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華陽ニュース
紙の市況(2023.6)詳細 6月30日更新分
【洋紙 国内の紙の市況/状況】
1.特種東海、一部製品の生産・出荷停止を発表 |
特種東海製紙は6月26日、一部製品の生産・出荷停止を発表しました。
対象製品・対象色 | ・レザック66「あさぎ」「アボガド」「うすみどり」「ミント」 ・TANT「F‐60」「F‐61」「F‐65」「F‐67」「C‐62」「C‐65」 ・TANT BOARD‐F「C‐62」 ・TANT KIRA「K‐62」「K‐65」 ・TT‐CUSHION メッシュ「エメラルド」 ・新草木染・ハーブ「プレーン」「ラクスパー」「ラベンダー」 ・アーカイバルボード |
経緯 | 対象製品の対象色に着色料として使用されている顔料について、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」で指定されている「ペンタクロロフェノール」を含んでいる可能性があると薬品メーカーから同社に報告があったため、安全性の確認ができるまでの間、対象製品・対象色の生産・出荷を停止。 |
生産・出荷停止期間 | 2023年6月26日以降、生産・出荷の見通しが立つまで |
2023年6月29日現在で追加の情報は発表されていませんが、追加の情報が発表され次第、当欄にてご報告させて頂きます。
【板紙・パッケージに関する市況/状況】
1.王子HD インドに段ボール新工場 |
王子ホールディングスは6月23日、インド南部での段ボール工場新設を決定したと発表しました。公式サイトの発表によると、
建設予定地 | インド南部 アーンドラ・プラデーシュ州 |
生産能力 | 月産約900万㎡ |
稼働時期 | 2024年10月を予定 |
新工場は同社グループのインドでは5か所目、東南アジア・インド・オセアニア地域では37か所目の段ボール製造拠点となると同社は発表しています。
2.王子HD 紙製トレー容器を開発 |
王子ホールディングスは6月27日、株式会社寺岡精工と共同で環境配慮型の紙製トレー容器を開発したと発表しました。公式サイトの発表によると、
製品名 | 紙製トレー容器「KIRIGAMI™」 |
特長 | ・紙製容器で、プラスチック使用量低減に貢献。 ・フランジ部の継ぎ目がなく、高い密封性を有する。 ・パッケージ内の空気を食品の保存に適したガスに置換して包装する「MAP包装」が使用可能で、食品の賞味期限延長に貢献。 ・紙部分とトレー内面フィルムが容易に分離でき、使用後の分別廃棄が可能。 ・容器への印刷が可能で、美粧性を付与したり、二次包装を省いたりすることが可能。 |
同社は今後も環境に優しい資材の提案で持続可能な社会の実現に取り組んでいくと表明しています。
3.王子HD 「使用済み紙コップのマテリアルリサイクル」を開始 |
王子ホールディングスは6月27日、使用済み紙コップの回収・再利用システムを新たに構築し、「使用済み紙コップのマテリアルリサイクル」を開始したと発表しました。公式サイトの発表によると、
従来 | 紙コップには一般的にプラスチックラミネート加工が施されているため古紙回収では禁忌品扱いで、使用後の汚れや臭いの問題からも可燃ごみとして焼却処分される場合が多いなど、紙の原料として再利用するには多くの課題があった。 |
今回の取り組み | 汚れ・臭いが付いた大量の使用済み紙コップを破砕、洗浄し、紙とラミネートフィルムを分離してパルプを効率的に回収するシステムを確立。紙の原料としての再利用(マテリアルリサイクル)が可能になった。 |
今後の展開 | 2023年3月より関西地区で回収・段ボール原紙への再利用を開始していたが、今後、同システムを全国展開する予定。 |
同社は環境配慮型素材や製品の開発を通して、持続可能な社会の実現に取り組んでいくと表明しています。
4.凸版印刷 廃プラスチックフィルムの水平リサイクル実証実験を共同で開始 |
凸版印刷は6月22日、三菱ケミカルグループ株式会社、共栄化学株式会社と、マテリアルリサイクル生産プロセスを共同開発する契約を2023年3月15日に締結したと発表しました。6月より実証試験を開始するとのこと。公式サイトの発表によると、
目的 | 包装材料の製造工場から排出される、従来廃棄分として焼却処理されていた複合プラスチックフィルムを、包装資材原料として水平リサイクルすることで、地球温暖化対策や石油資源の有効活用などに貢献する。 |
共同開発内容 | 複合プラスチックフィルムを粉砕、剥離・脱墨・分離等の処理をし、リサイクルが可能なポリオレフィンやポリアミドなどの単一素材に分別する技術を共同開発。単一素材化し再生された樹脂は包装用途に使用。 |
凸版の役割 | 自社工場で排出される廃プラスチックの供給、剥離・脱墨のための最適条件の探索、再生樹脂の性能評価、包装材に使用可能かどうかの判断、再生樹脂を用いた包装材のマーケティング等。 |
