1. HOME
  2. KAYO NEWS
  3. 紙の市況(2023.10)詳細 10月31日更新分

KAYO NEWS

華陽ニュース

紙の市況(2023.10)詳細 10月31日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.日本製紙 リサイクル事業が受賞

 日本製紙は10月26日、「浜松市における使用済み紙容器リサイクル事業」で令和5年度リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰で環境大臣賞を受賞したと発表しました。公式サイトの発表によると、

事業内容 日本製紙が特定非営利活動法人エコライフはままつとともに2021年4月から継続して実施しているリサイクル事業。浜松市の後援を得、浜松市西部清掃工場の環境啓発施設「えこはま」を基点に展開。
市民は家庭などで発生する飲食後の紙製アイスクリームカップ、紙製ヨーグルトカップ、紙コップを、洗って乾かして協力場所に設置された回収ボックスに投入。収集された使用済み紙容器が日本製紙草加工場で段ボール原紙に再生される仕組み。
通常、使用済みの食品用紙容器の多くは表面がポリエチレンラミネート加工されており、食品残渣の汚れや臭いの観点からも、再生が難しく、一般ごみとして焼却処分されている。
今回の受賞 リサイクルが難しいとされる使用済み紙容器を、浜松市民の協力と同社の古紙再生技術で再生し資源循環を達成、一般消費者のリサイクル意識向上、可燃ごみ削減、二酸化炭素固定推進に結びつけた点が評価され、エコライフ浜松と共同受賞。

 同社はこの取り組みを皮切りに様々なパートナーと協力し、使用済み紙容器等の分別回収の普及とリサイクル事業の拡大に向けた取り組みを進めているとのことで、今後は段ボール原紙への再資源化だけでなく、トイレットペーパーへのリサイクルや水平リサイクルなどにも展開し、資源循環の推進と二酸化炭素排出量の削減につなげていくことを目指すとしています。


2.大王製紙 EcoVadisのサステナビリティ評価で「シルバーメダル」獲得

 大王製紙は10月18日、EcoVadisが提供するサステナビリティ評価で、大王製紙及び連結子会社からなる大王グループとして評価を受け、「シルバーメダル」を獲得したと発表しました。公式サイトの発表によると、

EcoVadis 175か国、200業種、10万社以上の企業に対しサステナビリティ評価を提供する世界的な機関。本社はフランス。「環境」、「労働と人権」、「倫理」、「持続可能な資材調達」の4つのテーマについて対象企業を包括的に評価。
メダルの評価基準 全評価対象企業のうち、上位1%以内が「プラチナメダル」、上位5%以内が「ゴールドメダル」、上位25%以内が「シルバーメダル」、上位50%以内が「ブロンズメダル」。

 同社は今回の評価も踏まえ、引き続き「持続可能なサプライチェーンの確立」に努めていくとしています。


【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.王子HD 欧州で包装資材加工会社を買収

 王子ホールディングスは10月23日、フィンランドの包装資材加工会社、Walki Holding Oyの全株式を取得する株式譲渡契約を米投資ファンドとの間で締結したと発表しました。公式サイトの発表によると、

Walki社 1930年設立。原紙への塗工、ラミネート、印刷、その他加工の製造・販売事業を行う。
原紙に極薄のバリア層を施す特殊なコーティングにより、製品として必要なバリア性を持ちながらも十分にリサイクル可能な、環境配慮型紙パッケージを実現する独自の加工技術を有している。
特に、環境対応・食品接触に関する先進的で斬新な製品開発力と市場開拓力に優れ、EU包装規制に適合する資材について欧州トップクラスの製造ノウハウを保有していると、王子HDは発表中で評価。
買収の目的 世界に先駆けて環境規制が進む欧州における、パッケージング事業の基盤構築を目的としている。
Walki社の高い加工技術に王子HDのバリア技術を融合させ、環境面に配慮した紙包装資材のより幅広いソリューションの提案が可能となることから、使い捨てプラスチック包装から紙包装への切り替えを一層推進していくと表明。

 「包装・包装廃棄物法令」の施行を目前に控える欧州のみならず、王子HDの主たる事業拠点であるアジア、インド、オセアニア地域でも同様のプラスチック包材規制が本格波及すると同社は見込んでおり、環境配慮型包装資材の要望の増加にWalki社の加工技術を活用した新たな「環境対応包装ソリューション」で応え、豪亜・インド市場での拡販を狙うと表明しています。


