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華陽ニュース
紙の市況(2024.5)詳細 5月31日更新分
【洋紙 国内の紙の市況/状況】
1.製紙連 新会長挨拶を掲載 |
日本製紙連合会は5月20日、第53回定時総会において日本製紙の野沢徹社長の新会長就任を発表し、新会長ご挨拶をサイトに掲載しました。ご挨拶で野沢会長は
・円安、世界経済の停滞、地政学リスク、国内政治不安の深まりなど、日本を取り巻く状況は不透明
・国内諸物価高騰で個人消費は低迷、内需は減速
・以上の状況下で紙・板紙需要はさらに厳しさ増す。減少傾向続くグラフィック用紙はピークから半減。パッケージも2023年度は2022年度比5%前後の減少。衛生用紙のみインバウンドの回復で横ばい。
・2023年度は値上げ効果で増収増益傾向も、2024年度は物価高騰、円安の定着、地政学リスク、燃料価格高騰の再燃が収益に対するリスク要因
と紙・板紙を取り巻く状況を整理し、日本製紙連合会の活動として、
・最重要と位置付けるのは、世界的な地球温暖化問題への対応。業界としていかにカーボンニュートラルに向けた動きを加速させていくかが課題
・今年度に実施されるとの話がある、2026年度本格稼働の排出権取引の制度設計に向け、関係省庁とも密接な情報交換を行いながら、会員企業へ適切な情報提供をしていきたい
とするとともに、物流問題への対応、下請け取引適正化の推進、安全対策等、課題は山積しているが、政府や関係諸機関とも連携を取りながら今年度も会員各社と一体となって積極的な事業展開をしていきたいと述べています。
【板紙・パッケージに関する市況/状況】
1.レンゴー 植物由来フィルム増産の報道 |
5月24日付の日本経済新聞紙上にて、レンゴーが植物由来の生分解性フィルムの増産を発表したと報じられています。武生工場の既存設備を更新し、新設備も追加することで、2027年をめどに現在より6割生産能力を増強するとのこと。対象のフィルムは食品や医薬品などの包装材として使われるもので、環境意識の高まりから石油由来樹脂フィルムの代替需要に対応する狙いがあると記事では伝えられています。
【その他の市況/状況】
1.4月末関東古紙在庫が増加 |
5月23日付の日本経済新聞紙上にて、関東の4月末の古紙在庫が増加したと報じられています。関東製紙原料直納商工組合32社分のまとめによるもので、4月末の段ボール・新聞・雑誌古紙合計が前月比で7.2%増加したとのこと。段ボール古紙は前月末比9.4%増で、段ボール原紙メーカーの需要停滞の影響があるものの在庫率は依然として低い水準と、記事は指摘しています。
2.ティッシュの店頭価格が上昇 |
5月28日付にの日本経済新聞紙上にて、ティッシュペーパーの4月の店頭価格が前月比で上昇したと報じられています。東京紙商家庭紙同業会の調べによるもので、150組・5パックのティッシュ紙で上値、下値がそれぞれ10円程度上昇したとのこと。4月に家庭紙各社が表明した値上げが一部受け入れられ始めたと、記事では分析されています。
3.王子HD バイオ由来樹脂開発新興に出資 |
王子ホールディングスは5月21日、株式会社グリーンケミカルに出資したと発表しました。グリーンケミカル社は木材パルプなど非可食バイオマス由来の糖を100%原料としてヒドロキシメチルフルフラール(HMF)やフランジカルボン酸(FDCA)などを安定かつ高純度に供給する独自の新触媒プロセスの実用化を目指しており、FDCAは石油由来原料代替の樹脂原料として飲料ボトルなどでの活用が期待されているとのこと。
王子HDは王子製紙米子工場で木質由来糖最大年産3,000トン、木質由来エタノール最大年産1,000キロリットルのパイロット製造設備を2024年度内に稼働予定で、グリーンケミカル社との協業で木質資源のさらなる有効活用を目指すことで、気候変動対策や持続可能な社会の実現に貢献していくとしています。
【ESG、SDGs等関連】
1.大王製紙 エリエール商品の売上の一部を寄付 |
大王製紙は5月22日、くすりのマルトでのエリエール商品の売上の一部を「こども食堂」の支援活動に寄付したことを発表しました。同社サイトの発表によると、
寄付先 | 「子ども食堂の支援を通じて、誰も取りこぼさない社会をつくる。」ことをビジョンに活動する、「認定NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ」 いわき市のこども食堂の充実や立ち上げを支援する「いわき子ども食堂ネットワーク」 |
寄付額 | キャンペーン期間中のくすりのマルト対象店舗でのエリエール商品の売上の一部と店頭募金を合わせた、468,208円を寄付 |
