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華陽ニュース

紙の市況(2023.5)詳細 5月31日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.北越 高機能紙容器「Halopack」の日本での独占製造販売契約

 北越コーポレーションは5月26日、子会社がオランダのPaclable社と「Halopack」のライセンス契約を締結したと発表しました。同社サイトに掲載された発表によると、

内容 北越コーポレーションの連結子会社で食品包装などの製造販売を手掛ける北越パッケージ株式会社が、オランダのPackable社と、「Halopack」の製造・販売に関するライセンス契約と締結し、日本市場における当該容器の独占的製造販売権を取得。
Halopack 構造や形状の工夫により、紙器でありながらバリア性を保持、ガス置換やスキンパックなどの密閉シールも可能となる高機能紙容器。Packable社が世界特許を保有している。
背景 近年、脱炭素や脱プラなど環境意識の高まりから、食品などの容器を紙製に置き換える検討が始まっているが、ガスバリア性、耐水性、耐油性、密閉シール性など機能面での課題があった。

 使用済み容器から板紙とフィルムを分別してリサイクルしたり、内面素材の使い分けで様々な温度や調理法に対応した製品を開発することも可能として、同社は早期の商業化立ち上げを進めていくとしています。


【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.段ボール印刷用インキ色集約の動き

 全国段ボール工業組合連合会・全日本紙器段ボール箱工業組合連合会・印刷インキ工業会の3者は3月、「段ボール印刷用インキ色の集約へのご協力のお願い」と題する文書を公開しました。文書によると、

現行の段ボール箱印刷色 3者が定めた標準色18色と補整色32色、一部商品で特練色が使用され、補整色や特練色を用いることで複雑な印刷デザインの表現や商品の差別化、ブランドカラーなどの再現が図られている。
課題 版替ごとにインキ洗浄が行われたり、不要になった補整色・特練色が廃棄処分されるなどによって、環境負担が増すことが懸念されている。
3者からの提案 現行の標準色・補整色・特練色の使用を、標準色のみに集約することを提案。
集約実施時期 2023年4月1日~2024年3月31日の期間を移行期間とし、2024年4月1日より実施。

 段ボールはもともと循環型の環境にやさしい包装資材ですが、さらなる環境負荷軽減には段ボール製品を発注・消費するお取引先様との連携が不可欠として、3者はインキ色集約への理解と協力を求めています。


【その他の市況/状況】

1.パルプ価格が下落

 5月19日付の日本経済新聞紙上にて、パルプ価格が下落したと報じられています。対日4月積み価格が、北米産N‐BKPは前月積み比8%安、南米産L‐BKPは同16%安となったとのこと。

北米産N‐BKP ・北欧メーカーがアジアへの輸出を増やし、アジア市場で過剰感
・カナダで環境保護目的で伐採規制が強化されていることから、現地パルプメーカーは強気姿勢
との背景から、L‐BKPに比べると下落率は小幅。
南米産L‐BKP ・現地の設備新稼働で供給の大幅増見込み
・中国の需要減退
から値下がり傾向が続く。

とそれぞれに事情があり、また日本市場では紙製品の出荷停滞からパルプ在庫が増加傾向であると、記事では伝えられています。


2.古紙在庫が増加

 5月20日付の日本経済新聞紙上にて、4月末の古紙在庫が前年同月末比で増加となったと報じられています。関東製紙原料直納商工組合に属する32社の在庫をまとめたもので、前年同月を上回るのは5か月連続となるとのこと。回収が大幅に減っている新聞古紙を除き、段ボール古紙と雑誌古紙で在庫が増えているとのことで、段ボールなどの生産回復の遅れから古紙の需要が鈍くなっていると記事では伝えられています。


【印刷・製品他関連】

1.リコーと東芝が事務機の生産部門を統合

 5月20日付の日本経済新聞紙上にて、リコーと東芝が事務機の生産部門を統合すると発表したと報じられています。19日・20日に報じられた記事によると、

内容 リコーと東芝が、オフィス向け複合機やコピー機など事務機の生産部門の統合を発表。2024年に新会社を立ち上げ、生産・設計・開発機能を集約する計画。
背景 ①コロナ禍によるペーパーレス化の急進展やテレワークの定着などで、事務機需要が急減。
②中国政府が外資企業に、中国国内で設計、開発、生産することを求める方針。事務機の基幹部品も対象。中国から日本国内に生産拠点を移すには、コスト競争力を上げる必要。

 同社は生産統合会社への合流を他社にも呼びかける方針とのことで、事務機業界で再編が進む可能性があると記事では伝えています。


※文中敬称略
※文章は2023年5月29日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。