2.日用品・食品メーカーで包装小型化の報道

 10月26日付の日本経済新聞紙上にて、日用品や食品メーカーで商品の包装を小さくする動きが広がっていると報じられています。記事によると、

ユニ・チャーム 11月に新発売の大人用紙おむつで、製造方法や形状の見直しなどで商品の性能を向上させながらも、パッケージの横幅を12~13%程度圧縮。商品を梱包する段ボールも1割以上小さくし、積載効率を向上。10トントラックで年間1,000台程度削減できる見込み。
湖池屋 「ポリンキー」のパッケージの大きさを従来比約4%縮小。23年内に計22商品で同様の対応を進め、トラック1台あたりの運搬商品点数を10~30%程度増やす見込み。
資生堂 化粧水の一部商品で超薄型の付け替えボトルを採用。

 積載効率を高めることで、運転手不足が深刻化する「2024年問題」に対応する狙いがあると記事では指摘しています。


【その他の市況/状況】

1.9月の家庭紙店頭価格が横ばい

 10月25日付の日本経済新聞紙上にて、家庭紙の9月の店頭価格が全品目で前月比横ばいとなったと報じられています。東京紙商家庭紙同業会の調べによるもので、全品目横ばいとなるのは3か月連続とのこと。
 値上げ後の価格が維持され、極端な安値販売もみられず、買い控えもなく販売量も安定していると記事では伝えられています。


2.9月末の古紙在庫が減少

 10月25日付の日本経済新聞紙上にて、9月末の古紙在庫が前月末比4.3%減少したと報じられています。関東製紙原料直納商工組合32社分のまとめによるもので、前月を下回るのは2か月ぶりとのこと。
 製紙会社の減産で主力の段ボール古紙の発生・回収量が減り、出荷量がやや上向いたことで在庫が圧縮されたと記事では伝えられています。


3.ENEOS、高硫黄C重油値上げ表明

 10月27日付の日本経済新聞紙上にて、ENEOSが高硫黄C重油の10~12月期価格を7~9月期比14%引き上げることを表明したと報じられています。3四半期連続の引き上げで、円安や原油価格の上昇を反映したものと記事では要因を伝えています。


【印刷、製品、その他関連】

1.王子HD 甘草を量産

 10月25日付の日本経済新聞紙上にて、王子ホールディングスが甘草の大規模栽培事業に着手したと報じられています。記事によると、

経緯 王子HD傘下の王子薬用植物研究所が甘草の量産技術を開発。栽培ノウハウの確立や栽培期間の短縮なども実現し、北海道名寄市で20ヘクタールの圃場を整備して、食品向けなどに出荷を開始した。最大で年20トンの甘草の出荷を目指す。
王子マテリアの旧名寄工場の跡地の一部に甘草の洗浄加工設備も整備。
今後の展開 甘草の量産技術の知見を道内の農家に提供することも視野。旧名寄工場跡地の洗浄加工設備を産地の加工拠点として活用することも検討。
背景 甘草は葛根湯などの漢方薬、食用甘味料、化粧品などの原料として幅広い用途で使用されているが、現状、国内使用量の約9割は中国産。過去に中国が輸出規制を実施するなど調達にはリスクがある。
その他の輸入先のカザフスタンやモンゴルなどは野生品が多いとされ、資源枯渇が危惧されている。

 国産で甘草を安定供給する体制確立の重要性は高まっていると記事では指摘されています。


2.日本製紙 エリートツリー推進室を新設

 日本製紙は10月20日、原材料本部林材部内にエリートツリー推進室を新設し、エリートツリー等の普及拡大に向け苗生産事業の推進体制を強化すると発表しました。同社サイトの発表によると、

エリートツリー等 スギやヒノキ、マツ類で、花粉が少なく、成長性に優れる特徴を持つとして、間伐等特措法において農林水産大臣の指定を受けた特定母樹由来の苗木。成長性が他との比較で1.5倍以上、花粉量が一般との比較で半分以下、等の指定基準がある。
国の政策との関わり 今年6月に閣議決定された骨太の方針2023で
・花粉症対策への取り組みが明記。10月には花粉症対策初期集中対応パッケージが取りまとめられ、予算が経済対策に盛り込まれる見通し。
・GXの一環として森林吸収源対策の加速化や再造林の促進
等が盛り込まれた。
エリートツリーは花粉が少ない、成長が早く二酸化炭素吸収量の向上や再造林費用の低減が図れるといった特長から、方針に寄与するものとして、農林水産省の「みどりの食料システム戦略」のなかで林業用苗木に占める割合が目標設定されている。
同社の取り組み これまでも林野庁や都道府県と歩調を合わせ、2030年度中に年間1,000万本のエリートツリー苗木生産体制の構築を目標として取り組みを推進。採種園・採穂園の開設や地元の山林種苗協同組合員・新規生産者との協業などを進めてきた。
今後、協業先との連携をより一層強化して普及拡大を加速するため、エリートツリー推進室を新設。

 同社はエリートツリー推進室の新設で苗生産事業の推進体制強化を図り、ブランド化したエリートツリーの苗を中心にグループを挙げて事業を展開していくと表明しています。


※文中敬称略
※文章は2023年10月27日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。