1. HOME
  2. KAYO NEWS
  3. 紙の市況(2024.4)詳細 4月30日更新分

KAYO NEWS

華陽ニュース

紙の市況(2024.4)詳細 4月30日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.紙・板紙の国内出荷が19か月連続マイナス

 日本製紙連合会は4月22日、2024年3月の紙・板紙国内出荷が前年同月比8.9%減、19か月連続の減少となったと発表しました。デジタル化が進行するグラフィック用紙は19か月連続のマイナス、天候不順などの影響を受けるパッケージング用紙は18か月連続のマイナスとなったとのこと。4月23日付の日本経済新聞の記事によれば、需要停滞、円安による原料値上がり懸念、人件費や物流費等のコストの上昇といった事態を受け、加来正年会長が22日の記者会見で、「製品への価格転嫁を、どこかのタイミングで考えざるを得なくなるのではないか」と話したと報じられています。


【その他の市況/状況】

1.大王製紙の「ELLEX‐R67」、四国中央市の回覧板に採用

 大王製紙は4月23日、同社開発のセルロースナノファイバー(CNF)複合樹脂「ELLEX‐R67」が四国中央市の回覧板に採用されたと発表しました。同社サイトの発表によると、

「ELLEX‐R67」 大王製紙が開発・展開するCNF「ELLEX」シリーズのなかで、お客様の要望に応じてセルロース濃度を67%に高めたCNF複合樹脂製品。高濃度のペレットで供給し、お客様が最終製品に適した濃度に希釈して使用する。2022年11月にサンプル提供を開始し、今回が初の製品採用事例。
採用の経緯  大王製紙創業の地であり同社三島工場が立地する四国中央市は、総務省や経産省公表の「パルプ・紙・紙加工品製造業」製造品出荷額統計において2022年まで18年連続で全国1位の『日本一の紙のまち』。
 2024年度に市発足20周年を迎える同市が、その記念事業として、製紙業界の次世代新素材CNFを用いた日常生活に身近な製品の製作を企画。大王製紙なども交えた協議の結果、「ELLEX‐R67」を用いた回覧板の製作が実現。
 2024年7月より回覧板の使用が開始されるほか、5月開催予定の市発足20周年記念式典で出席者に配布される予定。

 同社は今回の採用をきっかけに今後さらに自動車部材や家電製品などの幅広い用途展開を進めていく計画であるとしています。


2.丸住製紙 同社CNFを出展

 丸住製紙は4月22日、同社開発のセルロースナノファイバー(CNF)「ステラファイン🄬」をサステナブルマテリアル展【大阪】に出展すると発表しました。同社サイトの発表によると、

展示会名・主旨 高機能素材Week関西展 サステナブルマテリアル展
サーキュラーエコノミー、脱炭素社会実現に向けた素材総合展
会期 2024年5月8~10日 10:00~17:00
会場 インテックス大阪 5号館
ナノセルロースジャパン集合展示ブース
展示内容 同社CNF『ステラファイン🄬』各種サンプル、用途開発事例として「アルコールハンドジェルミスト」やポスターの展示、最近の取り組み事例を紹介したチラシの配布

 入場には事前登録が必要とのことで、同社は展示会公式サイトからの事前登録を呼びかけています。


3.家庭紙店頭価格 3か月連続横ばい

 4月19日付の日本経済新聞紙上にて、3月の家庭紙の店頭価格が前月比横ばいとなったと報じられています。東京紙商家庭紙同業会の調べによるもので、主要品目すべてで3か月連続で横ばいだったとのこと。大手製紙各社が4月以降の値上げを打ち出した影響で3月は駆け込み需要がみられており、値上げは今後ある程度末端にも浸透していくとみる卸業者の声も紹介されています。


