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紙の市況(2024.2)詳細 2月29日更新分

【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.王子HDの資源循環混抄紙が採用

 王子ホールディングスは2月22日、同社の資源循環混抄紙『MEGURISH(麻)』がキーコーヒー株式会社の『レインフォレスト・アライアンス認証農園産コーヒー』のパッケージに採用されたと発表しました。
 『MEGURISH(麻)』はコーヒーの生豆の輸入時に使用される麻袋に注目し、従来は大半が廃棄される麻袋をパルプ化して原料の一部に使用した紙製品で、王子HD・キーコーヒー社、三井物産パッケージング社3社の協働開発製品とのこと。
 キーコーヒー社で発生した麻袋を三井物産パッケージング社が選別・回収、王子HDにてパルプ化・紙製品化し、できあがった紙をキーコーヒー社の商品パッケージとして再利用することで、廃棄物を資源としてアップサイクルすることを可能にしたと、同社は今回の取り組みの意義を説明しています。


2.ビール類製造時の副産物を活用したモウルドパッケージ

 キリンホールディングスは1月12日、ビール類製造時の副産物である仕込前モルト粉をパルプに混抄して原料としたパルプモールド製ボックスを開発したと発表しました。株式会社ファンケルとの共同開発品で、ボックスはファンケルのスキンケア製品のパッケージとして採用され、直営8店で1月18日より数量限定販売中とのこと。
 モウルドパッケージの製作には株式会社モルディアも協力、モルディアのモウルドパッケージの特長であるシルクのような滑らかな表面や寸法精度、多色対応などを生かした仕上がりを実現しており、是非手に取ってモウルドパッケージの可能性を実感してほしいと同社は呼び掛けています。


【その他の市況/状況】

1.パルプ1月積み価格が値下がり

 2月27日付の日本経済新聞紙上にて、北米産N‐BKPの1月積み対日価格が前月積み比2%下落したと報じられています。下落は7か月ぶりで、南米産L‐BKPは横ばいだったとのこと。中国の景気減速で同国内での紙や板紙の需要が停滞している影響と記事では分析していますが、パルプメーカーの採算も悪化しているため下げ幅は縮小されたと記事では伝えられています。


2.1月末古紙在庫が減少

 2月27日付の日本経済新聞紙上にて、1月末古紙在庫が前月末比10.8%減となったと報じられています。関東製紙原料直納商工組合のまとめによるもので、年明け後は古紙の発生が減るためと記事は要因を分析しています。


【ESG、SDGs等関連】

1.大興製紙 SAF原料の生産実証事業を開始

 レンゴーは2月20日、子会社の大興製紙が株式会社Biomaterial in Tokyoと提携し、持続可能な航空原料(SAF)の原料となる第二世代バイオエタノールの生産実証事業を開始すると発表しました。サトウキビやトウモロコシなど食料資源を原料とする第一世代バイオエタノールに食糧問題への影響を懸念する向きがあるなか、木質バイオマスなど非可食資源を原料とした第二世代バイオエタノールにも注目が集まっているとのこと。
 大興製紙は建築廃材などの未利用バイオマス資源から生成するクラフトパルプを原料としてバイオエタノール生産技術の開発・実証を行うとのことで、2027年までに年間2万キロリットルのバイオエタノール生産を目指すとしています。


2.新生紙パルプ商事 「1% for Present Tree」15周年記念プロジェクトへの参加を呼びかけ

 新生紙パルプ商事は2月5日、同社オリジナルの環境配慮型の取り組み「1% for Present Tree」が今年15周年を迎えるのに際し、お客様参加型の記念植樹プロジェクトを実施すると発表しました。

1% for Present Tree 同社から購入した紙・板紙・フィルム等の購入金額の1%を認定法人運営の「Present Tree🄬」に苗木購入代金や管理費として寄付し、植樹で森林を再生する取り組み。この取り組みを通して購入された製品にはロゴマークが使用でき、植樹証明書も発行される。同社が2009年にスタート。
今回のプロジェクト 2024年1月~2026年3月に1,000本分を募集。募集分は北海道、宮城県、岐阜県、山梨県、熊本県の植栽地に植林され、社会貢献や地域振興につながるとともに、ロゴマークがつけられたり植樹証明書が発行されるなどで環境貢献を明確に示すことができる。

 既存の「1% for Present tree」の取り組みよりも参加しやすいプロジェクトとして、同社はSDGs・ESG推進の一環としての参加を検討してほしいと呼びかけています。


3.日本紙パルプ商事 GXリーグに参画

 日本紙パルプ商事は2月22日、経済産業省主導の「GXリーグ」に参画したと発表しました。「GXリーグ」は2050年カーボンニュートラル実現に向け産官学が協働する場で、同社はGXリーグの枠組みを活用し、気候変動に対応した取り組みを一段と推進していくと、参画の意義を説明しています。


【印刷、製品、その他関連】

1.TOPPAN 再生樹脂パッケージの「白い恋人」

 TOPPAN株式会社は1月19日、石屋製菓株式会社(以下、ISHIYA)と、ISHIYAにおける環境に配慮した製造工程の構築に向けて協業を開始すると発表しました。公式サイトに掲載された発表によると、

内容 TOPPANとISHIYAの環境配慮のための協業の第一弾として、両社が企画・開発した再生樹脂を使用したフィルムを「白い恋人」の個包装に採用。2024年2月より順次切り替え。
背景 ISHIYAは企業理念・長期ビジョンのもと環境貢献活動を推進しており、特に「白い恋人」のパッケージでは早くから環境配慮化に着手し、森林認証紙を使用した化粧箱、バイオマス素材を主原料としたトレー、紙素材のシールを既に採用している。
TOPPANも「環境」への取り組みを重点施策のひとつとして、自社での取り組みはもちろん、他社の取り組みの支援もしており、今般、ISHIYAの二酸化炭素排出量削減をはじめとした製造工程全体や製品ライフサイクル全体での環境配慮貢献を目指して協業を開始。
その他の協業内容 TOPPAN製品を活用したISHIYA工場の省エネ活動の見える化・エネルギー使用量変動要因の分析、森林認証紙を使用したパッケージの共同開発や幅広い製品での採用などを進める予定。

 ISHIYAはお菓子作りを通じて北海道の発展に貢献、TOPPANは包装工程全体の最適化の提案で持続可能な社会の実現に貢献していくと、今後の目標について表明しています。


※文中敬称略
※文章は2024年2月27日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。