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紙の市況(2024.1)詳細 1月31日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.日本製紙連合会 2024年内需見通しを発表

 日本製紙連合会は1月22日、2023年の紙・板紙内需実績見込みと2024年の紙・板紙の内需見通しを発表しました。公式サイトに掲載された発表によると、

2023年内需実績見込み 紙・板紙計で2022年比6.1%のマイナス、2019年比では14.6%のマイナス見込み。グラフィック用紙は前年比8.9%減(2019年比28.1%減)、パッケージング用紙は前年比5.0%減(2019年比6.5%減)。グラフィック用紙の低調が続くなか、2023年はパッケージング用紙、衛生用紙も前年比マイナスだった。
2024年内需見通し 紙・板紙計で2023年比3.1%マイナスと、3年連続で前年比マイナスとなる見通し。グラフィック用紙は同8.4%減。パッケージング用紙は同0.2%減とともにマイナスを予想する。グラフィック用紙は2019年比では34.1%減の見通しで、政府のデジタル化推進制度等もあり、デジタル化が加速するとの予想。
増減要因 グラフィック用紙はデジタル化の加速による減少のなか、パリオリンピックなどがプラス要因。パッケージング用紙は電気・機械関連需要の回復や脱プラ・減プラによる紙化の動きなどがプラス要因も、省包装・軽量化等の流れがマイナスに働くと分析。衛生用紙では省スペースや物流効率化のためのコンパクト化と、ハンドドライヤーの復活によるハンドタオルの減少がマイナス要因と予想。

 物価高による消費の冷え込みは一巡し、2023年の猛暑による大幅な落ち込みからも回復するとみる段ボール原紙は前年比0.2%のプラスを予想していますが、その他の主要商品はいずれもマイナスの予想となっています。


【その他の市況/状況】

1.ソフトパックが店頭価格上昇

 1月19日付の日本経済新聞紙上にて、ティッシュ紙のソフトパックの2023年12月の店頭価格が上昇したと報じられています。東京紙商家庭紙同業会の調べによるもので、上値・下値ともに上昇したとのこと。輸入品が多く、円安による仕入値の上昇傾向から流通業者が値上げに動いたと記事では分析しています。


【印刷、製品、その他関連】

1.日本製紙 バイオマス発電所の燃焼灰由来の肥料を本格販売開始

 日本製紙は1月23日、同社のバイオマス発電設備から発生する燃焼灰由来の肥料の本格販売を開始すると発表しました。サイトに掲載された発表によると、

内容 同社勇払バイオマス発電所と八代工場N1バイオマス発電で発生する燃焼灰(バイオマス灰)由来の肥料の本格的な販売を2024年1月から開始。
目的 バイオマス灰にはカリウム等の肥料成分が含まれている。肥料成分の多くを輸入に頼っている現状に対し、バイオマス灰の有効活用で国産肥料原料の安定供給に貢献したい考え。
同社のバイオマス発電は国産の林地残材等の未利用木材や国産の間伐材等を燃料の一部としており、肥料原料の安定的な大量供給が期待できる。
経緯 同社は2018年に八代工場のバイオマス灰の一部の肥料原料としての試験販売を開始。結果が好調だったことから2023年7月に同工場のバイオマス灰の全量300トン(年間)の肥料化供給体制を確立。
2023年10月には勇払のバイオマス灰を肥料法の副産肥料として登録、年間5,000トン(両設備合わせて年間5,300トン)の供給体制を確立。

 同社は木質バイオマスを燃料とする発電が二酸化炭素排出量低減につながるほか、バイオマス灰の肥料としての有効活用でさらに資源の有効活用を進め、持続可能な循環型社会の形成に貢献していくとしています。


2.国際紙パルプ商事 品川区立環境学習交流施設に紙製人工芝を敷設

 国際紙パルプ商事は1月23日、品川区立環境学習交流施設「エコルとごし」のキッズスペース内に紙製の人工芝を敷設し、同日より一般公開したと発表しました。人工芝の素材には同社が販売する「かみのいとOJO⁺(オージョ)」が使われており、プラスチック使用量の削減やマイクロプラスチック問題に貢献すると同時に、紙製であるため摩擦熱を通しにくく、子供が裸足で走ったり転んだりしてもケガをしにくいという利点もあるとのこと。今回の人工芝導入にはキッズスペースの快適性向上とともに、来館者への海洋プラスチックごみの現状に対する周知・啓発の狙いもあると同社は説明しています。 


3.エコペーパーJP、大豊製紙 再生可能エネルギー由来の電力を導入

 日本紙パルプ商事は1月23日、同社子会社のエコペーパーJP(段ボール原紙・印刷用紙の製造)、大豊製紙(段ボール原紙を製造)が、温室効果ガス排出量削減の一環として再生可能エネルギー由来の電力を導入したと発表しました。エコペーパーJPは購入電力の50%を愛知県内の水力発電由来に50%切り替え。大豊製紙は購入電力分を岐阜県内の水力発電由来に切り替えることで工場内での使用電力の100%再エネ化を実現したとのこと。
 同社はグループ全体で「気候変動」を重要な経営課題のひとつと捉え、脱炭素化に向けた取り組みを加速させることで、持続可能な社会の実現に貢献していくと表明しています。


4.富士市と四国中央市による製紙産業イノベーション創出シンポジウム

 富士市は1月26日、3月1日に「製紙産業イノベーション創出シンポジウム」を開催すると発表しました。愛媛県四国中央市との初共済事業で、日本製紙連合会や紙パルプ技術協会などの講演による事業とのこと。サイトに掲載された発表によると、

開催日時 2024年3月1日(金)10:00~15:30
会場 富士市文化会館ロゼシアター 小ホール
定員 100名程度 ウェブ配信あり
内容 サブタイトルを「紙の新たな市場開拓・事業展開に挑む!」とし、GXや需要減少のなか、紙の技術を活用し、製紙産業の新たな事業展開・持続的な発展を考えるシンポジウム。
「(仮)セルロースナノファイバーを活用した新たな紙製品の開発」等の講演、四国中央市・富士市の企業による取組紹介などが予定されている。

 同市は製紙業以外の方の参加も大歓迎として、多くの企業の参加を呼び掛けています。


※文中敬称略
※文章は2024年1月29日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。