製造できることや、大量製造や大量使用にも適していることから、工業用、食品・化粧品用、農業分野や土木分野など、様々な分野での活用が期待できるとしています。原料は2種類で、それぞれから作成した標準品を同社はサンプルとして用意していますが、製造機は比較的コンパクトでMFC使用場所に設置することも可能として、将来的には製造機の貸し出しや販売も視野に入れると同社は発表しています。
2.特種東海と日本紙パルプが家庭紙部門で業務提携 |
特種東海製紙と日本紙パルプ商事は4月25日、特種東海エコロジー株式会社、日本紙パルプ商事株式会社、JPコアレックスホールディングス株式会社の3社が同日、業務提携契約を締結したと発表しました。特種東海エコロジーは特種東海製紙グループで再生トイレットペーパーを製造販売、JPコアレックスホールディングスは日本紙パルプ商事グループで家庭紙の製造・販売を営むJPコアレックスグループ各社の経営管理を事業とする会社で、今回の業務提携でサプライチェーンの拡充を行うことで企業価値の向上に貢献できると判断したと、両社は業務提携の目的を説明しています。
3.大王製紙 コピー用紙の寄付額を発表 |
大王製紙は4月25日、「New OAペーパー type H 新型コロナウイルス助け合いの輪+(プラス)」の売上金額の2%を日本ユニセフ協会の「新型コロナウイルス緊急募金」へ寄付する取り組みについて、4回の寄付の累計が1,400万円余りになったと発表しました。日本ユニセフ協会「新型コロナウイルス緊急募金」の受付終了に伴い、同製品は「コピー用紙 助け合いの輪+(プラス)」にリニューアルされ寄付内容も変更となっていますが、同社は「世界中の人々へ やさしい未来をつむぐ」の経営理念の実現に向け、今後も事業活動を通じた支援を継続していくと表明しています。
【板紙・パッケージに関する市況/状況】
1.レンゴー子会社 ドイツに新工場 |
レンゴーは4月25日、同社連結子会社のトライウォール社とその子会社のトライコー社がドイツ北西部に新工場を建設することになったと発表しました。トライコー社は重量物包装資材の製造販売などを業務とする会社で、
新工場の建設により生産能力を拡大し、ドイツ周辺地域で拡大する需要に対応すると工場建設の目的を説明しています。新工場は2025年7月の完成を目指すとしていますが、2050年カーボンニュートラルの目標を意識し、より環境に配慮した工場として設計すると同社は表明しています。
【その他の市況/状況】
1.南米産広葉樹パルプの価格が下落 |
4月22日付の日本経済新聞紙上にて、広葉樹パルプの国際価格が下落していると報じられています。南米産「L‐BKP」の3月積み対日価格は前月積み比で1トンあたり50ドル程度下落、過去最高値だった2022年末に比べると2割程度下がったとのこと。
・中国で消費回復が遅れ、製紙大手の買い付けが減少
・高値の一因だった物流の混乱が解消傾向
・アラウコのチリ工場やUPMのウルグアイ工場の稼働などで供給が拡大
といった要因が影響しているとのことで、パルプの外部調達が多い韓国の製紙会社の製品価格にも影響を与える可能性があることから、印刷用紙などの輸出市場での競争激化を懸念する声も記事では伝えられています。
2.新聞古紙の輸出価格が下落 |
4月26日付の日本経済新聞紙上にて、新聞古紙の輸出価格が2022年夏~秋ごろの直近高値にくらべ4割以上下落したと報じられています。ウクライナ危機で停止していたロシアの新聞用紙の輸出が2022年末ごろに正常化に向かい、代替品として輸出されていた韓国の新聞用紙の生産が縮小、原料である古紙の高値での買い取りを控え始めたのが要因と記事では説明されています。
日本国内では値上げで消費が鈍ったことなどから段ボールや菓子箱などの需要が縮小し、原料である段ボール古紙や雑誌古紙の在庫が年初より増加傾向となっていますが、新聞古紙は発生の減少で供給が絞られ在庫は減少傾向となるなど市場自体が縮小する動きとなっており、今後の古紙在庫や古紙市況は予想が難しい状況となっています。
※文中敬称略
※文章は2023年4月26日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。