4.南米産L‐BKP 価格上昇

 4月20日付の日本経済新聞紙上にて、南米産広葉樹さらしクラフトパルプの3月積み対日価格が、前月積み比4%上昇したと報じられています。北米産針葉樹さらしクラフトパルプの3月積み対日価格は横ばいとなったとのこと。中国の景況感が改善し需要家の購買意欲がやや回復したのを反映したと、記事では分析しています。


【ESG、SDGs等関連】

1.特種東海、大成建設と社有林を守るための協定

 特種東海製紙は4月19日、同社、グループ会社の十山株式会社、大成建設株式会社の3者で、「井川山林での活動に関する協定」を締結したと発表しました。同社サイトの発表によると

背景 井川社有林は国内で民間が所有する最も広い1団地の森林。同社は「自然を守り、自然を活かす」という基本理念の下、社有林の活用と生物多様性保全に努めているが、他の高山帯と同様、気候変動や食害を原因とした高山植物群落の衰退、土壌浸食といった問題が深刻化している。また、高山生態系の持続的な保全のためには十分な資金と人材が必要で、観光事業などから得られた収益を保全活動に還元する「利用と保全の好循環」が不可欠であることから、今般、3者で7年間の連携協定を締結し、井川社有林の自然環境の劣化を防止し、回復させるための保全活動を実施するに至った。
協定の主な取り組み ・植生調査や防鹿柵の設置、観光客と連携したモニタリング等、井川社有林の自然環境を保全する活動の実施
・井川社有林の自然の魅力の再発掘や、大成建設の技術と特種東海グループの知見を生かした環境負荷の低い滞在施設の検討といった、利用と保全の好循環を生み出す仕組みづくり

 同社は持続的な形の自然観光を構築し、利用と保全の好循環を生み出して、井川社有林で自然と人の共存を目指し、ネイチャーポジティブの実現に貢献していくとしています。


2.日本製紙クレシア 新たに3工場に太陽光発電設備を導入

 日本製紙クレシアは4月23日、東京工場・興陽工場・京都工場の3工場に新たに太陽光発電設備を導入したと発表しました。電気を利用者に売る電力事業者が事業者の敷地内に太陽光発電設備を無償で設置し、発電した電力を事業者が購入するPPAモデルと呼ばれる仕組みを利用したもので、既に開成工場で導入済み、新たな3工場では2024年9月から順次稼働していく予定とのこと。同社はこの3工場の導入で新たに年間約2,183トンの二酸化炭素排出量を削減できる見込みとしており、二酸化炭素削減の取り組みをより一層強化することでSDGsの達成に貢献するとともに、日本製紙クレシア環境目標2030に取り組み、持続可能な社会の実現を目指すとしています。


【印刷、製品、その他関連】

1.TOPPANエッジ 郵便物の電子化に関する意向調査の結果を公表

 TOPPANエッジは4月23日、郵便物の電子化に対する受け取りての意向調査を実施したと発表しました。同社サイトに一部公表された内容によると

調査内容 全国の、自分あての郵便物を1週間で1通以上受け取り開封している、20~70代の男女3,000名を対象にWEBアンケートを実施。郵便物の電子化に対する許容度や、必ず紙の郵便で受け取りたい場合の郵便物の内容や理由等を調査。
内容による
電子化許容度
住宅ローン残高証明書や保険証券等、銀行や保険会社からの通知物は「紙の郵便で受け取りたい」という回答が多く、「必ず紙の郵便で受け取りたい」「紙の郵便が良いが、電子通知でも問題ない」を合わせると70~80%弱となる。
逆に、飲食店などの新商品の案内や通販サイトの案内といったメーカー・小売店などの商品・サービス案内は「必ず紙の郵便で受け取りたい」が6.5~12.1%で、電子化を許容する割合が高い傾向。

 同社は調査結果について、紙の郵便が無くなることへの不安感が結果に影響したが、ポイント付与などのインセンティブや電子通知の利便性の丁寧な説明などで心理的なハードルを下げることができるとの分析を示しています。


※文中敬称略
※文章は2024年4月25日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。