寄付日 | 2024年5月21日 |
経緯 | 大王製紙の「エリエール えがおにタッチPROJECT」に賛同した株式会社くすりのマルト(本社:福島県いわき市)と協同で、2024年2月1日~3月31日に「あなたのお買い物でこどもの未来につなげよう!」キャンペーンを実施。期間中の福島県、茨城県のくすりのマルト対象店舗でのエリエールブランド全商品の売上の一部と店頭募金を「むすびえ」と「いわき子ども食堂ネットワーク」に寄付 |
同社は「ふれあいには、人を幸せにするかけがえのない力がある。」とする「エリエール えがおにタッチPROJECT」を展開しており、自治体などへの寄付とともに、ふれあいの医学的な効果や大切さ、より効果的なふれあいのノウハウや感染対策などを広める発信も行っています。
2.大王製紙 「健康経営アライアンス🄬」に参画 |
大王製紙は5月27日、「健康経営アライアンス🄬」に参画したと発表しました。「健康経営アライアンス🄬」は「社員の健康を通じた日本企業の活性化と健保の持続可能性の実現」というビジョンに共感する392の企業・団体(2024年4月30日時点)が活動する組織で、「健康経営アライアンス🄬」という言葉はオムロン株式会社の登録商標とのこと。
大王グループは、社員が健康でいきいきと活躍できる会社を目指し
・ライフ・ワークバランスの推進
・生活習慣の改善
・メンタルヘルスケアの充実
・疾病の早期発見・早期治療
を4本柱として健康経営を実践していますが、「健康経営アライアンス🄬」への参画で、参画企業各社と連携、情報やノウハウを共有して、社員ひとりひとりとその家族のさらなる健康増進を目指していくとしています。
3.大王製紙 「ハートサポート2024」を始動 |
大王製紙は5月28日、世界中の女の子の自立を実現するための支援活動「ハートサポート2024」を月経衛生デーの2024年5月28日に始動したと発表しました。
世界中の女の子たちの環境について考え、行動するきっかけにしてほしいとの想いから2018年に開始された『エリス「ハートサポート」プロジェクト』は今年で6回目を迎え、3月に先行して実施した日本の女子中学生38名対象の生理の特別授業の様子を特設サイトにて公開。特別授業を視聴して感想をSNSで投稿すると、1件の投稿につき布ナプキン1枚分の作成費(上限5,000枚)をザンビアに送る「布ナプキン作製支援」キャンペーンを2014年5月28日~6月30日に実施し、エリス公式XあるいはInstagramへの投稿を募集しています。今年の活動について同社は、「エリス」が「ハートサポート」プロジェクトを通して学んだ”生理と向き合い、発信していくことの重要性”を日本でも伝え、生理があきらめる理由にならない世界を目指していくと、背景にある想いを説明しています。
【印刷、製品、その他関連】
1.TOPPAN、地域の保有フォトコンテンツをふるさと納税返礼品に活用できるサービスの提供を開始 |
TOPPANは5月27日、地域が保有している公式のフォトコンテンツを返礼品に活用できるサービス「MINTSUKU🄬 for ふるさと納税」を全国の自治体に向け、2024年5月27日より提供開始と発表しました。同社サイトのニュースリリースによると、
MINTSUKU🄬 | TOPPANが2022年7月より提供しているサービス。アスリートやアーティスト、キャラクターなどの公式フォトコンテンツをファンが「MINTSUKU🄬」公式サイトを通じて購入し、オリジナルのフォトグッズをつくることができる。 |
MINTSUKU🄬 for ふるさと納税 |
自治体が保有する景色やイベント等の公式フォトコンテンツをふるさと納税の返礼品として活用できるサービス。ふるさと納税サイトを通じて寄付をすると自治体から返礼品としてMINTSUKU🄬の利用権が送付され、専用サイトにアクセスして公式フォトコンテンツを利用したカレンダーなどオリジナルのフォトグッズをつくることができる仕組み。 |
採用 | 第1弾として秋田県鹿角市のふるさと納税返礼品に採用。鹿角市の風景やユネスコ世界文化遺産の公式フォトコンテンツでオリジナルカレンダーをつくることができる返礼品を、5月27日より各種ふるさと納税サイトで受け付け開始。 |
同社はサービスの特長として
・他自治体との返礼品の差別化が可能
・システムの個別開発が不要
・返礼品の在庫管理が不要
・地域資源コンテンツの有効活用
・アンケートの活用などで、自治体と寄付者が共に創る魅力的なふるさと納税の実現
等を挙げ、2026年までに約100自治体の導入を目指すとしています。
※文中敬称略
※文章は2024年5月29日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。