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華陽ニュース

紙の市況(2023.9)詳細 9月30日更新分

【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.レンゴー レビオスシリーズとしてアルミ蒸着セロファンを開発

 レンゴーは9月20日、同社の生分解性パッケージシリーズ「レビオス」のひとつとして、「アルミ蒸着セロファン」を開発したと発表しました。同社サイトの発表によると、

レビオス 植物由来で生分解性のあるセロファンや紙をベースにして同社が開発したパッケージシリーズ。
ヒートシール性、防湿性、酸素バリア性などの機能を付与することが可能。
REBIOS(レビオス)は同社の登録商標。
アルミ蒸着セロファン レビオスシリーズのひとつとして新開発。
酸素バリア性、水蒸気バリア性と高い美粧性が特徴。
採用 株式会社起立工商会社の茶葉ブランド「EN TEA」向けのパッケージとして採用。
同社グループの日本マタイ株式会社が、接着剤、シーラント、チャックなどにも生分解性素材を用いたことで、より環境に配慮したパッケージを提供。

 同社はこれからも環境負荷低減と高品質で付加価値の高いパッケージづくりを通じて、より良い社会、持続可能な社会づくりに貢献していくとしています。


2.段ボール原紙、在庫調整の動きと報道

 9月23日付の日本経済新聞紙上にて、段ボール原紙に在庫調整の動きがみられると報じられています。様々な産業資材の国内在庫が減少しているとの記事中で、日本製紙連合会がまとめた段ボール原紙の8月末の在庫量が前月末比6%減少となったと紹介。

・記録的猛暑で飲料の出荷は増加するも、生鮮、加工食品、家電などの出荷は鈍化。
・外出の回復でEC利用が減り、宅配便の取扱数量も減少。

との背景から、梱包資材の需要が落ち込み、メーカーが生産縮小に本腰を入れていると記事では述べられています。
 国内の経済活動は物価高や人手不足などから産業・一般消費ともに低調と分析されており、国内需要の落ち込みに対応して各素材メーカーが減産で在庫圧縮を進めていると記事では伝えられています。


【その他の市況/状況】

1.8月末古紙在庫 前月比・前年同月比ともに増加

 9月16日付の日本経済新聞紙上にて、8月末の古紙在庫が前年同月末比で31.8%、前月末比でも5.5%増加したと報じられています。関東製紙原料直納商工組合が32社分をまとめたもので、段ボールなどの減産で古紙の国内出荷が低調になったことから、古紙問屋各社は輸出を増やして需給を調整していると記事では伝えられています。


2.高硫黄C重油 引き上げで決着

 9月27日付の日本経済新聞紙上にて、ENEOSと大口需要家が交渉を進めていた7~9月期の高硫黄C重油価格が4~6月期比7%上昇で決着したと報じられています。2四半期連続の引き上げとなり、円安や重油の海外相場の上昇が背景にあると記事では伝えられています。


【印刷、製品、その他関連】

1.王子HD ISFCに設立メンバーとして参加

 王子ホールディングスは9月26日、International Sustainable Forestry Coalition(ISFC)に設立メンバーとして参加したと発表しました。同社サイトに掲載されたニュースリリースによると、

ISFC 世界の森林関連企業10社により本年9月に設立された新団体。参加企業が管理する森林は27か国、総面積9百万haに及ぶ。
活動内容 持続可能な森林管理を通じて、
・気候変動
・生物多様性の損失
・森林面積の減少
等の世界的問題に対処。
国際的な枠組み等において、森林セクターの声を集約して発信し、自然資本会計基準の整備への貢献も目指す。

 同社はISFCでの活動を通じて持続可能な社会の実現に向け貢献していくと表明しています。


2.日本・王子 J‐ECOLに加盟

 日本製紙と王子ホールディングスは9月22日、同社あるいはグループ会社が一般社団法人ラベル循環協会(J‐ECOL)に加盟したと発表しました。両社サイトに掲載されたニュースリリースによると、

J‐ECOL シール・ラベルの使用済み剥離紙の資源循環を普及促進する一般社団法人。
・ラベルを使用する企業とリサイクル企業を仲介するなど、剥離紙の再生資源化推進、普及促進
・再生しやすい剥離紙の検討や再生促進の補助など、リサイクル技術確立の支援
・環境負荷の可視化や普及活動の進捗に関する情報発信
等を活動内容とする。
将来的には使用済み剥離紙を再び剥離紙に戻す水平リサイクルの検討を実施。
背景 シール・ラベルが生活や事業活動に欠かせないものである一方、使用後の剥離紙は、マテリアルリサイクルがその構造上難しく、現状では大半が廃棄されるなど、資源として有効利用できていない。

 日本製紙、王子グループの王子タック等、製紙メーカーやタック紙の製造企業だけでなく、ラベル製造販売企業やラベル使用企業も加わったJ‐ECOLで資源の有効活用を推進し、安価で便利なシール・ラベルが持続可能な社会でも使い続けていけることが期待されています。


3.日本製紙 J‐クレジットをスマートエナジーに販売

 日本製紙は9月20日、同社が北山社有林で創出したJ‐クレジットの一部を株式会社スマートエナジーに販売したと発表しました。同社サイトに掲載されたニュースリリースによると、

J‐クレジット 温室効果ガスの排出量削減量や吸収量を「クレジット」として国が保証する制度。
日本製紙は北山社有林でSGEC森林認証を取得しており、2012年から環境省のオフセット・クレジット認証制度において間伐促進プロジェクトを実施することで、森林吸収によるクレジットを創出している。
今回のクレジット販売 今回販売されたクレジットは、トヨタユナイテッド静岡株式会社が販売する商用車の一部車種のカーボン・オフセットに使用される。

 今回の販売は、同社が推進する、森林価値の最大化とカーボンニュートラル社会の構築への貢献をうたうグリーン戦略の一環であり、今後も「木とともに未来を拓く」総合バイオマス企業として、世界の人々の豊かな暮らしと文化の発展に貢献していくと同社は表明しています。


4.中パ CNFの農業利用の取り組みが認定

 中越パルプ工業は9月19日、同社と丸紅株式会社が進めてきたCNFの農業利用の取り組みが、農林水産省『みどりの食料システム戦略に基づく基盤確立事業実施計画』へ認定されたと発表しました。同社サイトに掲載されたニュースリリースによると、

認定された取り組み 同社開発のCNF『ナノフォレスト』を用いた農業資材『nanoforest🄬‐S アグリ』の普及に関する取り組みが認定。
『nanoforest🄬‐S アグリ』を植物に散布することで
・資材に含まれる微細繊維が葉面を覆い、病原菌の侵入を物理的に防ぐ
・化学農薬の使用を低減
という効果が得られる。
認定の背景 みどりの食料システム戦略の目標のひとつが、2050年までの化学農薬の使用量のリスク換算での50%低減。同資材の普及拡大は目標達成の一助になると判断。

 『nanoforest🄬‐S アグリ』には葉面を親水化することで病原菌に葉面であることを認識させず葉内部への侵入を防止する効果もあるとのことで、今回の認定を通じて同社と丸紅は実証試験を進め、化学農薬から物理的防除資材への転換を推進し、同資材の販路を開拓するとしています。


※文中敬称略
※文章は2023年9月27日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。