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華陽ニュース

紙の市況(2023.8)詳細 8月31日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.紙の流通在庫が高水準の報道

 8月19日付の日本経済新聞紙上にて、紙の流通在庫が高水準となっていると報じられています。日本洋紙代理店会連合会のまとめによる6月末の在庫量が前年同月比11.3%増となったとのこと。5月末の在庫が39万トン超と、2020年5月以来の高水準となり、6月はやや減少したものの高い水準にとどまっているとして、

・新年度に入り、企業が広告のデジタル化をこれまで以上に推進
・値上げで紙離れに拍車

といった状況がある可能性を記事では指摘しています。
 メーカーの印刷・情報用紙の6月末在庫はほぼ適正水準との声も紹介されていますが、日本製紙連合会の集計による6月の生産量は前年同月比10.8%減で、減産が在庫の適正化に影響しているとの分析が記事では示されています。


2.TTトレーディングが価格改定

 株式会社TTトレーディングは8月、同社のHOGOS(保護保存用品)の一部商品について価格を改定すると発表しました。

対象製品 アーカイバルボード、アーカイバルボードW、アーカイバルボードTM、
AFハードボード、
もんじょ箱、STORAGE BOX、KIT BOX、TT‐エバーファイル
改定幅 現行価格から約20%
改定時期 2023年10月1日

 製紙メーカーや加工業社から価格改定の案内があり、従来の価格を維持するのは困難として、同社は価格改定に理解を求めています。


【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.人工皮革用離型紙に100%古紙由来の原紙

 レンゴーは8月23日、同社がWR Supply株式会社とともに開発した再生ライナが帝人コードレ株式会社の人工皮革用離型紙のベース紙として採用されたと発表しました。同社、及び、帝人フロンティア株式会社の公式サイトに掲載された発表によると、

人工皮革用離型紙 人工皮革をつくる際に、表面に意匠性を付与するために使用される工程紙。
これまでの課題 従来の離型紙のベース紙にはフレッシュパルプ100%の洋紙を使用。再生紙を用いると品質が低下する、再生工程によっては再生紙を用いる方が二酸化炭素排出量が増加するといった課題があり、離型紙のリサイクルが実現せず、使用後はほぼ全量が焼却や廃棄されていた。
今回の開発 レンゴーの板紙製造技術とWR Supplyの特許を組み合わせることで、古紙100%の原紙を使用した人工皮革用離型紙向けベース紙「EBシリーズ」を開発に成功。
EBシリーズの特長 ・古紙100%使用でも従来のベース紙と同等の品質を実現。
・古紙利用促進により森林資源を保護。
・製造時の二酸化炭素の排出量を削減。
・帝人コードレが同製品を利用することで二酸化炭素排出量と産業廃棄物を削減。
今後の展開 ①帝人コードレがEBシリーズを使った離型紙を使用後、回収。
②レンゴーが使用済み離型紙を古紙に再生し、EBシリーズや他の板紙製品を再生産。
③WR SupplyがEBシリーズを離型紙の加工会社に販売。
④帝人コードレがEBシリーズを使った離型紙を購入し、人工皮革製造に使用。
といったリサイクルスキームを構築、今後運用する計画。

 レンゴーによれば帝人コードレは2023年内にEBシリーズ利用の離型紙の使用を開始する予定で、2023年12月頃に使用済み離型紙のリサイクル開始を目指すとしています。


2.「段ボールで学長室をつくる。」スタート

 レンゴーは8月24日、東京藝術大学学長日比野克彦氏と「段ボールで学長室をつくる。」計画をスタートしたと発表しました。日比野氏の、学長室を学内外との活発なコミュニケーションの場に、そして段ボールの風合いの変化やその景色を楽しめる空間にしたいとの強い思いから、同社とのプロジェクト開始となったとのこと。
 同社はグループでの段ボール製家具や店舗什器等の企画・製作経験を活かし、新たな用途開発にも挑戦していくとしています。


【その他の市況/状況】

1.日本製紙のCNF強化樹脂がヤマハの水上オートバイ部材に採用

 日本製紙は8月25日、同社が製造販売するCNF強化樹脂「セレンピアプラス」(セレンピアは同社の登録商標)が、ヤマハ発動機の水上オートバイの2024年モデルのエンジンカバーとして採用されたと発表しました。同社とヤマハ発動機の調べによれば、CNF強化樹脂を用いた輸送機器部品の量産化は世界初の事例となるとのこと。CNF強化樹脂を既存樹脂材料に置き換えることで、プラスチック使用量や温暖化ガス排出量の削減につながると、同社はその利点を説明しています。
 ヤマハ発動機では将来的にはマリン製品だけでなく二輪車などを含めた幅広い製品群への展開を検討しているとのことで、日本製紙は、CNF強化樹脂を安定して大量生産する製造技術の確立、品質向上、さらなるコストダウンを目指し、用途開発の加速や製造量の拡大を進めていくとしています。


【印刷、製品、その他関連】

1.2023年1~6月の出版市場動向を発表

 出版科学研究所は7月25日、2023年上半期(1~6月)の出版市場規模を『季刊 出版指標』2023年夏号に掲載したと発表しました。公式サイトに掲載されたニュースリリースによると、

紙+電子 前年同期比3.7%減。
紙市場 前年同期比8.0%減。
書籍は同6.9%減。文芸書やゲーム攻略本、旅行ガイドなどは検討も主要ジャンルは落ち込み。
雑誌は同9.7%減。コミックスも巣ごもり需要の終息などで市場が縮小。
電子出版市場 前年同期比7.1%増。
電子コミックは同8.3%増。成長を維持も成長率は一ケタ台に縮小。
電子書籍は同0.4%減。ほぼ前年並み。
電子雑誌は同8.7%減。圧倒的シェアの「dマガジン」の会員数が緩やかに減少。

 電子コミック以外が減少し、全体でマイナスとなったと、同所は概況を説明しています。


※文中敬称略
※文章は2023年8月29日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。