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華陽ニュース

紙の市況(2023.8)詳細 8月20日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.製紙8社 2024年3月期第1四半期決算発表

 8月10日までに製紙8社が2024年3月期第1四半期(2023年4月1日~2023年6月30日)の決算を発表しています。各社の公式サイトに掲載された決算短信によると、

 新聞用紙や印刷・情報用紙の国内需要が減少し、食料品や日用品の値上げの影響でパッケージング用紙でも需要の伸び悩みがみられるなど、販売数量には逆風の状況が続いていますが、価格改定が浸透し、8社中7社が増収、営業利益増となっています。
 営業利益が前年同四半期比9.5倍となった大王製紙は、前年の価格改定によってシェアダウンした衛生用紙でシェアが回復したことに加え、ソフトパックティシューや大容量トイレット等の高付加価値品の販売が伸長、大人用紙おむつやウエットワイプなども需要が増加したとして、ホーム&パーソナルケア部門では販売数量増となった事業もあることを説明しています。 


2.日本製紙・大王製紙が海上共同輸送を開始

 日本製紙と大王製紙は8月8日、海上共同輸送を開始したと発表しました。両社の公式サイトの発表によると、

内容 日本製紙の勿来工場で生産した製品の関西圏への供給ルートのうち、千葉中央港⇒堺泉北港の間の輸送に大王海運のRORO船を活用して、海上共同輸送を実施。8月2日より開始。
日本製紙の課題解決 従来は勿来工場製品の関西圏への供給にはトラックでの長距離輸送を実施していた。今回の海上共同輸送により、従来比で二酸化炭素排出量を年間46.7%、トラックドライバーの走行時間を78.8%削減できる。
大王製紙の課題解決 三島工場で生産した紙・板紙の三島川之江港⇒(堺泉北港経由)⇒千葉中央港間の輸送に大王海運のRORO船を活用し、首都圏や東北地区に製品を供給している。今後ティシューや紙おむつ等の輸送にもRORO船を活用する見込みで、今回の日本製紙をパートナーとする海上共同輸送により、RORO船の安定稼働を図る。

 両社の調べによれば製紙業界において同業者間の定期的なラウンド輸送は初めての取り組みとのことで、物流業界の2024年問題や二酸化炭素排出量の削減など、持続可能な社会の構築に貢献するものであると説明しています。 


【その他の市況/状況】

1.7月の家庭紙店頭価格が横ばい

 2023年8月10日付の日本経済新聞紙上にて、7月の家庭紙の店頭価格が横ばいとなったと報じられています。東京紙商家庭紙同業会の調べによるもので、値上げ後の価格が定着したと記事は指摘しています。販売も堅調とのことですが、箱入りティシューはソフトパックに押され気味とのことで、今後は流通在庫が増えるのではとの声も紹介されています。


2.パルプ価格 下げ止まり傾向

 2023年8月11日付の日本経済新聞紙上にて、7月積みの対日価格が北米産N‐BKP、南米産L‐BKPともに前月比横ばいとなったと報じられています。割安感が出たことで中国の製紙企業からの買い付けが入り、値下がりに一服感が出ているとのこと。記事では今後について緩やかな上昇が続くとの見方が出ているとも伝えられています。


【印刷、製品、その他関連】

1.日本製紙 純国産SAF原料の国際規格登録・認証を目指す「パイロット事業者」に選定

 日本製紙は2023年8月9日、SAF認証タスクグループにおいて、木質原料のCORSIA適格燃料としての登録・認証を目指す「パイロット事業者」に選定されたと発表しました。公式サイトの発表によると、

経緯 日本製紙はGreen Earth Institute株式会社、住友商事株式会社とともに、日本製紙工場内で年間数万キロリットルの国産材由来のバイオエタノールを2027年度に製造開始することを目指して検討中。新原料がSAFとして使用されるには、国際航空民間機関(ICAO)が定める「CORSIA適格燃料(CEF)」として登録・認証されることが必要だが、この認証取得のため、資源エネルギー庁と国土交通省が事務局を務める「SAFの導入促進に向けた官民協議会」傘下のSAF認証タスクグループで選定された「パイロット事業者」として、国土交通省航空局の支援を得ながら登録・認証に向けた作業を進めることとなった。
CORSIA 国際民間航空機関(ICAO)が定める「国際民間航空のためのカーボン・オフセット及び削減スキーム」。「CORSIA適格燃料(CEF)」として登録・認証を取得することで、温暖化ガス削減効果のあるSAFとして認められる。

 同社は2社とともに「パイロット事業者」として登録・認証を目指すことで、国内初の純国産セルロース系バイオエタノールのSAF原料としての利用を目指すとしています。


※文中敬称略
※文章は2023年8月17日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。