同社は今回の取り組みを通じて、使用済みプラスチックフィルムの再資源化を推進し、持続可能な循環型社会の実現に貢献すると表明しています。
5.大日本印刷 環境配慮パッケージングで二酸化炭素削減 |
大日本印刷は6月22日、同社が推進する「DNP環境配慮パッケージングGREEN PACKAGING」全体の年間出荷量から算出した二酸化炭素削減量の2022年度分が約17万トンとなり、前年度の15万トンから増加したと発表しました。2022年度削減量の約17万トンは森林面積でいうと約13,500ha、東京・山手線の内側面積の約2倍に相当するとのこと。同社は「GREEN PACKAGING」の開発・提供を開始するとともに、2022年4月からはパッケージのライフサイクル全体での二酸化炭素排出量を可視化し、第三者承認済みの算定結果を企業や団体等に提供するサービスを開始しているとのことで、今後も環境負荷の低減につながる製品・サービスの開発・提供を推進していくとしています。
【その他の市況/状況】
1.大王製紙 「アウトドアにやさしいエールを」プロジェクト始動 |
大王製紙は6月20日、外遊びを全力で応援するプロジェクト「アウトドアにやさしいエールを」を同日始動したと発表しました。公式サイトの発表によると、
背景 | 近年人気が拡大しているキャンプなどのアウトドアで、準備や片づけの負担を軽減できないかとの意図から、アウトドアブランド「CHUMS(チャムス)」と初コラボして「アウトドアにやさしいエールを」プロジェクトを発足。 |
コラボ第1弾 | アウトドアでも活用されるエリエール「除菌できるシリーズ」からチャムスのコラボデザインボトル2商品を2023年7月1日より数量限定で全国発売。 |
キャンペーン | コラボデザインボトルを1点以上購入し、レシート画像を応募。または、レシート応募に加え、SNSでハッシュタグ「#アウトドアにやさしいエールを」つけて対象商品の使用シーンを投稿すると、抽選で合計330名様にアウトドアチェアなどが当たるキャンペーンを2023年7月1日~8月31日23:59までの応募期間で実施。 |
同社は今後もチャムスとともにアウトドアの新しい価値を提供していくとしています。
2.大王製紙 CNF半導体材料の開発を発表 |
大王製紙は6月21日、セルロースナノファイバーの新たな用途開発として、半導体材料開発を開始すると発表しました。東北大、東大、産業技術総合研究所との共同開発とのことで、CNFの新たな可能性を産学官連携の共同研究で模索するとのこと。容易なチャレンジではないが共同研究パートナーとの連携により実用化を目指し開発を進めていくと、同社は表明しています。
3.日本製紙 CNF強化樹脂の3Dプリンター向けサンプル提供を開始 |
日本製紙は6月20日、PBF方式の3Dプリンター用CNF強化樹脂を開発し、サンプル提供を開始したと発表しました。今回開発された3Dプリンター用CNF強化樹脂は、主流材料のひとつのガラスビーズ入り樹脂材料に比べ
・成型品が均一
・軽量
・リサイクル性が高い
等の特徴を有しているため、古い金型を廃棄した自動車部品や、微調整が必要な各種補装具など、大量生産ではなくオーダーメイド的な成型品への利用が期待されると同社は説明しています。
【印刷、製品、その他関連】
1.大日本印刷 「ライトアニメ」活用の映像コンテンツを電子図書館向けに提供 |
大日本印刷は6月27日、株式会社図書館流通センターと共同で、「ライトアニメ」を活用して学習マンガなどを映像化し、自治体や学校の電子図書館向けコンテンツとして販売を開始すると発表しました。公式サイトの発表によると、
ライトアニメ | 大日本印刷が従来の出版印刷事業で培ったコンテンツ加工技術を応用・発展させて開発した、独自のアニメ制作手法。従来より大幅に早く、安く、アニメを制作できる制作フローとして、2022年8月よりサービス提供を開始。 |
背景や概要 | コロナ禍をきっかけのひとつとしたオンラインサービスの拡大や学習過程でのタブレット端末の利用の拡大などで、自治体などの電子図書館サービスやデジタルコンテンツの需要が高まっているが、電子図書館向けコンテンツは電子書籍形式が主流で、映像コンテンツの供給が不十分との課題がある。 この課題解決のため、大日本印刷が使用許可を受けた学習マンガや絵本などを映像化し、図書館流通センターの電子図書館サービスを通じて自治体や学校に販売していく。 |
第1弾 | 朝日新聞出版発行の「週刊マンガ日本史 改訂版」シリーズから6タイトルを映像化。2023年6月27日より販売開始。 |
同社は今後もコンテンツホルダーと連携して動画コンテンツの拡大を図るとともに、映像化した作品を多様な業種の企業などにグローバルに販売するなどして、コンテンツ価値の最大化を図ると今後の展開について説明しています。
※文中敬称略
※文章は2023年6月28日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。